プログレ のレビュー

RENAISSANCE / Dreams & Omens live at the Tower Theatre

2008,UK

2008年リリースの英国プログレッシブ・ロックの華、RENAISSANCEのライブDreams & Omens live at the Tower Theatre。
1978年のフィラデルフィア公演でオーケストラは無し。

#5や#6はこの手のオフィシャル・ライブ作品では初の収録じゃないでしょうか。
#5はマイケル・ダンフォード(G)が1番のサビからエレキに変えてるみたいですね。2番のアルペジオから明らかにトーンが違いますもんね。これはレアですね。
#5、#6以外はライブではお馴染みの選曲ながら、オケ無し時のRENAISSANCEならではの味が楽しめます。何と言ってもジョン・タウト(Key)がピアノ、ストリングス・アンサンブル、シンセと大活躍。それに忘れちゃいけないのがアニー・ハズラム(Vo)のクリスタル・ヴォイスによるスキャット。オーケストラ不在で音の厚みが薄くなるところを上手くカバーしてスタジオ・バージョンには無い、艶やかなテイストを醸し出してます。

それにしてもアニー。ライブを聴く度に思うんですが、音程・声の伸び・滑らかさと、どれをとっても完璧ですね。こんなお宝音源がまだあったとは。

Track List

1. Can You Hear Me
2. Carpet of the Sun
3. Day of the Dreamer
4. Midas Man
5. Northern Lights
6. Things I Don't Understand

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IT BITES / The Tall Ships

2008,UK

再結成IT BITESによる2008年4thアルバムThe Tall Ships。

フランシスの不在が懸念されたが、アルバム序盤で解消。ジョン・ミッチェル(G/Vo)、この人10代の頃からIT BITESの大ファンだったというだけあって、鼻にかかったダミ声やサビでのファルセットなどフランシスにそっくり。ギターもテクニカルだ。彼の貢献もあって、IT BITESサウンドは健在。
爽やかなコーラス、エッジの立ったバッキング・ギター、ヘヴィなリズム、そしてもう一つの重要なピースがジョン・ベック(Key)のカラフルなシンセ・サウンド。
IT BITESの音楽性の根本はキャッチーなハード・ロックだが、そこに一捻り加わるのがセンス良く練りこまれたプログレ風味。そのキーマンであるジョン・ベックの奏でるオブリガードやバッキングの音色選択が相変わらず冴えてます。
とにかく、#1冒頭のコーラス・ハーモニーを聴いた瞬間に20年前にタイムトリップしたかのような感覚を味わえます。それに続くドライヴィング・チューン#2で既にノック・アウト!

Track List

1. Oh My God
2. Ghosts
3. Playground
4. Memory Of Water
5. The Tall Ships
6. The Wind That Shakes The Barley
7. Great Disasters
8. Fahrenheit
9. For Safekeeping
10. Lights
11. This Is England
12. When I Fall

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THE WISHING TREE / Ostara

2009,UK

英国ネオ・プログレバンドMARILLIONのスティーブ・ロザリー(G)が”20世紀最後の妖精”ハンナ・ストバート(Vo)と組んだプロジェクト WISHING TREEの13年ぶりとなる2ndアルバム。

英国トラッドの香りも仄かに漂うしっとりと落ち着いたアンサンブルをバックに、ハンナの少々鼻にかかったような独特の美声がたゆたうスタイルは不変。ハンナの声は中音域がベースだが、高音になった時の瑞々しい透明感が堪らないです。モーダルな歌メロがアニーハズラム(RENAISSANCE)、ジュリアンヌ・リーガン(ALL ABOUT EVE)、アネク・ヴァン・ガースバーゲン(GATHERING~AGUA DE ANNIQUE)等の歌姫達を想起させるタイトル曲#1から、アコギのシンプルな伴奏に耳元で囁かれているかのような生々しい歌声が映える#8まで、21世紀になってもやっぱり妖精なハンナの魅力がアルバム全編通して大フィーチャーされております。

Track List

1.Ostara
2.Easy
3.Hollow Hills
4.Seventh Sign
5.Falling
6.Fly
7.Kingfisher
8.Soldier

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RIVERSIDE / Anno Domini High Definition

2009,POLAND

ポーランドの思索系メタル風味プログレRIVERSIDEの2009年4thアルバムAnno Domini High Definition。

ザクザクしたギター・リフによるメタルなテイストと、うねるズ太いアナログ風シンセ、オールドスクールな歪みのハモンド・オルガン、そしてクールなのに深遠な思索路線の楽曲構成というRIVERSIDE独自の世界が展開されています。
一筋縄ではいかない不条理系リフに巧くブレイクを絡ませるセンスもさすが。前述の通り鍵盤はハモンドがメインながら印象的なパートではアンビエントなピアノやテルミン(#5で大暴れしとります)まで使用し、曲のキャラを際立たせています。ヴィンテージな音色にプログラミングと思しきシーケンス・フレーズを違和感無く溶け込ませているあたり、MICHAL LAPAJ(Key)の現代的な手法でプログレスする姿勢も素晴らしいですね。
アレンジの向上でアルバム通してダレる部分が無くなり、適度な緊張感を保ちつつ一気に聴かせてしまう構成力にも成長を感じさせます。ジャケット・デザインは現代カヴァー・アートの巨匠、トラヴィス・スミス。音楽性にぴったりです。

Track List

1. Hyperactive
2. Driven To Destruction
3. Egoist Hedonist
4. Left Out
5. Hybrid Times

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AGENTS OF MERCY / The Fading Ghosts of Twilight

