TRANSATLANTIC のレビュー

TRANSATLANTIC / Abusolute Universe

2021,USA,UK,SWEDEN

TRANSATLANTICの5thアルバムAbusolute Universe。

アルバム各所に織り込まれたモチーフを織り込んだ序曲#1。
軽快なイントロからあまりお上手とは言えない歌唱が飛び出す#2。サビでのニール・モーズ(Key/Vo)による歌唱が力強くさすがの上手さだけに落差が残念。
ロイネ・ストルト(G/Vo)の味わい深い歌唱とシンフォニックなオブリガード、サビのコーラスが印象的な#3。
エキゾチックなテーマ・メロディや全体のムードがロイネ主導と思われるFLOWER KINGS風桃源郷シンフォ#4。
変拍子とコード・チェンジで展開する熟練のインスト・パートを内包。#3のモチーフをメジャーに変換したメロディに導かれる開放的フォーク#5。
3連のリズムに乗せた英国風ロカビリー#6。
BEATLESやGENESISを彷彿させる端正で甘酸っぱいポップ・チューンにアルバムのテーマ・メロディを巧みに挿入した#7。
ハードボイルドなベース・ラインがリードする#8。
掻き鳴らしギター・ロック風イントロ、変幻自在なドラムがリードするインスト・パート、メロディアスな歌唱パート等からなる9分超の大作#9。
#2の別バージョンのような躍動感ある#10。
アコースティックな小品#11。
ミステリアスなムードとスリリングな切り替えしにロイネ色が濃い#12。
感傷的なバラードから入り、テーマ・メロディを交えて壮大に展開する#13。
#2のテーマの変奏で織り込まれた#14。
#16のイントロ的歌モノ小品#15。
よりスポンティニアスなインスト・パートで再構成した#8のリプライズ#16。
オルガンが躍動するトリッキーな変拍子パート、GENTLE GIANT風コーラス・パートを配し、アルバムのテーマをおさらいのように奏でる#17。
アルバムのメイン・テーマを雄大かつ壮大に聴かせて幕を閉じる#18。

ギターとシンセのフレージングが微妙にズレて各人の個性を演出しニヤリとさせるユニゾン・パート、ポップ・バンドのようなキャッチーなコーラス・ワークなどTRANSATLANTICらしい余裕と、一部で素人臭い歌唱が音楽の旅からリスナーを現実世界に引き戻す民主・平等路線の弊害が共存するお馴染みの作風。
ではありながら、要約版(モーズ、トレワヴァスが賛成)、拡張版(ストルト、ポートノイが賛成)、究極版と、収録楽曲及び全体の尺や歌唱者などが異なる3つのバージョンでリリースしてしまうところに絶対的リーダーが居ない不安も感じさせるが、この緩さもまた彼ららしさなのかもしれない。
いくつかのテーマが各楽曲を往来しながら最終的に大団円を迎える、というコンセプト・アルバムの典型パターンではあるが、弱いテーマ・メロディの繰り返しによるくどさ、この手法に対するリスナーの慣れもあってか爽快感はそれほどでもない。

Track List

1. Overture
2. Heart Like a Whirlwind
3. Higher Than the Morning
4. The Darkness in the Light
5. Swing High, Swing Low
6. Bully
7. Rainbow Sky
8. Looking for the Light
9. The World We Used to Know
10. The Sun Comes Up Today
11. Love Made a Way (Prelude)
12. Owl Howl
13. Solitude
14. Belong
15. Lonesome Rebel
16. Looking for the Light (Reprise)
17. The Greatest Story Never Ends
18.Love Made a Way

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