プログレ のレビュー

BAROCK PROJECT / Detachment

2017,ITALY

イタリアのプログレッシブ・ロック・バンドBAROCK PROJECTの5thアルバムDetachment。

ピアノによる軽やかで抒情を湛えたイントロ#1。
#1からシームレスに繋がり、シンフォニックなシンセ、優雅なストリングス、ズ太いアナログ・シンセ、ダーティなオルガンなど多彩な鍵盤群をはじめ、躍動するバンド各パートの見せ場も用意し、さながらインスト隊のプレゼンの趣。ポップなヴァースから抒情をまぶしたメロディアスなサビへという楽曲展開とも相まってアルバムへの期待感が膨らむ#2。
ベタなラテン系抒情と気品漂うクラシカルなメロディが高度に融合、3連系リズムにチェンジしてのフォークロア・パートをも擁し、PFMの系譜を継ぐ傑作シンフォニック・ロックの#3。
エンジニアリングも担当するバンドの頭脳ルカ・ザッビーニ(Key/Vo/G)の爪弾く美麗でもの悲しいアコギに導かれる#4。ラテンの陰陽が表裏一体となりクラシカルなフレーバーを纏ったシンフォニック・チューン。
モダンなフォークロアから爽快なサビに発展する#5。
ゲストのピーター・ジョーンズが歌う#6。情感あふれる歌唱が場面転嫁しながら徐々に盛り上がる楽曲に絶妙にマッチ、まるでミュージカルを見ているかのような高揚感をもたらし9分超の長尺を感じさせない。
スパニッシュ風味のアコギがフックとなったミステリアスな小品#7。
再びピーター・ジョーンズ歌唱によるアーバン・テイストなピアノ・バラード#8。
コンテンポラリーなムードに変拍子が自然に溶け込むポップ・チューン#9
アコギのアルペジオにピアノやストリングスが絡む美しいフォーク調の前半からスケールの大きなシンフォニック・ロックに移行する#10。
打ち込みっぽいシンセやリズムのシーケンスを印象的に配置したキャッチーな#11。
おおらかなムードのフォークにダイナミックなロック・パートが融合した北米プログレ・ハード風ナンバー#12。
ゆったりとした中にスリリングなパートを包含した#13。

抒情やフォークロアにPFMのような地中海テイストを感じさせながら、クラシカルな装いで纏め上げるのがBAROCK PROJECT流。しかしながら今回は、クラシカルなテクニックで圧倒する若々しさは影を潜め、高い音楽性に裏打ちされた引き出しの中から微妙な陰影を描き出す方向にシフト。
尺の長尺を問わずメロディアスでいながら意外性もある楽曲展開でリスナーをグイグイ引き込む豊富なアイディアが秀逸。
2017年6月にBAROCK PROJECTとのカップリングで来日公演を行うSWEDENのMOON SAFARIが青春の甘酸っぱさとすれば、BAROCK PROJECTは甘さの中にもビターな大人の味わいといったところ。

Track List

1. Driving Rain 1:03
2. Promises 5:05
3. Happy to see you 7:37
4. One day 7:23
5. Secret therapy 5:37
6. Broken (ft. Peter Jones) 9:10
7. Old Ghosts 4:07
8. Alone (ft. Peter Jones) 3:14
9. Rescue Me 4:55
10. Twenty years 6:06
11. Waiting 5:43
12. A New tomorrow 7:39
13. Spies 7:23

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WHITE WILLOW / Future Hopes

2017,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの7thアルバムFuture Hopes。
2015年にシングルとしてリリースされたSCORPIONSのカバーAnimal Magnetism(本作の#6)でフィーチュアされたベンケ・ナッツソン(Vo)を新たな歌姫として迎え、楽器隊は、ヤコブ・ホルム・ルポ(G/B/Syn)、ラース・フォレデリク・フロイスリー(Syn)、マティアス・オルセン(Dr)らを中心とする今や北欧プログレの手練れ達で前作Terminal Twilight時のメンツと同様。

