プログレ のレビュー

ATOLL / L’araignee-Mal

1975,FRANCE

フランスのプログレッシブ・ロック・バンドATOLLの1975年2nd。邦題は「組曲夢魔」。ストリングス・アンサンブル系シンセの白玉リフが霧のように覆う中を、台詞のようなフランス語のボーカルが浮遊する耽美な#1。軋むヴァイオリンの不協和音と共にムードが次第に不穏なものに変化する中間部や、ギターやヴァイオリンによるアバンギャルドなソロがもたらす終盤に見られる混沌との対比で、美をさらに強調しているかのようです。ヴァイオリンが展開をリードする#2は、前半ではせわしなく小刻みなビートを繰り出すドラム&ベースをバックにシンセが、後半ではファンキーに変化したリズムをバックにギター、ヴァイオリン、シンセが次々にソロをキメるテクニカルでカッコ良いジャズ・ロック。ヴァイオリンの物悲しいフレーズと歌い上げるボーカルによる叙情パートと、プログレ的キメのアンサンブルを盛り込んだクールなインストゥルメンタル・パートが融合した#3。タイトル組曲#4は、パーカッションと不穏なヴァイオリンがKING CRIMSONのようなインプロビゼーションを繰り広げるフリーな導入部から、徐々に整合性ある叙情ボーカル・パートにシームレスに移行する展開が天才的。7拍子のエレピによるリフがやがてポルタメントの効いたシンセのリフにチェンジすると同時にボーカルのテンションもアップ、軽やかなリズム隊と一丸となってスペイシーに盛り上がります。さらに、その余韻にクロス・フェードしつつ、クラビネットの硬質なリフが取って代わり、妖しいムードのインプロビゼーションからシンセ・ソロを経て激しいボーカル・パートを含む#4 c)へ。ラストの#4 d)は、シンセ・ストリングスをバックにしての叙情ボーカル・パートとギターが甘いトーンのフレーズを奏でる静かなパートから徐々にヒートアップ。エレピやヴァイオリンも参戦しての混沌の絶頂で、突如キメのユニゾン・フレーズによりビシっと終わるカタルシス。テクニカルでスリリングなジャズ・ロック的側面のカッコ良さと、優雅で耽美なシンフォニック・パートの美しさが両方味わえます。

Track List

1. Le Photographe Exorciste
a ) La Lumiere De Soufre Vert
b ) Eclaire Enfin Les Visages
c ) Et D'etranges Phenomenes
d ) Se Revelent...
2. Cazotte No.1
3. Le Voleur D'Extase
a ) Ivre D'extase, Le Voleur
b ) Derobe L'herbe De Couleur
4. L'araignee-Mal
a ) Imaginez Le Temps
b ) L'araignee-Mal
c ) Les Robots Debiles
d ) Le Cimetiere De Plastique

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カテゴリー: ATOLL

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BARCLAY JAMES HARVEST / Time Honoured Ghosts

1975,UK

BARCLAY JAMES HARVESTの1975年8thアルバムTime Honoured Ghosts。

ツイン・ギターのハーモニーで幕を開け、中間部にメロトロン・クワイヤやオルガンを配してのゆったりしたパートを挿入した軽快な#1。
うっすらとしたオルガンに乗ったサビ・メロが堪らないフォーク・タッチのバラード#2。
BEATLESの曲名を繋いだ歌詞で構成された#3。
と、序盤はフック満載の叙情ポップ路線。
繊細なフォークからメロトロンが敷き詰められたスケールの大きなシンフォニック・ムードに展開する#4。
シンセのオーケストレーションが取り入れられたドラマティックな#5。
ロックなダイナミズムにオルガンやシンセのシンフォ・テイスト、アコギのもたらす叙情フォーク・タッチが融合した#6。
アコギとエレキ・ギターのアルペジオがクリアな空間の広がりを演出しコーラス・ハーモニーと溶け合う#7。
幻想的な#8。

素朴で叙情的なフォーク・フィーリングとメロトロンやシンセによるシンフォニックな演出が融合、コンパクトながらもドラマティックな楽曲が並ぶ好盤です。

Track List

1. In My Life
2. Sweet Jesus
3. Titles
4. Jonathan
5. Beyond the Grave
6. Song for You
7. Hymn for the Children
8. Moon Girl
9. One Night