2009,SWEDEN

FLOWER KINGSのロイネ・ストルト(G/Vo)による新プロジェクトAGENTS OF MERCYの2009年1st。
メンツは、Nad Sylvan(Vo)、Biggo Zelfries(Key/Violin)、Pat Mastelotto(Dr)、Jimmy Keegan(Dr)にFLOWER KINGSからはお馴染みのJonas Reingold(B)、Zoltan Csorsz(Dr)。
Nadのヴォーカルはフィル・コリンズとロイネを足して2で割ったような、若干演劇風味が入った渋い感じ。そして肝心の音楽性ですが、ここ数作ではコテコテの桃源郷シンフォニック路線に落ち着き気味の本家TFKには無い陰影や叙情性が、アダルトにリラックスしたムードの中にも程良く盛り込まれており大満足です。
デジタル・シンセによる過度な装飾は皆無でピアノ、オルガン、モーグ、メロトロン、ローズ、ウーリッツァーといったオーガニックなキーボード達のサウンドやアレンジが、より楽曲と各パートのプレイの魅力を引き出してます。ロイネによる円熟のトーン・コントロールも冴え捲くってます。

Track List

1.The Fading Ghosts Of Twilight
2.The Unwanted Brother
3.Afternoon Skies
4.Heroes & Beacons
5.Jesus On The Barricades
6.Waiting For The Sun
7.A Different Sun
8.Ready To Fly ?
9.People Like Us
10.A Soldiers Tale
11.Bomb Inside Her Heart
12.Mercury & Mercy

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THE TANGENT / Down and Out in Paris and London

2009,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドTHE TANGENTの5thアルバムDown and Out in Paris and London。

アンディ・ティリソン(Kye/Vo)、テオ・トラヴィス(Sax/Fl)、ガイ・マニング(G)以外のメンバーは相変わらず落ち着かず、リズム隊の入れ替えで全員が英国人となった。

ギターの叙情的なメロディにシンセやサックス、フルートが絡み、ミニマルなオルガンフレーズに至る濃厚なイントロを持つ#1。カンタベリー風なインストパートやテオ・トラヴィスのマイルドなプレイが耳を捕らえて離さない、洒落たAORタッチのプログレ・チューン。
ジャジィなボーカル・パートを中心としつつ、鮮烈なシンセがフックとなった#2。
テーマ・メロディのリフレインとソロによる躍動感あるインスト・パートを内包した、ゆったりとレイドバックした#3。
マイルドなボーカル・パート、若干ヘヴィなパート、唸るシンセと滴るメロトロンの5拍子のインスト・パート、と意表を衝く展開を見せる#4。
叙情的なボーカル・チューン#5。
NATIONAL HEALTHのThe Collapsoを想起させる食器を落とした効果音にニヤリとさせられる#6。オルガンやエレピで繰り返されるミニマルなリフレイン、軽快なリズム、まろやかなシンセ、等々カンタベリーのオマージュで構成。

大人な落ち着きが全編を覆う少々地味な印象の中、カンタベリーとシンフォニック・プログレを融合させた独自路線が深化した佳作。

Track List

1. Where Are They Now?
2. Paroxetine - 20mg
3. Perdu Dans Paris
4. The Company Car
5. Everyman's Forgotten Monday
6. Canterbury Sequence Volume 2. Ethanol Hat Nail

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JUDY DYBLE / Talking with Strangers

2009,UK

FAIRPORT CONVENTIONの初代ボーカリストにしてKING CRIMSON胎動期にも参加していた女性シンガー ジュディ・ダイブル(Vo)の2009年4thソロ・アルバムTalking with Strangers。

アコースティック楽器を中心にしたアンサンブルに贅沢なコーラスを加えたオーガニックなサウンドでコンテンポラリーな叙情フォークを展開。ロバート・フリップ(G)、イアン・マクドナルド(Sax/Fl)、サイモン・ニコル(G)などCRIMSON、FAIRPORT人脈の他、PENTANGLEのジャッキー・マクシー、TREESのセリア・ハンフリーズ、ALL ABOUT EVEのジュリアンヌ・リーガンといった名だたる歌姫達がバッキング・ボーカルで参加しております。
イントロ的にテーマ・メロディを提示して終了するアコースティック小曲#1。
ジュディ・ダイブルが奏でるオート・ハープのかわいらしい音色がお伽噺のような曲調にマッチした叙情チューン#2ではイアン・マクドナルドが素晴らしいフルートのソロを披露。
しっとりと歌い上げるEMERSON LAKE & PALMERのカバー#3。
シンプルなピアノ伴奏に美しいボーカル・メロディが映える#4。
オートハープとフルートが印象的なトラッド風郷愁を誘うフォーク#5。
男女ボーカルの絡みと哀愁のSAXがジャジーで大人なムードを醸し出す#6。
そして19分に及ぶ#7は総勢15名がレコーディングに参加、繊細なコーラスや各種楽器の音色がフィーチャーされたプログレッシブ・チューン。#1のテーマを軸に様々な発展形で構築されたボーカル・パートに混沌としたムードのインスト部が挿入され、ISLANDS期CRIMSONのような典雅な盛り上がりを経て最後は#1のメロディと印象的な吐息のようなコーラスがリプライズされ感動的に幕を引きます。

Track List

1. Neverknowing
2. Jazzbirds
3. C'est La Vie
4. Talking with Strangers
5. Dreamtime
6. Grey October Day
7. Harpsong

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PORCUPINE TREE / The Incident