冒頭のミステリアスでダークなエレクトロニカから、ボーカル・パートに入ると光が射し込む、ドリーミーなシンフォニック・フォーク#1。
ベンケ・ナッツソンによるウィスパー気味の可憐な歌唱が光る美しい儚げフォーク#2。チープだが味のあるサウンドのヴィンテージ風シンセ・ソロが印象的でボーカルのオーガニックな美しさを引き立てている。
無機的なシンセのシーケンス・サウンドに浮遊するボーカルが乗るドリーミー・パート、ハード・エッジなギターも絡む抒情的なパート、寂寥感や屈折した表情を持つインスト・パートから構成される#3。メロトロンも交えたダークな屈折感はANGLAGARDを想起させる。
メロトロンやノイズによる嵐の中を物悲しいギターが漂うダークなウンドスケープ#4。
フォーキーな微睡み歌唱パート、様々な音色を多層で重ねたスペイシーなシンセのオーケストレーションからなる18分超えのシンフォニック・ナンバー#5。シンセやメロトロンに加えギターやオルガンも登場する中間部の長尺インスト・パートは、木漏れ日ムードから哀愁を経て神秘性までドラマティックに展開。
エレクトロニカとアンニュイな女性ボーカルによるアレンジが斬新な前述の#6と独特のアンビエント感が郷愁を誘う屈折抒情メロディを持つピアノ・ソロの佳曲#7はボーナス・トラック。

普遍的なメロディアスさは可憐なボーカル・パートに残しつつ、インスト・パートでは初期のダークなムードも健在。ただ、ヴィンテージ・シンセを駆使したであろう深遠なオーケストレーションや構築性の高いシーケンス・パターンなど手法はより熟練度を増しており、各人がそれぞれのプロジェクト(KAUKASUSNECROMONKEYWOBBLER等)で得た経験がフィード・バックされているようだ。
ベンケ・ナッツソンの歌声は柔らかいシンセや繊細なアコギとの相性が抜群。次作があれば、続投を切に望む。
アルバム・カヴァー・アートはロジャー・ディーンによるもの。一見してわかる程のさすがの記名性だが、YES用に製作した没バージョンのようでもありWHITE WILLOW音楽性には合っていない。

Track List

1. Future Hopes (4:30)
2. Silver and Gold (4:04)
3. In Dim Days (11:04)
4. Where There Was Sea There Is Abyss (1:59)
5. A Sacred View (18:16)
6. Animal Magnetism (CD/Digital bonus track) (7:15)
7. Damnation Valley (CD/Digital bonus track) (3:16)

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BIG BIG TRAIN / Grimspound

2017,UK

BIG BIG TRAINの10thアルバムGrimspound。
ここ数作のリリース間隔が1年毎というところにバンドの良好なコンディションが想像される。

ヴァイオリンやチェロがフォークロアやクラシカルな装いを付加、オルガンが牽引する緊張感とドラマティックが混在するインスト・パートを持つ現在のBIG BIG TRAINを象徴するシンフォニック・ナンバー#1。
リード楽器が次々にテーマを提示し緊張と緩和の緩急をつけるインスト・ナンバー#2。オルガンのミニマルなシーケンスがカンタベリー風でもある。
霧のようなシンセ・ストリングスに導かれる抒情的な序盤から、ボーカル・インするとGENESISスタイルの英国風味を醸し出す#3。GENESISならシンセで奏でていたフックのメロディーをストリングス・セクションに置換するところにBIG BIG TRAINらしさを発揮している。
タイトル通り、牧草地ののどかな風景が広がるジェントルなアコ-スティック・ナンバー#4。
英国のダートムーア国立公園にある史跡をタイトルに戴く、捻りの効いた歌メロとが英国らしいムードのタイトル・トラック#5。
ジュディ・ダイブル(Vo)をゲストに招いたトラッド風ナンバー#6。郷愁を誘うメロディの魅力に負けじとエレクトリック・パート移行のダイナミズムやその後のシンセによる抒情モチーフなど器楽的要素も充実。
モダンで軽快な4拍子、スリリングな3拍子パート、ゆったりとしたメロウなパートなどリズムの起伏で場面転換していく15分超の長尺シンフォ#7。
モダンな音像に男女デュエットやフルート/ストリングスなどのオーガニックな音色が融合した#8。

トラッド/フォークロア路線を完成させる最後のピースとして伝説の歌姫ジュディ・ダイブルを起用。
コンスタントにこの路線を継続するのか、また新たな展開を見せるのか。

Track List

1. Brave Captain (12:37)
2. On The Racing Line (5:12)
3. Experimental Gentlemen (10:01)
4. Meadowland (3:36)
5. Grimspound (6:56)
6. The Ivy Gate (7:27)
7. A Mead Hall In Winter (15:20)
8. As The Crow Flies (6:44)

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LONELY ROBOT / The Big Dream