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CAMEL / The Snow Goose

1975,UK

叙情派プログレの雄CAMELの1975年3rdアルバムThe Snow Goose。

ポール・ギャリコの同名短編小説に基づいたコンセプト・アルバム。一部のスキャットを除きオール・インスト。
表情豊かなギターやフルート、シンセがストーリーに沿ってメロディを奏で、物語を紡いでいきます。原作を知らずとも、美しいメロディを追って行くだけで充分浸れますが、ここはご一読をお勧めします。ストーリーを知る事で感動が10倍くらいになります。

第二次世界大戦中のダンケルクの戦いを背景に、奇妙なせむしの男Rhayaderと彼に心を開いていく少女Fritha、そしてそんな2人の友情(愛情?)を取り持つ事になるスノーグースの活躍が描かれた寓話です。音楽を聴く事で物語の情景が目に浮かび、終盤は涙が止まらなくなります。オーケトスラを従えたシンセとギターが伸びやかな#15を初め、スノーグースを描いた#6,#10などの溌剌とした浮遊感は時に優しく、力強く2人を見守るスノーグースの様を表現しきっているし、#4のギター・トーンやメロディもタイトル通りに汚れ無き世界そのもの。対照的な2人がモチーフとなった#2や#5の描写も見事。

Track List

1. Great Marsh
2. Rhayader
3. Rhayader Goes to Town
4. Sanctuary
5. Fritha
6. Snow Goose
7. Friendship
8. Migration
9. Rhayader Alone
10. Flight of the Snow Goose
11. Preparation
12. Dunkirk
13. Epitaph
14. Fritha Alone
15. La Princesse Perdue
16. Great Marsh

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DRUID / Toward the Sun

1975,UK

英国の4人組プログレッシブ・ロックバンドDRUIDの1975年1st。クリーンなハイトーン・ボーカルやゴリゴリしたベース、緊張感あるパートと開放的でゆったりとしたパートのドラマティックな場面転換などにYESの影響を多分に感じさせつつも、牧歌的とも言える緩いテイストを加える事で独自の個性を発揮しています。メロトロンが鳴り響きモーグやオルガンでアクセントを付けた幻想的なインストゥルメンタル#3。序盤の叙情パートでの静謐でリリカルなピアノが神秘的で汚れ無き世界を描いた#5。メロトロンの白玉が濃霧のように立ち込め、ギターのメロディを包み込みながらドラマティックに盛り上がって行く#6等々、キーボードが効果的に使用され、桃源郷をイメージさせるポジティブでシンフォニックな世界を醸成しています。

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ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA / Face the Music

1975,UK

ELECTRIC LIGHT ORCHESTRAの1975年5thアルバムFace the Music。

コンセプトアルバムだった前作を踏襲したサウンドで、ストリングス・アンサンブルやクワイヤによるゴージャスな装飾が施されたPOPナンバーが連発。ただ、オーケストラ一辺倒ではなく#5の中間部で聴けるような単音シンセによるオブリガードも効果的に使い出し、ジェフ・リンのクリエイターとしての先見性を伺わせます。「SEをコラージュしてのオープニングから大仰なイントロへと繋がる荘厳な序曲である#1以外は、アルバム通して落ち着いたバラードっぽい楽曲が中心で、ドラマティックだった前作と比べると平坦で地味な印象だが、セールスでは前作を上回る。