2009,UK

スティーヴン・ウィルソン(G/Vo)率いる英国のプログレッシブ・ロック・バンドPORCUPINE TREEの10thアルバムは2枚組のThe Incident。

ディスク1は、コンセプト・アルバムでは無いものの、フィクションを含めスティーヴン・ウィルソン自身や世の中で起こっている様々な「出来事」をテーマにした14の組曲。
以前同様静動の対比が生み出すレンジの広さがある種の聴き所であるのに加え、今回は轟音リフのヘヴィネスとフォーキーなアコギのカッティング、パワフルな生身ビートとエレクトロニックな無機質ビート、といった相反する要素が小曲単位で巧みに配され、各曲が切れ目無く繋がっていることも相まって、14曲を一気に聴かせる手腕がますます冴え渡っています。
歌メロが一貫して不思議なねじれ感を持った独特の暗くクールなテイストで紡がれており、「出来事」を受け入れるしかない不条理な様を表現しているようでもあります。
ハイライトは11分超の#9。アコギのカッティングをメインのモチーフとしながら、中間部ではダークなギターのアルペジオにフィードバック寸前のギターのロングトーンがうねるスペイシーな思索/トリップ・パートを配した得意のパターン。カッティングにボーカルが被さる部分が、プロデュースなどで交流のあるOPETHの雰囲気に何となく似ているのが興味深い所。
そして再び#1のリフが登場する#10と来て、メロトロンも交え暗い叙情で余韻を残して締める#14、というトータルの構築性も見事。

ディスク2も単なるアウトテイクに終わるはずも無く、ゆったりしたモダン・サイケな#1、ギター・リフのヘヴィネスやローファイ・エフェクトの使用などアイディアが盛り沢山の#2、くすんだエレピがリードする浮遊ポップ・ナンバー#3、心地良いキャッチーな歌メロ・パートとヘヴィなパートを対比させた#4など、ディスク1とは全く異なるムードでいながらそれぞれ個性的な楽曲に纏め上げています。

スティーヴン・ウィルソンの底知れぬ才能と創造性を見せ付けた充実作です。

Track List

DISC 1
1. Occam's Razor
2. The Blind House
3. Great Expectations
4. Kneel and Disconnect
5. Drawing the Line
6. The Incident
7. Your Unpleasant Family
8. The Yellow Windows of the Evening Train
9. Time Flies
10. Degree Zero of Liberty
11. Octane Twisted
12. The Seance
13. Circle of Manias
14. I Drive the Hearse

DISC 2
1. Flicker
2. Bonnie the Cat
3. Black Dahlia
4. Remember Me Lover

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TRANSATLANTIC / The Whirlwind

2009,USA,UK,SWEDEN

ニール・モーズ(Key/ex.SPOCK’S BEARD)、ロイネ・ストルト(G/FLOWER KINGS)、ピート・トレワヴァス(B/MARILLION)、マイク・ポートノイ(Dr/DREAM THEATER)によるプログレ・プロジェクト・バンドの3rd。

ニール・モーズが聖書の中のテーマ「Whirlwind=旋風・つむじ風」について構想を練っていたデモを元に、メンバーのアイディアをプラスして完成させた78分近くに及ぶコンセプト・アルバム。オープニングの#1にいくつものテーマ・メロディが提示され、それらのメロディが切れ目無く繋がった後の楽曲に楽器や音色を換えて何度も登場する、という典型的なコンセプト・アルバムの形式で構成されています。しかし彼らが普通じゃないのは、そのテーマ・メロディの質と量。並みのバンドなら1枚アルバムが作れるくらいの強力なアイディアが4~5個あり、それが縦横無尽に張り巡らされて一気に聴けてしまう恐るべきクオリティ。
コードの独特なヴォイシングやメロディの端々にSPOCK’S BEARD風というかニール・モーズ節が感じられるのは当然として、ジャジーな部分や変態っぽい箇所、開放的に突き抜ける部分に初期FLOWER KINGSのフレイヴァーも感じられ、それらの要素が巧く溶け合っているのが素晴らしいです。音を重ね過ぎず、オルガンやアナログ・シンセ、メロトロンといったオーガニックなサウンドをセンス良く配したニール・モーズ。本家FLOWER KINGSでは何となくマンネリで生彩を欠くロイネ・ストルトも、ネバっこい歌唱と独特のコシのあるギター・プレイで活き活きしてますね。ツーバス連打や滑らかなロールでメタルっぽい興奮をもたらすマイク・ポートノイ。芯のしっかりしたトーンでソリッドに、かつメロディアスに底辺を支えるピート・トレワヴァス。など、個々のプレイもそれぞれの個性を出しながらも全体のサウンドの中で浮く事無く、必然性を持って楽曲に練り込まれてます。
ブルージーなギター・ソロのバックでのアルペジオがPINK FLOYDのCrazy Diamond風でニヤリとさせる#6。テーマ・メロディが充実のボーカル・パートを彩る#8~#10の流れ。アッチェレランドのネオクラ風ユニゾン・フレーズでスリリングに盛り上げる#11。壮大に大団円を迎える#12。などなど、勿体無い位においし過ぎるネタが満載の超優良盤です。

Track List

1. Overture/Whirlwind
2. Wind Blew Them All Away
3. On the Prowl
4. Man Can Feel
5. Out of the Night
6. Rose Colored Glasses
7. Evermore
8. Set Us Free
9. Lay Down Your Life
10. Pieces of Heaven
11. Is It Really Happening?
12. Dancing with Eternal Glory Whirlwind(Reprise)

