PANIC ROOM のレビュー

PANIC ROOM / Skin

2012,UK

英国ウェールズの女性ボーカル・シンフォPANIC ROOMの3rdアルバムSkin。
アン・マリー・ヘルダー(Vo)をはじめ元KARNATAKAのメンバーで結成されたこのPANIC ROOM。ケルティックなテイストを残すKARNATAKAと比べると、よりコンテンポラリーで若干ハードなエッジも。

7拍子のメイン・リフを軸に静動の起伏を付けたドラマティックなオープニング・ナンバー#1。切れ込んでくるギターがメタルのエッジなのは同系統バンドとの差別化か。まろやかなフレットレス・ベースとの対比もおもしろいです。
ALL ABOUT EVEの湿り気を帯びたゴシック風味を想起させる#2。
弦楽四重奏の厳かなイントロから、一転してモダンなシンセ・リフに移行する#3。クールなシンセ・リフ部とダイナミックにロックするサビ、ダブルトラッキングのギター・ソロに絡むストリングスなど、異なる要素の融合が巧み。
アコギのカッティングとストリングスがリードするノリの良いフォーク#4。
パーカッションとモーダルなメロディがエキゾチックなムードを醸し出す#5。渋いギターやエレピのソロ、終盤のストリングスが良いフックとなっている。
プログレ然としたシンセ・ソロが印象的なコンテンポラリー・チューン#6。
エレキの爪弾きとアン・マリーのボーカルによる3拍子のデュオ#7。
スネアのスウィングした裏打ちパターンが独特のグルーヴを生み出すフォーク#8。12弦のアルペジオとスキャットが幽玄な空間を生み出しています。
アン・マリーが最高のパフォーマンスを聴かせるタイトル・チューン#9。ウィスパー風のヴァースから切なく歌い上げる感動のサビまでパーフェクト。優しく包み込むストリングス、雫が滴るようなピアノのアルペジオも良い。
メタル風な単音リフ&ハーモニクスで幕を開けるハード・ロック・ナンバー#10。
ボーカルを際立たせた淡々としたヴァースから、ヘヴィ・ロック風なサビに移行する#11。

何か特別に変わったアイディアやアレンジがあるわけではない、やっていることは単なるメロディック・ロック。
どこかで聴いたことのある良くありそうなメロディなのに、なぜか胸を締め付ける独特の翳り。
その鍵を握るのはアン・マリー・ヘルダー。彼女の強弱や音域で表情を変える翳りのある美声と表現力抜群の歌唱が素晴らしい。テクニックや声量を誇示するような野暮なマネは皆無。息継ぎも生々しく収録した、あくまでも自然体の絶品歌唱が楽しめます。
また、弦楽カルテットが絶妙にアレンジの隙間を埋め、楽曲に気品と陰影を与えると共にアルバム全体の統一感ももたらしています。

Track List

1. Song For Tomorrow
2. Chameleon
3. Screens
4. Chances
5. Tightrope Walking
6. Promises
7. Velvet & Stars
8. Freefalling
9. Skin
10. Hiding The World
11. Nocturnal

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