小粒ながらも、次作での大ブレイクに向けて地歩を固めつつあったバンドの自信と確信が漲る充実作。ドラムのドタドタしたサウンドがちょっと気になりますが・・

Track List

1. Fire on High
2. Waterfall
3. Evil Woman
4. Nightrider
5. Poker
6. Strange Magic
7. Down Home Town
8. One Summer Dream

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GILGAMESH / Gilgamesh

1975,UK

後にHATFIELD AND THE NORTHとの混成バンドNATIONAL HEALTHに発展するGILGAMESHの1975年作。

アラン・ゴウエン(Key)を中心にジャズ方面のメンツで構成された為か、音使いや延々と続くアドリブがジャケットのPOPなイメージとは裏腹に難解。しかし、そこはデイヴ・スチュワートのプロデュース力でロックな耳にも耐えうる大衆性を確保。エレピとアコギによる美しいメロディにまろやかなムーグが絡む#4、フィル・リー(G)による優しいアコギのソロ#6などでホッとする瞬間もあり、難解なジャズ・ロックに対峙する聴き手の集中力を保ってくれてます。
各パートのプレイが上手過ぎて逆にクールに過ぎ去っていく中・長尺曲#1,#5では困惑する場面もあったりするが、8分弱の#7は別。比較的明快な変拍子メイン・テーマとアドリブ・パートの線引きがはっきりしており、スリリングな演奏を余裕で楽しめます。終盤のアマンダ・パーソンズ(Vo)によるコーラス部での音の質感はHATFIELDやNATIONAL HEALTHそのものです。

Track List

1. One and More/Phil's Little Dance-For Phil Millers Trousers/Worlds of Zin
2. Lady and Friend
3. Notwithstanding
4. Arriving Twice
5. Island of Rhodes/Paper Boat/As If Your Eyes Were Open
6. For Absent Friends
7. We Are All/Someone Else's Food/Jamo and Other Boating disasters-from the holiday of the same name
8. Just C

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HATFIELD AND THE NORTH / The Rotters’ Club

1975,UK

ロック、POP、サイケ等雑多な音楽性がジャズの感性と確かなテクニックによって奇跡の融合を果たしたカンタベリー・ミュージックの名盤。HATFIELD AND THE NORTHの1975年2ndアルバムThe Rotters’ Club。

ジャズ・ロックというほど構えてもおらず、かといって退屈なBGMとは程遠いこの感触。
小難しくは無いけどいかにも英国風な良質のメロディと軽快なインプロビゼーションは、身を委ねているだけでも充分な心地良さ。
エレピ、オルガン、アナログ・シンセとデイヴ・スチュワート(Key)が大活躍。フィル・ミラー(G)のギターも派手さは無いがテクニカルで、鍵盤とのユニゾンやハモリで適度なスリルを提供。

キメとインプロビゼーションを往き来する圧巻のアンサンブルと女性コーラスをオシャレにあしらったラストの組曲Mumpsはプログレ史に残る名曲。

Track List

1. Share It
2. Lounging There Trying
3. (Big) John Wayne Socks Psychology on the Jaw
4. Chaos at the Greasy Spoon
5. Yes No Interlude
6. Fitter Stoke Has a Bath
7. Didn't Matter Anyway
8. Underdub
9. Mumps

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KAIPA / Kaipa

1975,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドKAIPAの1975年1stアルバムKaipa。

北欧らしいポジティブな美メロが透明感溢れるシンフォニックなサウンドでゆったりと心地良く奏でられます。歌詞はスウェーデン語で独特のイナタさが辺境ムードを増強。ハンス・ルンディン(Vo/Key)が歌うハイトーンが、自身の演奏するストリングス・アンサンブル(LOGANのSTRING MELODYか?)の澄んだ音色に溶け込み清涼感も抜群です。
勿論ロイネ・ストルトのギターも既に円熟の味わい。
#1でのボリューム奏法による繊細なタッチや後のFLOWER KINGSでも定番となる得意なエキゾチック・ナンバー#7でのネバリ等、良く歌うギターをプレイしてます。アルバム・ジャケットのイラストもロイネ先生です。素晴らしいです。尊敬します。

Track List

1. Musiken Ar Ljuset
2. Saker Har Tva Sidor
3. Ankaret
4. Skogspromenad
5. Allting Har Sin Borjan
6. Se Var Morgon Gry
7. Forlorad I Istanbul
8. Oceaner Foder Liv

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KESTREL / Kestrel

1975,UK

英国のバンドKESTRELの1975年唯一作Kestrel。
ジャジーで変幻自在のコード進行と上手いヴォーカルによるキャッチーで高品質な楽曲群に圧倒されます。各パートの演奏・アンサンブルも非常にタイトに決まってます。特に鍵盤はエレピ、オルガンとカラフルに大活躍。#5や#8で突如洪水のようにやって来るメロトロンの神々しいまでの爽やかなサウンドが何度聴いても気持ち良過ぎです。

Track List

1.The Acrobat
2.Wind Cloud
3.I Believe In You
4.Last Request
5.In The War
6.Take It Away
7.End Of The Affair
8.August Carol

