WITHIN TEMPTATION のレビュー

WITHIN TEMPTATION / The Silent Force

2004,NETHERLANDS

オランダのゴシック・メタル・バンドWITHIN TEMPTATIONの3rd。
ドラムとキーボードがステファン・ファン・ハストレット(Dr)、マーティン・スピーレンブルグ(Key)にそれぞれ交代。

宗教的とすら言える大仰なクワイヤが感動的に盛り上げた後の余韻の部分に、シャロン・デン・アデル(Vo)のソプラノによるスキャットが優しく浮遊するイントロ#1。
そして間髪置かずバンドと共にオーケストラとクワイヤが荘厳なリフを奏でる#2が登場。ストリングス、まろやかな管が静かなパートでのシャロンの可憐な歌唱を彩り、サビではヘヴィなギターもオーケストラの一部と化したかのような融合ぶりで、シャロンの歌唱が乗ると歌劇のようなドラマティックさで圧倒的に迫ります。
クワイヤを中心としたリフで畳み掛ける#3。荘厳なメロディのサビはもはやシンフォニーの領域。
ゴシック・メタルな質感とサビでの壮大な管を中心としたシンフォニックな要素が互いを引き立てる名曲#4。
前作のケルト風味を継承した笛の音色が印象的な#5は、シャロンの艶やかな歌声がストリングス・セクションの雲の上をたゆたうバラード。
キャッチーなサビを中心にオーケストラのデコレーションが自然に溶け込んだ#6。
タイトル通りシャロンの天使のような美声をフィーチュアした#7。
ピアノのアルペジオとストリングス、典雅なハープをバックにシャロンが優しく歌い上げる#8。
オーケストラとエレクトリカルなサンプルを融合させて、悲劇的なメロディを紡ぎ上げた#9。
管弦楽のインストゥルメンタル・セクションをフィーチュアした#10。
雄大なスケールのボーカル・メロディを切々と歌うシャロンをオーケストラが包み込む#11。

シャロンの圧倒的な表現力と、何度もトリ肌が立つ劇的なオーケストレーションにより、聴いた後に心地好い疲労感すら覚えます。シャロンはソプラノの美しさも良いですが、中音域での母性をも感じさせる柔らかな感触も魅力です。本作はそんなシャロンの美しいボーカルを活かしたシンフォニックなスタイルをさらに推し進め、ケルトなメロディをヒントにメロディアスさを打ち出した前作とは打って変わり、完全にオリジナルな扇情力抜群のマイナー調メロディを大幅増量。よりスケールが大きく、ドラマティックなシンフォニック・ゴシック・メタルに進化を遂げた超名盤です。

Track List

1. Intro
2. See Who I Am
3. Jillian
4. Stand My Ground
5. Pale
6. Forsaken
7. Angels
8. Memories
9. Aquarius
10. It's The Fear
11. Somewhere

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