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OPIUM CARTEL / Night Blooms

2009,NORWAY/SWEDEN

WHITE WILLOWのヤコブ・ホルム・ルポ(G/Key/Vo)を中心としたANGLAGARDのマティアス・オルセン(Dr)、WOBBLERのラース・フォレデリク・フロイスリー(Key)らのプロジェクトOPIUM CARTELの1stアルバムNight Blooms。

ライス・マーシュ(Vo)の繊細な歌唱をアコギやメロトロンで優しく包み込むフォーク#1。
ギター・ポップ風のリフを加えたエレクトリック・フォーク#2。
ステファン・ベネット(Vo)とWHITE WILLOWのシルヴィア・エリクセン(Vo)のデュエットによる木漏れ日フォーク#3。中間部のシルヴィアによるウィスパー気味のソロ・パートが可憐。
ティム・ボウネス(Vo)とレイチェル・ヘイデン(Vo)のデュエットによる、美しく儚げなブライアン・イーノのカヴァー#4。
シルヴィアのオーバー・ダブによる美声天上ハーモニーにチェロやメロトロンが絡む、フォーキーな中にもエレクトロニカなビートを微かに交えたドリーミー・ポップ#5。
ヤコブ・ホルム・ルポによると思われるヘタウマ・ボーカルをフィーチュアしたポップ・ロック#6。
沈痛なメロトロンのイントロからヘヴィなサビに展開する、中期CRIMSON風ダークネスを纏った8分超のプログレッシブ・チューン#7。
レイチェル・ヘイデンをフィーチュアしたドリーミーなフォーク#8。
WHITE WILLOWの3rdアルバムSacrament収録の同名曲をカヴァーした#9。オリジナルは男女デュエットだったが、こちらはシルヴィアの無垢な美声ボーカルのみでより透明感が増量。

朗らかな音像のそこかしこに仄かに北欧的な暗さを潜ませた、プログレッシブ・フォーク。
エレクトロニカとオーガニックな管弦を巧みに融合させた温かみのあるサウンド。
メロディはあくまでも耽美で、女性ボーカルが絡む楽曲は女性ボーカル・ファン必聴。

Track List

1. Heavenman
2. Better Days Ahead
3. Skinnydip
4. By This River
5. Three Sleepers
6. Honeybee
7. Beach House
8. Flicker Girl
9. The Last Rose of Summer

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BIG BIG TRAIN / The Underfall Yard

2009,UK

英国の3人組プログレッシブ・ロック・バンドBIG BIG TRAINの2009年6thアルバムThe Underfall Yard。

ゲストで管や弦を加えた端整な室内楽風の部分にIslands期KING CRIMSON、メロトロンやメロディ等全体に漂う叙情味にGENESISを感じさせつつ、決して大仰にもウェットにもなり過ぎない現代的なバランス感覚で独特の個性を醸し出しています。

ジェントルな男声コーラスで幕を開けるインストゥルメンタル#1から早くも、仄暗い中にも端整で温かみのある独特の質感のサウンド。
押し寄せるメロトロンが圧巻の静と動の対比が見事な#2。
チェロやフレンチホルンを使ったまろやかなパートと、シンセが唸りドラムが疾走するロックなパートによる緩急が溶け合った12分超の#3。
ボーカル、コーラス、アコギのアルペジオを中心に瑞々しい演奏を聴かせる#4。
チェロ、マンドリン、メロトロンで敷き詰めた雲の上を寂寥感を漂わせたフルートが浮遊する序盤から、思索路線の歌唱パートを経てジワジワと盛り上がる#5。
オーガニックなサウンドの楽器群で丹念に紡ぎ上げ、終盤では#1のコーラス・パートをバックに劇的に盛り上がる22分超の大作#6の中間部では、元IT BITESのフランシス・ダナリー(G)が彼らしい音使いでのテクニカルなギター・ソロを、さらに、FROSTのジェム・ゴドフリー(Key)がデジタル・シンセ特有のササクレだった強烈なトーンでクレイジー&スリリング且つカッコ良いシンセ・ソロを披露。アルバム全体がお上品なムードで仕上がっているだけに、これらのソロ・パートが鮮烈に印象に残ります。又、カッコ良いフィルによる場面転換でリズムを牽引するSPOCK’S BEARDのニック・ディヴァージリオ(Dr)も全編で良い仕事をしております。彼のドラミングが適度な緊張感をもたらして、各々の楽曲に一本の芯を通してる感じなんですよね。

Track List

1.Evening Star
2.Master James of St. George
3.Victorian Brickwork
4.Last Train
5.Winchester Diver
6.The Underfall Yard

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STRAWBERRY FIELDS / Rivers Gone Dry

2009,POLAND

ポーランドのシンフォ・バンドSTRAWBERRY FIELDSの2009年1st。バンド名から来るサイケなイメージとは全く違ったそのサウンドは現代風アンビエント&エレクトロニカ風味のアンニュイなヨーロピアン・ゴシック。

RobinことMarta Kniewska嬢(Vo)の声質がGATHERING在籍末期のアネクをよりまろやかな佇まいにした感じで胸キュン。中心人物Wojtek Szadkowski(Key/Dr/G)による元COLLAGE~現SATELLITEというPOLANDシンフォ界の重鎮らしいツボを押さえたキャッチーなフックが目白押しのソング・ライティングが見事。個人的には、もうちょい必殺フックの繰り返しを少なくして別の展開を見せるとか、淡白にも感じられる打ち込み中心のドラムのサウンドとフレージングにロックな熱さをプラスするとか色々要望もありますが、現時点ではヴォーカルが全てを解決してますね。