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PREMIATA FORNERIA MARCONI / Chocolate Kings

1975,ITALY

イタリアン・プログレ・バンド PFM (PREMIATA FORNERIA MARCONI)の5thアルバム Chocolate Kings。

予てより懸案の専任シンガーの不在を英語で歌えるベルナルド・ランゼッティ(Vo)の加入で解消。バンドは6人編成に。また、バンド史上初の英語版のみリリースの作品となりました。

テクニカルなインスト・パートとおおらかでメロディアスな中に叙情を含んだボーカル・パートが巧く融合した#1。終盤のリフレインでは、譜割通り丁寧にプレイするフランコ・ムッシーダ(G)に、暴走気味のフランツ・ディ・チッチョ(Dr)、毎回タイミングが違う気まぐれなフラヴィオ・プレモリ(Key)のプレイが相俟ってライブのようなスリル感が味わえます。
アコギとエレピを中心にフルートやヴァイオリンが絡む、まどろむようなフォークの#2。アップテンポに移行する中間部では、躍動感溢れるアレンジでテクニカルなジャズ・ロック的アンサンブルを聴かせます。
三連アップテンポの陽気で楽しい#3。ヴァイオリンとギターによるユニゾンのキメがカッコ良い。
各パートがボーカルを縫うようにフレーズを絡み合わせて紡ぐ#4。楽曲のカラーを決定付ける、アイディアが豊富なアコギのプレイが印象的。
ヴァイオリンのテーマ・リフをはじめ、ギターのモーダルな音使いによるオブリガードなど、フック満載なボーカル・チューン#5。

ボーカルを強化しアメリカ市場を意識してキャッチーにカラっと明るく仕上げた結果、従来のイタリアンな叙情が後退。反面、これまで以上にテクニカルな器楽的要素を盛り込み、スリリングでカラフルなアンサンブルが充実しています。

Track List

1. FROM UNDER
2. HARLEQUIN
3. CHOCOLATE KINGS
4. OUT OF THE ROUNDABOUT
5. PAPER CHARMS

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PINK FLOYD / Wish You Were Here

1975,UK

PINK FLOYDの1975年作Wish You Were Here。

ドラッグ中毒でバンドを去ったオリジナル・メンバーのシド・バレットに捧げたという#1、#5は同時に前作の大成功に戸惑う自分達の心情を吐露したものなのかデイブ・ギルモアのブルージーなギターが冴える退廃的雰囲気のムーディな名曲。むせび泣くダブル・チョーキング、アナログ・シンセのまろやかな音色、バッキング・コーラス・・・。ずっと聴いていたい感じです。
シンセやオルガンを効果的に使用した#2、ロイ・ハーパーがゲストVoのブルージーな#3、アコギもうまい#4など穴が無い名盤。

Track List

1. Shine on You Crazy Diamond, Pts. 1-5
2. Welcome to the Machine
3. Have a Cigar
4. Wish You Were Here
5. Shine on You Crazy Diamond, Pts. 6-9

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RENAISSANCE / Scheherazade and Other Stories

1975,UK

英国70年代プログレッシブ・ロックの華 RENAISSANCEの6thアルバムScheherazade and Other Stories。

リディアン・モードの印象的な旋律を歌うアニー・ハズラム(Vo)のクリスタル・ヴォイス、ジョン・タウト(Key)のチェレステや足踏みオルガンが醸し出すお伽噺のような幻想的なムード、ソロパートではピアノによる転がるように軽快なフレーズも連発!そして5拍子のキメといったおいしすぎるプログレッシブなネタが盛りだくさんの#1は私のフェイバリット・ソング。
伸びやかな美声が堪能できるアップテンポな#2。
まどろむようなオーケストラとアニーの美しすぎる歌唱が美を極めた叙情ナンバー#3。
そして、アラビアン・ナイトでお馴染み「千一夜物語」の語り部=賢くて美しい少女シェヘラザードが王妃の裏切りで凶悪になったスルタンに見出されて王宮に招かれ、窮地を凌ぐために毎夜毎夜、不思議なエピソードを物語る内にスルタンも元に戻り、シェヘラザードと幸せになるという様を描いたフルオーケストラ参加のシンフォニック大作#4。