2017,UK

IT BITESFROSTで活躍するジョン・ミッチェル(G/Vo)によるソロ・プロジェクト2ndアルバム。
FROSTの同僚クレイグ・ブランデル(Dr)やゲストの女性ボーカル以外のパートは自らプレイ。

スペイシーなイントロ#1。
イントロを継承するスペイシーかつドラマティックなミディアム・スロー・ナンバー#2。クレイグ・ブランデルの叩き出すヘヴィなビートが底辺をがっちりと支えている。
#2と同じようなテンポながらポップ・ソングの定番進行でよりキャッチーな#3。深遠さを垣間見せるインスト・パートでもクレイグ・ブランデルの小技が効いている。
サビにおける女性ボーカルのユニゾンが柔らかい印象を付加。神秘的でありながらキャッチーにまとめられたバラード#4。
ズ太いシンセが加わればFROSTの楽曲になりそうなリフを持つコンパクトなモダン・シンフォ#5。
サビに仄かな抒情を含んだメジャーセブンスが爽やかで洒落たポップ・チューン#6。
#6を継承するメジャーセブンスに頭打ちのリズム、ギターソロでのワーミーペダルの使用や構築度の高いスリリングなフレーズが印象的な#7。
ウーリッツアー風のエレピがどこか郷愁を誘う希望的メロディのバラード#8。
ナレーションが好奇心を掻き立てる深遠かつ壮大なインストゥルメンタル#9。
マシンのクールなビートによる寂寥感が男女ユニゾン・ボーカルのオーガニックさを引き立てるバラード#10。
アイリッシュ・ホイッスルによるエキゾチックなメロディが印象的なエピローグ#11。

ドラムを除く全パートが自身による演奏なので当然だが、ジョン・ミッチェルが意図したアレンジを忠実なアンサンブルで表現。全体のスペイシーな音像やムードも統一されており、楽曲やアルバム通してのストーリー展開に自然に引き込まれる。
ダミ声にもかかわらず爽やかな独特の声質や自在のタッチで様々なトーンを弾き出すギターも記名性に溢れ、改めてIT BITESやFROSTにおけるジョン・ミッチェルの存在感を思い知らされる。

Track List

1. Prologue - Deep Sleep (2:12)
2. Awakenings (5:10)
3. Sigma (5:06)
4. In Floral Green (5:08)
5. Everglow (4:58)
6. False Light (5:33)
7. Symbolic (5:06)
8. The Divine Art Of Being (5:38)
9. The Big Dream (8:02)
10. Hello World, Goodbye (3:52)
11. Epilogue - Sea Beams (2:48)

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カテゴリー: LONELY ROBOT

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MAGENTA / We Are Legend

2017,UK

MAGENTAの7thアルバムWe Are Legend。

シンセによるまろやかなサウンドスケープを切り裂いて不安を煽るかのようなスリリングなテーマ・メロディに移行する#1。
パーカッシブなブリッジを経てのボーカル・パートはクリスティーナ・ブース(Vo)のフェミニンな歌唱を活かした抒情テイストでフックとしても充分。その後もベテランらしいスケール感やメロディアスなパートを織り重ねて展開。それぞれのパートのクオリティはさすがのロブ・リード(G/Key)印ながら、各ピースを繋ぎ合わせて長尺26分超の大曲として昇華させるだけの大団円の魅力に乏しく結果的に散漫な印象。
コンテンポラリーでクールな感覚とドラマティックなサビのギャップでリスナーの心を掴む#2。
枯れたギターやくすんだオルガンによるインスト・パートが英国ロックのクラシックに則った手法でクリスティーナのエモーショナルな歌唱とも相性良好。#1とは逆に世界観やムードが一貫しており、楽曲が紡ぐストーリーに引き込まれる。
ギターによる少々ベタな抒情テーマ・メロディや静謐パートが名作Sevenを彷彿させる#3。
シンセの無機的なシーケンス・フレーズと繊細なタッチのピアノがドラマティックな対比を生んでいる。

長尺3曲収録ながら全体の尺は50分を切っており、非常に聴きやすい構成になっている。
特に#2と#3は、展開が巧みで10分超であることを感じさせない充実度。病気からの復帰作としては先にソロThe Lightをリリースしていたクリスチーナもブランクを感じさせない歌唱を聴かせている。

Track List

1. Trojan (26:09)
2. Colours (10:47)
3. Legend (11:32)

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