憂いを感じさせるまろやかな歌唱をメインにしながらも、セクシーなムードを漂わせた#5やウィスパー・ヴォイスにドキっとさせられる#8など芸風の広さも垣間見せ、早くも次作に期待が高まる掘り出し物です。キャッチーな#2は何度聴いても飽きない。

Track List

1. Your Story
2. Close
3. River's Gone Dry
4. Fool
5. Moon
6. Beautiful
7. Open Your Eyes
8. Maybe
9. Flow

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Q / Frequency

2009,UK

英国のベテラン・プログレ・バンドIQの2009年9thアルバムFrequency。

マーティン・オフォードに代わりマーク・ウェストワース(Key)、ポール・クックに代わりアンディ・エドワーズ(Dr)と2名のオリジナルメンバーの交代を経て制作。(ポール・クックは後に復帰)
アルバム・タイトルのFrequency=周波数やブックレットに記されたモールス信号(バンド名とタイトル)、#2後半のメロディが#6で再登場、#3,#4,#5がクロスフェードして繋がっている所、等々にコンセプチュアルなムードが漂います。
前作でシンフォニック・プログレの奥義を習得した彼ららしく、巧みで自然な場面転換による曲構成やメロトロン風、ピアノ、エレピ、ズ太いアナログ風シンセ・リード、オルガンなど実はカラフルながらも品良く纏め上げられたキーボードの活用センスに老獪なまでの余裕を感じさせます。
印象的で美しいメロディとそれを活かすピーター・ニコルス(Vo)のマイルドな歌唱を中心に据え、堅実なアンサンブルでドラマティックに物語を紡ぐスタイルは不変です。

Track List

1. Frequency
2. Life Support
3. Stronger Than Friction
4. One Fatal Mistake
5. Ryker Skies
6. Province
7. Closer

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AGENTS OF MERCY / Dramarama

2010,SWEDEN

ロイネ・ストルト(G)とナッド・シルヴァン(Vo)のプログレ・プロジェクト・バンドAGENTS OF MERCYの2010年2ndアルバムDramarama。

一発で耳に残る奇妙なメロディのリフレインや、GENESISっぽい7拍子が初期FLOWER KINGSを思わせる、ロイネ・ストルトが得意なタイプの典型的プログレッシブ・チューン#1。
メロトロンが哀愁を呼び起こす、メロディアスなシンフォニック・バラード#2。
ハモンドB3のバッキング・リフが印象的な#3。
ラレ・ラーション(Key)がシンセを弾き捲くる凄まじいソロをフィーチュアした神秘的なムードの#4。
フレットレス・ベースのまろやかな音色がリードする、FLOWER KINGSの桃源郷テイスト漂う#5。
SUPERTRAMPっぽいウーリッツァーの音色がペーソス感を、ストリングスのオブリガードがELOを想起させる#6。勿論メロトロンも効いてます。
ちょっとセンチメンタルなフォークロア風サビを持つ透明感あるプログレッシ・フォークの#7。
アコギとスライド・ギター中心のシンプルなアレンジの#8。
ウクレレとウーリッツァーのパーカッシブなバッキングに乗せてナッドの歌唱が物語を紡ぐ#9。
メロトロンによる大仰なオープニングから一転して、軽く歪んだエレピをバックにシンフォニックなパートも含めて展開する#10。
コーラス・パートや重層的なシンセによるシンフォニック・パートがGENESISっぽいテイストの#11。
壮大でメロディアスなバラード#12。

60年代末から70年代初頭のサウンドやヴァイブを再発見するというコンセプト通り、メロディアスでレトロなムードのプログレッシブ・ロックが展開されているのは前作と同様ですが、今回はヨナス・レインゴールド(B)、ラレ・ラーションら脇を固めるメンツもライブを通して固定され、よりバンドらしくまとまってきました。
と同時に、各人の個性も浮かび上がってきました。特にナッド自ら作曲した、とぼけたムードの歌唱を活かしたキャッチーな歌モノの連作#6,#7,#8,#9における、英国っぽい叙情性が最高。全体的にはロイネ色の濃い楽曲とアレンジが目立つ中で、良いアクセントになっています。

Track List

1. The Duke Of Sadness
2. Last Few Grains Of Hope
3. Peace United
4. Journey
5. Gratitude
6. Meet Johnnie Walker
7. Cinnamon Tree
8. The Ballad Of Mary Chilton
9. Roger The Tailor
10. Conspiracy
11. We Have Been Freed
12. Time

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PANIC ROOM / Satellite

2010,UK

PANIC ROOMの2ndアルバムSatellite。

メンバーが過去に在籍したMOSTLY AUTUMNKARNATAKAが得意とするケルティックなテイストは皆無。
そんな装飾に頼らずとも勝負できるという矜持が漂う佳作。