RENAISSANCEの代表作にして最高傑作との呼び声高い名作です。

Track List

1.Trip To The Fair
2.The Vultures Fly High
3.Ocean Gypsy
4.Song Of Scheherazade
a) Fanfare
b) The Betrayal
c) The Sultan
d) Love Theme
e) The Young Price And Princess as Told By Scheherazade
f) Festival Preparations
g) Fugue For The Sultan
h) The Festival / Finale

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STEVE HACKETT / Voyage of the Acolyte

1975,UK

GENESIS在籍中の1975年にリリースされたスティーヴ・ハケット(G/Key/Vo)の1stソロVoyage of the Acolyte。
GENESISからフィル・コリンズ(Dr/Vo)とマイク・ラザフォード(B/G)、その他実弟ジョン・ハケット(Fl/Key)、サリー・オールドフィールド(Vo)などのゲストを招いて制作。
ピーター・ガブリエルが主導権を握った1974年のThe Lamb Lies Down On Broadwayに対する反動なのか、全編でGENESISを彷彿させるシンフォニックかつ英国的な世界を展開。この時期のGENESISサウンドの核は紛れも無くスティーヴ・ハケットだったということが良くわかります。

タロットカードを題材にした収録曲のトップは最強のカードを意味する#1 Ace Of Wands。GENESIS風変拍子によるギター・リフから始まり、アープやモーグ等シンセ、典雅な12弦アコギ、フルート、メロトロン、オートハープの神秘的な響き、などまるでキャスト紹介のように次々と登場する豊富な楽器群のアンサンブルによるファンタジックな中間部から疾走感ある後半に至るシンフォニックなインストゥルメンタル。
12弦アコギのアルペジオとメロトロンをバックに翳りを交えたフルートが乗る、初期GENESIS風妖しくもファンタジックなインスト・チューン#2。メロディの区切りで登場するオートハープのキラキラ音が印象的です。
タロットで悲嘆・災難・不名誉・転落を意味するカード=塔をタイトルに頂く#3。リフレインするメイン・メロディと変拍子で、タイトル通りの世界を表現したダークなナンバー。
そして、#2のリプライズとなる#4がフェード・イン。オーボエに絡むフルートと濃霧のようなメロトロン、まろやかなシンセが美しいアンサンブルを聴かせます。
悲しげな12弦アコギのアルペジオにスティーヴ・ハケットの暗鬱な歌唱が乗る#5。インスト・パートではチェロやフルート、そしてさりげないエレキのハーモニーが上品にクラシカルな叙情を演出。エレキのアルペジオをバックにしたオーボエのソロからフルートのソロに移行するパートも美しいです。
フィル・コリンズとのボーカル・ハーモニーから始まる#6。じわじわ押し寄せるメロトロンと奇妙なペーソス感が又もや初期GENESIS風なモーグのメロディが秀逸。さらに、ダークなパートからオーボエによる神々しいまでの清廉なメロディに移る際の場面転換が超ドラマティック。
爪弾かれるギターをアンビエントな音像で捕らえた小品#7。逆回転エコーなどのSEによるコラージュで実験的なムードも。
そして、メロトロンとギターによるシンフォニックなイントロから、サリー・オールドフィールドの美声ソプラノが響き渡るボーカル・パートに移行する11分超の大作#8。歌唱と12弦アコギやオートハープが神秘的でおとぎ話のような世界を醸成。元祖ライトハンド奏法による幻想的なパート、ボリューム奏法を使ったヴァイオリンのようなトーンによるリフレインのメロディなど、ギタリストらしいアイディアに溢れたスティーヴ・ハケットのプレイもポイントが高い。

GENESISから演劇風臭みを取り除いた、純粋シンフォ・サウンドが堪能できるプログレッシブ・ロックの名盤です。

Track List

1. Ace Of Wands
2. Hands Of The Priestess
3. A Tower Struck Down
4. Hands Of The Priestess (Part 2)
5. The Hermit
6. Star Of Sirius
7. The Lovers
8. Shadow Of The Hierophant

