STEVE HACKETT のレビュー

STEVE HACKETT / Voyage of the Acolyte

1975,UK

GENESIS在籍中の1975年にリリースされたスティーヴ・ハケット(G/Key/Vo)の1stソロVoyage of the Acolyte。
GENESISからフィル・コリンズ(Dr/Vo)とマイク・ラザフォード(B/G)、その他実弟ジョン・ハケット(Fl/Key)、サリー・オールドフィールド(Vo)などのゲストを招いて制作。
ピーター・ガブリエルが主導権を握った1974年のThe Lamb Lies Down On Broadwayに対する反動なのか、全編でGENESISを彷彿させるシンフォニックかつ英国的な世界を展開。この時期のGENESISサウンドの核は紛れも無くスティーヴ・ハケットだったということが良くわかります。

タロットカードを題材にした収録曲のトップは最強のカードを意味する#1 Ace Of Wands。GENESIS風変拍子によるギター・リフから始まり、アープやモーグ等シンセ、典雅な12弦アコギ、フルート、メロトロン、オートハープの神秘的な響き、などまるでキャスト紹介のように次々と登場する豊富な楽器群のアンサンブルによるファンタジックな中間部から疾走感ある後半に至るシンフォニックなインストゥルメンタル。
12弦アコギのアルペジオとメロトロンをバックに翳りを交えたフルートが乗る、初期GENESIS風妖しくもファンタジックなインスト・チューン#2。メロディの区切りで登場するオートハープのキラキラ音が印象的です。
タロットで悲嘆・災難・不名誉・転落を意味するカード=塔をタイトルに頂く#3。リフレインするメイン・メロディと変拍子で、タイトル通りの世界を表現したダークなナンバー。
そして、#2のリプライズとなる#4がフェード・イン。オーボエに絡むフルートと濃霧のようなメロトロン、まろやかなシンセが美しいアンサンブルを聴かせます。
悲しげな12弦アコギのアルペジオにスティーヴ・ハケットの暗鬱な歌唱が乗る#5。インスト・パートではチェロやフルート、そしてさりげないエレキのハーモニーが上品にクラシカルな叙情を演出。エレキのアルペジオをバックにしたオーボエのソロからフルートのソロに移行するパートも美しいです。
フィル・コリンズとのボーカル・ハーモニーから始まる#6。じわじわ押し寄せるメロトロンと奇妙なペーソス感が又もや初期GENESIS風なモーグのメロディが秀逸。さらに、ダークなパートからオーボエによる神々しいまでの清廉なメロディに移る際の場面転換が超ドラマティック。
爪弾かれるギターをアンビエントな音像で捕らえた小品#7。逆回転エコーなどのSEによるコラージュで実験的なムードも。
そして、メロトロンとギターによるシンフォニックなイントロから、サリー・オールドフィールドの美声ソプラノが響き渡るボーカル・パートに移行する11分超の大作#8。歌唱と12弦アコギやオートハープが神秘的でおとぎ話のような世界を醸成。元祖ライトハンド奏法による幻想的なパート、ボリューム奏法を使ったヴァイオリンのようなトーンによるリフレインのメロディなど、ギタリストらしいアイディアに溢れたスティーヴ・ハケットのプレイもポイントが高い。

GENESISから演劇風臭みを取り除いた、純粋シンフォ・サウンドが堪能できるプログレッシブ・ロックの名盤です。

Track List

1. Ace Of Wands
2. Hands Of The Priestess
3. A Tower Struck Down
4. Hands Of The Priestess (Part 2)
5. The Hermit
6. Star Of Sirius
7. The Lovers
8. Shadow Of The Hierophant

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