軽快なロック・ナンバー#1。
くぐもったエレピが印象的な、コンテンポラリーなタッチのブルース風ナンバー#2。
ネコの鳴き声を模したギターで幕を開ける#3。コミカルなヴァースのムードから一転してシリアスかつミステリアスになるサビへの展開が巧妙。
アン=マリー・ヘルダー(Vo/G)がウィスパー気味に迫るムーディな#4。抑えたドラミングや霧のようなパッド・シンセが美声を引き立てています。
ザクザクしたリフがリードするハード・ロック#5。
幽玄なムードとヘヴィネスが融合したクールな#6。
12弦アコギが煌くコンテンポラリー・フォーク・ナンバー#7。耳元で囁くようなウィスパー・ヴォイスが素敵。
優しい歌唱がバックのサウンドに溶け込む、コンテンポラリー・ポップス#8。
チャーチオルガンの荘厳なアルペジオがドラマティック。ロング・トーン中心に堂々と歌い上げるハード・ロック#9。
雫が滴るようなピアノをバックに、しっとりと歌うバラード小品#10。
サビにおける絹のような美声が染み渡る、センチメンタルなエンディング・チューン#11。

アン=マリーの伸びやかな中に若干のハスキーさと憂いを含む美声をフィーチュア。
ソフトなポップスからハード・ロックまで、幅広い曲調がアン=マリーの多彩な歌唱表現を引き出し、ギミックやアクロバット的インスト・パートに頼らない普遍的なロックとしての完成度を高めている。

Track List

1. Freedom to Breathe
2. Picking Up Knives
3. I Am a Cat
4. The Fall
5. Black Noise
6. Yasuni
7. Sunshine
8. Into the Fire
9. Dark Star
10. Muse
11. Satellite

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MOON SAFARI / Lover’s End

2010,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドMOON SAFARIの3rdアルバムLover’s End。

煌くピアノとどこかセンチメンタルなハーモニカに導かれて一点の曇りも無い爽快なボーカル・メロディが登場するオープニング・ナンバー#1。ちょっとくすんだトーンのメロトロン・フルート(?)が良い感じです。

序曲風の#1のエンディングから溌剌と劇的に幕を開ける#2。FLOWER KINGSを彷彿させるシンフォニックな冒頭、YESのような疾走感あるインスト・パートを内包した14分近くの大作ながら、適度な起伏と数々の素晴らしいフックの存在が長尺である事を一切感じさせません。コーラスのメロディを引き継いでアナログ・シンセ~ギター・ソロと続く中間部は何度聴いてもトリ肌の快感。
重層的なコーラスとピアノによる透明感あるバラード#3。
素直な美メロを奏でるピアノがリードする#4。ここでもボーカル・メロディの反復からインプロヴァイズに移行するシンセ・ソロ、という楽曲のメロディを印象付ける素晴らしいアレンジが施されています。
キャッチーなボーカル・パートにプログレ由来の変拍子シンセ・パートが自然に溶け込んだ、ウルトラ・ポップ・ナンバー#5。
冒頭のメロトロンとシンセによる変拍子インスト・パートがGENESISを彷彿させるアルバム中最もプログレ的な#6。ギターとシンセのユニソン・フレーズを中心に展開していく中間部はシンフォニック・プログレ・ファンなら大興奮間違い無し。
重層コーラスをフィーチュアした#7。北欧フォークロア風なメロディを奏でる3拍子+2拍子のシンセ・パートが印象的。
甘酸っぱい余韻を残し、再び最初からのリプレイを誘う#8。

親しみやすい明るくキャッチーなメロディと、FLOWER KINGSから屈折パートやダークな部分などを取り除いた結果残った希望溢れる桃源郷サウンドで綴る爽快なプログ・ポップ。

ピアノ、オルガン、アコギ、NORDのアナログ風・シンセ、メロトロンなどを必要以上に重ねないシンプルなサウンドでボーカル・ハーモニーを引き立てつつ、インスト・パートでは自然な変拍子やプログレ然とした節回しのシンセ・ソロが耳を楽しませてくれる職人的なアレンジも見事。これでメンバー全員が昼間は別の職業に就いているパート・タイム・ミュージシャンだとは・・・。

Track List

1. Lover's End Pt. I
2. A Kid Called Panic
3. Southern Belle
4. The World's Best Dreamers
5. New York City Summergirl
6. Heartland
7. Crossed the Rubicon
8. Lover's End Pt. II

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FROST / The Philadelphia Experiment

2010,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドFROSTのライブ・アルバム2010年作The Philadelphia Experiment。

ペンシルベニア州グレンサイドにて開催された、2009年5月のRoSfest(アメリカのプログレッシブ・ロック・フェスティバル)2日目に登場したバンドのパフォーマンスを収録。
アルバム・タイトルは開催地近郊の都市フィラデルフィアと最新スタジオ・アルバムのタイトル名Experiments in Mass Appealから、1984年の同タイトルの映画をもじったものと思われます。
メンツは、ジェム・ゴドフリー(Key/Vo)、ジョン・ミッチェル(G)、ジョン・ジョウィト(B)、デクラン・バーク(G)に、脱退したアンディ・エドワーズに代わりSPOCK’S BEARDより助っ人ニック・ディヴァージリオ(Dr)を加えた5人組。さすがに実力派のベテラン揃いとあって、スタジオ・バージョンで見せたテクニカルなキメもバッチリ。
ジェム・ゴドフリーは、DISC 1 #9でプリセットの動物の鳴き声パッチでふざけたりとリラックスしたムードで、ローランドの最新デジタル・シンセを活用し、繊細なピアノからズ太いリード・シンセまで幅広いプレイを披露。
アカペラ・バージョンとなったDISC 1 #8の女性スキャット・ヴォイスもまんまローランドのサンプルですね。
ヴィンテージ楽器の音と人力プレイに拘り、それこそが”本物”と崇めるプレイヤーやリスナーの気持ちも分かりますが、70年代はそれら”ヴィンテージ楽器”こそ、当時最先端の機材だったはず。現代で言えば、ジェム・ゴドフリーが使用しているV-Synthなどがそうだ。
こういった最新鋭の楽器の持つ可能性にインスパイアされて楽曲を創造するのもプログレッシブな姿勢だと思います。