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STRAWBS / Ghosts

1975,UK

STRAWBSの8thアルバムGhosts。

ハープシコードの厳かなアルペジオとアコギのコード・カッティングをベースにデイヴ・カズンズ(G/Vo)が囁くように歌う前半から、リズム隊が加わりグルーヴィな伴奏をバックにパワフルな歌唱に移行、終盤にはメロトロンや爽快なコーラスも登場するドラマティックな#1。
キャッチーなフォークにジョン・ホウクン(Key)による華麗なタッチのハープシコードが気品をプラスした#2。
ピアノをバックにしたバラード調の序盤から、エレキ・ギターのリフがリードする快活なフォーク・ロックに展開する#3。
カリプソ風リズムに乗ったポップな#4。曲のムードとは一見不似合いなリコーダーの素朴な音色が妙にマッチしてSTRAWBSらしさを演出しています。
ここ数作でアルバム中に必ず1曲は存在する大仰な大作の流れを汲む#5。ボーカル・パートや緊張感あるインスト・パートのバックには神々しいメロトロンが。
デイヴ・ランバート作の甘くキャッチーなフォーク・ロック#6。
まろやかなトーンのモーグ・シンセサイザーから弾き出されたメロディが神秘的なムードのインストゥルメンタル・パートに、穏やかなフォークを内包した美しい#7。
チャーチ・オルガンに少年少女合唱隊を配し、教会音楽のように清廉なムードの#8。

アメリカ志向のポップな#2,#4,#6と威厳や叙情を湛えた英国的な#1,#5,#7が巧く溶け合い、STRAWBSらしい独特のメロディアスなプログレッシブ・ロックが展開されています。ところがキーマンのジョン・ホウクンが、第一期RENAISSANCEメンバーと共にILLUSIONを結成する為に惜しくも脱退してしまいます。

Track List

1. Ghosts
2. Lemon Pie
3. Starshine/Angel Wine
4. Where Do You Go(When You Need A Hole To Crawl In)
5. The Life Of The Auction
6. Don't Try To Cahnge Me
7. Remembering / You And I(When We Were Young)
8. Grace Darling

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カテゴリー: STRAWBS

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SUPERTRAMP / Crisis? What Crisis?

1975,UK

SUPERTRAMPの1975年4th。

タイトな演奏によりコンパクトにまとめられた楽曲の中で、明るさと湿り気が紙一重で同居する絶妙なバランス感覚がドラマを演出しています。その白眉が#6。お馴染みウーリッツァーの8分刻みに乗りマイナーからメジャーに移行する冒頭から、高揚感抜群のハジけるサビに至る展開が独創的です。12弦アコギによる爽やかなカッティングにハーモニカが哀愁をプラスする#2。ヘヴィ・ブルーズ調から突然緩い西海岸風サビに変化する#3。ピアノとストリングスをメインにチェンバロのオブリガードも加えた端正なアレンジが格調高い#4。ウーリッツァーのパーカッシブな伴奏にクラリネットによる場末のペーソス感が胸キュンな#7。ムーディなサックスソロとストリングスによる盛り上がりをバックにロジャーとリックがヴォーカルを分け合うバラード#8。アルペジオに絡むクラリネットが妖しい序盤とキャッチーだが翳りのあるサビがプログレッシブな雰囲気を醸しだすドラマティックな#9。等々、バラエティ豊かでスケール感もアップした名盤です。

Track List

1. Easy Does It
2. Sister Moonshine
3. Ain't Nobody But Me
4. A Soapbox Opera
5. Another Man's Woman
6. Lady
7. Poor Boy
8. Just a Normal Day
9. The Meaning
10. Two of Us

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カテゴリー: SUPERTRAMP

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SUPERTRAMP / Even in the Quietest Moments…

1975,UK

SUPERTRAMPの1977年5thアルバム。

爽やかなアコギとロジャーの透明感ある歌唱が冴える#1や#3(#1が全米20位入り!)。リックの艶のある歌唱をフィーチャーした美しいメロディのキャッチーな#2,#4。そしてようやく屈折感とペーソスを持った#5が登場。ロジャーのセンシティブな歌唱と捻ったアレンジにジョンのサックスがベストマッチ。再びリックの洒落たピアノが主導するバラード#6ときて、ラストのプログレ大作#7。静かなピアノのイントロがフェイドアウトすると、荘厳なストリングスと鐘の音や街の喧騒などのSEを掻き分けてシンセによるメイン・リフが登場。続いてサックスのオブリガードを交えつつストリングスとコーラスに導かれ、ヴォーカルがスタート。深みのあるメロディをなぞる少々シアトリカルなロジャーの歌唱がドラマを盛り上げます。 そして、メインリフとユニゾンで迫るヴォーカルとそれに絡む単音シンセの分散和音フレーズ。まるで中期GENESISのような迫力。コマーシャル性とアーティスティックな側面との微妙なバランスがナイスなサジ加減で次作での世界的大ブレイクを予感させます。

Track List

1. Give a Little Bit
2. Lover Boy
3. Even in the Quietest Moments
4. Downstream
5. Babaji
6. From Now On
7. Fool's Overture

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カテゴリー: SUPERTRAMP

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BARCLAY JAMES HARVEST / Octoberon

1976,UK

BARCLAY JAMES HARVESTの1976年スタジオ7thアルバムOctoberon。

フォーク・タッチのサウンドで叙情フレーバー溢れるコンパクトな楽曲を中心としていた前作から一転、オーケストラを復活させクワイヤをもプラスしてシンフォニック度とスケールを大幅アップ。

静かでゆったりとした哀愁フォークが、バンドとオーケストラによって徐々にスケールを増していく#1。
煌びやかなアルペジオをバックにした繊細なパートから、ギターのエッジ、オルガンのグリッサンドといったロックなパーツを付加したサビに発展し、混声合唱団による厳かなクワイヤにオーケストラまで加わった感動的な終盤で圧倒する#2。
オルガンと美しいコーラスが印象的な切々としたボーカル・パートを、バンドとオーケストラが一体となっての重厚で大仰なパートでサンドした#3。
叙情的なサビが素晴らしい哀愁ナンバー#4。
シンセのデコレーションがアクセントになった、ハギレ良いエレキ・ギターのカッティングがリードする明朗なロックン・ロール#5。
中間部にメロトロンを中心としたインストゥルメンタル・パートを挿入した、ジェントルな歌声によるひねりの効いた叙情メロディが胸キュンな#6。
穏やかでポジティブなムードに叙情マイナー・フレーズを織り込んだ淡い感動が、意味深な効果音と共に幕を降ろす#7。

バンド中心のコンパクトなポップ・チューン#4,#6での胸キュン・メロディと、それ以外の長尺ナンバーのシンフォニックな感動がバランス良く配置されています。

Track List

1. The World Goes On
2. May Day
3. Ra
4. Rock 'n Roll Star
5. Polk Street Rag
6. Believe In Me
7. Suicide

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CAMEL / Moonmadness

1976,UK

CAMELの1976年4thアルバムMoonmadness。

本作から導入されたアープ・オデッセイによるストリングスの音色が印象的です。フュージョンの趣を持つ硬質なインストゥルメンタル・パートと、ヴォーカル中心の叙情パートがバランス良く配され、完成度の高いCAMELサウンドが楽しめます。
#2はフルートやエレピの端正なアンサンブルによる叙情パートから始まりアープ・オデッセイが活躍する中間部へ、そして終盤は3連のリズムに乗りムーグがメロディアスなソロを奏でる展開に。
ピーター・バーデンス(Key)が歌う静謐な叙情を湛えた小曲#4では、声にモジューレーションをかけて幻想的なムードに。
#6はアープ・オデッセイのストリングスとアンディ・ラティマー(G/Vo/Fl)のフルート/泣きのギターが堪らないです。
#7はアープによるストリングスに導かれるスペイシーで静かなイントロから一転、5拍子のプログレッシブ・フュージョンが展開されます。中間パートでは、滑らかな音色のムーグ・シンセをフィルター操作で表情豊かに歌わせる場面もあり一息つきますが、終盤は再び5拍子に戻りアンディの燃えるようなギター・ソロが炸裂。バンドの演奏はそのままスリリングにフェイドアウトし、ストリングスだけが残りスペイシーに幕を引きます。

Track List

1.Aristillus
2.Song Within a Song
3.Chord Change
4.Spirit of the Water
5.Another Night
6.Air Born
7.Lunar Sea

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カテゴリー: CAMEL

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CELESTE / Principe di un Giorno