DISC 2 #3は、スタジオ・レコーディングの新曲The Dividing Line。太いデジタル・シンセのリフをベースにしたシャッフルが新鮮な序盤から、テープ逆回転、エレクトリック・ヴァイオリン等、趣向を凝らしたインストゥルメンタル・パートを包含し、キャッチーなボーカル・メロディが乗るFROSTらしい聴き応えたっぷりの16分超の楽曲に仕上がってます。

DISC 3はFROSTのオフィシャル・サイトにYoutubeでちょくちょくアップされている感じのジェム・ゴドフリー撮影による42分のドキュメンタリー映像を収録した映像とThe Dividing Lineの5.1CHサラウンド・ミックスを収録したDVD。
ライブを控えた地元イギリスでDISC 1 #1の行進する足音をサンプリングする様子など準備状況や、ホテルでDREAM THEATERのジョーダン・ルーデスとiPhoneの楽器系アプリで遊ぶ様子など、いつもながらハイパーなジェム・ゴドフリーの笑い声を中心にした映像が楽しい。

Track List

DISC 1:
1. Intro
2. Hyperventilate
3. The Forget You Song
4. Wonderland
5. Falling Down
6. Black Light Machine
7. Experiments In Mass Appeal
8. Snowman
9. Story Time
10. Pocket Sun
11. Saline
12. Dear Dead Days

DISC 2:
1. Milliontown
2. The Other Me
3. The Dividing Line

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KARNATAKA / The Gathering Light

2010,UK

ウェールズ出身のシンフォニック・ロック・バンドKARNATAKAの4thアルバムThe Gathering Light。

前作発表後、メンバー達が各々自らのバンド結成に向かいバンドは解散状態になるも、イアン・ジョーンズ(B)を中心に新たなメンバーでバンドが復活。ゲストでIONAのマルチプレイヤー トロイ・ドノックリーが参加。イリアン・パイプやホイッスルで瑞々しいケルト風味を加えています。

イリアン・パイプがパッド系シンセの海と雷鳴のSEをバックに、滑らかな音色を響かせる厳かな小曲#1でアルバムはスタート。
枯れた味わいのギターが#1のムードを引き継ぎ、シンセのオーケストレーションを中心にドラマティックに盛り上がる#2。と、冒頭2曲はインストゥルメンタル。
ミクソリディアン・モードを使用した神秘的な美メロを女性シンガー リサ・フュリィ(Vo)がしっとり歌うシンフォニック・ロック#3。
ピアノとアコギ、ストリング・カルテットをバックに伸びやかに歌い上げるバラード#4。ここでもイリアン・パイプがナイスに味付けされてます。
サビの開放的ムードが心地良い、ケルト風メロディをコンテンポラリーに昇華した10分超の#5。
ストリング・カルテットにリサの美声が乗る静かな序盤から、リズム・インして一気に広がりのあるインストゥルメンタル・パートへ劇的に展開する12分超の#6。
中近東風メロディのオブリガードを取り入れたメロディアスな#7は、メインストリームでのヒットも狙えそうなポピュラリティ抜群の佳曲。もう一聴して気に入りましたね。
そして、再びイリアン・パイプやストリングスをフィーチャーし、伸びやかな歌唱が美メロを紡ぐ14分超の#8でしっとりと余韻を残してエンディング。

特に難しい事はやってないし、コード進行や展開もオーソドックスなんですが、憂いを保ちつつもポジティブな希望的メロディが美声と優美なサウンドと相まって爽やかな感動を呼ぶ傑作です。

Track List

1. The Calling
2. State Of Grace
3. Your World
4. Moment In Time
5. Serpent And The Sea
6. Forsaken
7. Tide to Fall
8. The Gathering Light

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ASIA / Omega

2010,UK

再結成オリジナルASIAの2010年第2弾Omega。

躍動感に溢れたハード・ポップ#1。
ハウ/ウェットン作のムーディな#2。
冒頭のシズル感あるピアノのアルペジオが印象的な#3。溌剌としたヴァースとメランコリックなサビの対比が見事です。
パッド系シンセやアコギの柔らかなタッチが心地良い、サビのクラシカルなコード進行に気品が漂うバラード#4。
流れるようなピアノのアルペジオがリードするポジティブなムードの#5。間奏での7拍子リフのフックが良いアクセントになってます。
シンセ・ストリングスやティンパニによる大仰なパートをサラっと溶け込ませた余裕のセンスに、メンバーの年輪を感じさせるバラード#6。
テクノ風リフにスティーヴ・ハウ得意のスライド・ギターが絡む#7。
ジョン・ウェットンの歌唱をフィーチャーしたセンチメンタルなバラード#8。
どこか郷愁を感じさせるメロディがELOっぽい、軽快なシャッフル・ナンバー#9。
エキゾチックなフレーヴァーをまぶしたフォークロア風バラード#10。
爽快なブラス・ストリングスのシンセ・リフを持つストレートなASIA王道ナンバー#11。
メロトロン風なクワイヤをうっすらと潜ませたドラマティックなバラード#12。