1976,ITALY

イタリアの4人組プログレッシブ・フォークCELESTEの1976年1st。

メロトロンのストリングスにヴァイオリンが絡み、アコギのアルペジオとフルートのハーモニーをバックにジェントルなボーカルが乗る清涼感溢れる#1。後半はアコギのアルペジオが作り出す神秘的なムードの中、フルートやサックスがドリーミーなソロを展開。バックの雫のようなピアノの音色が又良い感じです。
アコギ、ピアノの伴奏にフルートのハーモニーと牧歌的なボーカルが乗る#2。
3声コーラスと重々しいメロトロンがダークなムードを醸成する#3。ホルンやオーボエ風のシンセが登場する中間部で暗闇の中に一筋の光明が射し込む端整なナンバー。
スペイシーなシンセのSEと妖しいスキャットを引き裂き、KING CRIMSONの宮殿風な神々しいメロトロンが登場する#4。深遠なムードのフルート・ソロからチャーチ・オルガンとクワイヤで荘厳なクライマックスを迎えるインスト部を包み込むボーカル・パートは、ダークなムードに牧歌的なテイストも。
地中海風な明るいメロディの、ほのぼのとしたフォーク小品#5。
壮大で物悲しいメロトロン・ストリングスを軸に、フルートのハーモニーでホッとさせる静寂パートを盛り込んだ#6。
アコギとピアノ、メロトロンをバックにフルートが舞う田園フォークに、5度で硬質にハモったサックスのジャシーな響き、胸が締めつけられるほど美しいメロディのピアノ・ソロ、といったインスト・パートをフィーチュアした#7。

アコギ、ピアノ、フルート、ヴァイオリンといったアコースティック楽器の素朴なトーンにメロトロンが自然に溶け込み、まどろむようなサウンドを聴かせてくれます。各楽器がそれぞれ重要な役割を持ちつつ紡がれていくアレンジが、音数は少ないながらも非常に練られており、上品で端整な仕上がりとなっています。時折登場するシンセもSEっぽい使い方やピッチ・ベンドのこなれなさが新鮮で面白いアクセントになっています。

Track List

1. Principe Di Un Giorno
2. La Danza Del Fato
3. Eftus
4. Favole Antiche
5. L’imbroglio
6. La Grande Isola
7. Giochi Nella Notte

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COLOSSEUM II / Strange New Flesh

1976,UK

英国のジャズ・ロック・バンドCOLOSSEUM IIの1stアルバムStrange New Flesh。

元COLOSSEUM~TEMPESTのジョン・ハイズマン(Dr)を中心とした、ゲイリー・ムーア(G)、ドン・エイリー(Key)、ニール・マーレイ(B)、マイク・スターズ(Vo)の5人組。

PINK FLOYDの超名盤にひっかけたタイトルのインストゥルメンタル#1では、ジョン・ハイズマンの手数の多いビートをベースに、モーグ・シンセ中心に各種キーボードでカラフルなプレイを聴かせるドン・エイリーと負けじと高速フレーズで対抗するゲイリー・ムーアの超絶テクニックが激突。
エモーショナルな歌唱を活かしたメロディアスなバラードに、様々な表情を見せるキーボードを中心に繰り広げるインスト・パートを内包した#2。
クラビネットとギターによる小気味良いバッキングがファンキーな#3。
ゲイリー・ムーアの暑苦しいコーラス、ドンによるヴォコーダーがアクセントとなったポップな歌モノ#4。
エレピをバックに繊細なトーンで流麗なフレージングを聴かせるゲイリー・ムーアのギターをイントロと中間部に配したムーディでジャジーな#5。
小刻みなジョン・ハイズマンのドラム、それに完璧にシンクロしたニール・マーレイのベース、テクニカルなユニゾンやハーモニーを聴かせるキーボードとギターが織り成す、洒落たコード進行と複雑なリズムで展開するプログレッシブ・フュージョン#6。

インスト、歌モノ問わずコンテンポラリーに仕上げられた楽曲が古さを感じさせず、ゲイリー、ドン、ニールといった後にハード・ロックの世界で名を馳せる人達の確かなテクニックと幅広いセンスが堪能できます。

Track List

1. Dark Side Of The Moog
2. Down To You
3. Gemini And Leo
4. Secret Places
5. On Second Thoughts
6. Winds

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カテゴリー: COLOSSEUM II

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