スティーヴ・ハウ(1947年)、ジョン・ウェットン(1949年)、カール・パーマー(1950年)、ジェフ・ダウンズ(1952年)、と平均年齢60歳超えとは思えない若々しいサウンドの中に、豊富な引き出しからの老獪なアレンジを忍ばせた各曲のキャラ立ちも見事。彼らにしか成し得ない極上のハード・ポップが全編を覆っています。
その上、#3におけるカール・パーマーのドラム・ソロ、随所で切れ味鋭いオブリガードを聴かせるスティーヴ・ハウなど、個人技も楽しめるんだから売れるのも納得です。

Track List

1. Finger On The Trigger
2. Through My Veins
3. Holy War
4. Ever Yours
5. Listen, Children
6. End Of The World
7. Light The Way
8. Emily
9. I'm Still The Same
10. There Was A Time
11. I Believe
12. Don't Wanna Lose You Now

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TRANSATLANTIC / Whirld Tour 2010 DVD

2010,USA/UK/SWEDEN

現代プログレッシブ・ロックのスーパー・バンド、TRANSATLANTICの新作アルバムWhirldwindをサポートするツアーよりロンドン公演を収めたDVD。 2010年5月21日、会場はロンドンのShepherd’s Bush Empire。2000人収容の由緒あるホール。 ステージには左からニール・モーズ(Key/G/Vo)、ロイネ・ストルト(G/Vo)、ピート・トレワヴァス(B/Vo)、マイク・ポートノイ(Dr/Vo)が並列に並び、4人が同格である事をアピールしているようでもあります。一列下がった所にサポート・メンバーのダニエル・ギルデンロウ(G/Key/Vo/etc)が控え、少々狭いスペースでそれぞれがお互いにアイコンタクトを取りながら楽しそうに緻密なアンサンブルをキメていきます。 初っ端から最新作The Whirlwindの全編80分弱を通しで演奏。 長尺をものともしないタイトな演奏と、それを支える各メンバーの体力が凄い! それぞれの見せ場をキッチリ見せるカメラワークと編集も秀逸で、楽器をプレイする視聴者の満足度も高いですね。 インターミッションを挟み、又もや長尺の#2、ニール・モーズの12弦アコギとロイネのエレキによる美しいデュオから発展するバラード#3、DEEP PURPLEのHighway Starの一節を挿入した#4と続きDVD 1が終了。 DVD 2はアンコールの2曲。 ニール・モーズの今度はピアノとロイネ・ストルトのボリューム奏法を使用したギターのデュオでのバラード#1と、ドラムをニール・モーズに任せたマイク・ポートノイがステージ・ダイヴするラストならではの盛り上がりを見せる#2を収録。この部分は続くドキュメンタリーを見ると公演によって違っていたようで、ある時はマイク・ポートノイが仕切ってのオーディエンスとの掛け合いだったり、マイク・ポートノイがピート・トレワヴァスからベースをブン取って歌まで歌うBLACK SABBATHのHeaven and Hell(バンドが全然付いて来てない・・・)だったり、PURPLEのSmoke on the Waterだったりと、結局マイク・ポートノイのお楽しみタイムと化していた模様。 特典映像#5は、7月に行われたハイ・ヴォルテージ・フェスティバルにて、スティーヴ・ハケットを迎えてのGENESISのナンバー。ハケットの元祖ライト・ハンド奏法が拝めます。 さて、ここからは機材関係その他について。 ニール・モーズはCMEのマスター・キーボードUF80をメインに、左手にヴァーチャル・トーンホイールを搭載したROLANDのデジタル・オルガンVK-7をカギ型に配置したシンプルなセット。背後にはVK-7に接続したレズリー・スピーカーが鎮座し、本物へのこだわりを感じさせます。右手に見えるノートパソコンは、メロトロンからズ太いアナログ・シンセ風トーンまで多彩な音色をコントロールするソフトシンセをインストールしているんでしょうか。UF80の操作子を触っている様子が無いので、おそらくシーケンス・ソフトからMIDIのプログラムチェンジでパッチを切り替えているんでしょう。 そして、このライブの影の主役は何と言ってもダニエル・ギルデンロウ。 12弦アコギ、シンセ、パーカッション、バッキングボーカル、そしてエレキ、と縦横無尽に大活躍。場面転換での静かなアルペジオやロイネ・ストルトとのツイン・リード・ハーモニー、ボトルネック奏法、一部ではメンバー随一のパワフルなリードボーカルを聴かせたりと、ライヴの節目節目で印象的な役割を果たしています。 そのダニエル。よく見ると、エレキのフィンガー・ボードにPAIN OF SALVATIONの新作アルバムのタイトルである、Road Saltのインレイが施されています。ちゃっかり宣伝ですね。 さらによく見るとこのギター、7弦でしかもこのゆがんだフレットは?!

daniel

変形ヤング音律に基づいたものでは! 細かい説明は省きますが、このフレットの打ち方によって濁りの無い和音が奏でられるんですよね。 さすが完全主義者のダニエル、そこまで拘るとは・・・・ ただ惜しむらくはミックスの加減によりその効果があまり聴こえない事。残念です。ちなみにミックスはロイネ先生が行っておりますヽ(;´ω`)ノ とまぁそんな感じでお腹いっぱいのDVD2枚組。 TRANSATLANTICファンは勿論、PAIN OF SALVATIONファンも必見です!

Track List

DVD 1 (147 minutes)
1. The Whirlwind
2. All of the Above
3. We All Need Some Light
4. Duel With the Devil

DVD 2 (190 minutes)
1. Bridge Across Forever
2. Stranger in Your Soul
3. Documentary
4. Band Interview
5. Return of the Giant Hogweed (with Steve Hacket)

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