ヘヴィ・メタル のレビュー

OPETH / Deliverance

2002,SWEDEN

ミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)率いるスウェーデンのプログレッシブ・デス・メタル・バンドOPETHの6thアルバムDeliverance。
前作Blackwater Parkに続き、PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンがプロデュース。

ディストーション・ギターの轟音で奏でられるメロディの深遠なメロウネスが新鮮な#1。
ツーバス連打の激烈リフ、グロウル・ヴォイス、ノーマル・ヴォイスによる7拍子のメロウなパート、など、次々に展開していく#2。
アコースティカルな装いの鬱で静かな叙情と、ヘヴィなパートでのクールにたぎる激情が共存した#3。
アコギとマイルドなエレキで綴った寂寥感漂うインストゥルメンタル#4。
威厳すら感じさせる禍々しいリフがリードする暗黒ヘヴィネスに、リズムのトリックや複雑な音使いの不条理リフを経たフォーキーな安息を挿入した#5。
デス・ヴォイスが咆哮をあげるエクストリームなパートとアコギの深遠なパートが対比する#6。歌心を感じさせるスムーズなギターのフレージングも見逃せません。

静動・美醜・硬軟、といった様々な要素を具現化した音楽的アイディアが散りばめられた作風は相変わらずですが、それら高品位な各パーツがますますカッコ良く、あるいはミステリアス/叙情的な魅力を増しています。
さらにOPETHが驚異なのは、並のバンドなら1曲できそうなそういった魅力的アイディアが、惜しげも無く1曲の中にいくつも贅沢にブチ込まれているところ。割とやりっ放しで、伏線を張ってテーマに戻るといった構築性に乏しいところもありますが、それこそが個性と言わんばかりにアイディアを泉のごとく放出するミカエル・オーカーフェルトの才能に畏怖すら覚えます。

Track List

1. Wreath
2. Deliverance
3. A Fair Judgement
4. For Absent Friends
5. Master's Apprentices
6. By The Pain I See In Others

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DREAM THEATER / Six Degrees of Inner Turbulence

2002,USA

プログレ・メタルの先駆者DREAM THEATERの6thアルバムSix Degrees of Inner Turbulence。

全てを極めたかのような前作に続く新作ということでそれなりにプレッシャーはあったと思われますが、2枚組というボリュームでまずは度肝を抜かれます。
DISC1は従来通りのDREAM THEATERが楽しめるプログレ・メタル、DISC2は8つのパートからなる42分の組曲という構成。

前作のラストにおけるアナログ・レコードのノイズから幕を開け、ジョン・ペトルーシ(G)の7弦ギターによるロウBのヘヴィなリフに、マイク・ポートノイ(Dr)によるラップ風ボーカルやDJ風スクラッチ・ノイズ等の新機軸を加えたオープニング・チューン#1。
AOR風ボーカル・ナンバーの装いから徐々に疾走パートなどを加えて展開していく#2。
クリアなギターの優しいバッキングのキャッチーなパートからメロトロンのようなストリングスが絡み、ギターのハウリングをきっかけにヘヴィに移行する深遠でドラマティックな#3。不条理ヘヴィ・リフに乗った逆回転ギター・ソロの変態的な響きがナイス。
エフェクトを掛けたボーカルやパッド系シンセを中心としたバッキング・パートが今までに無いテイストの#4。
ミステリアスなフックを内包したメランコリックなナンバー#5。
と、DISC1は2ndで完成したDREAM THEATERのフォーマットに、若干の新しい要素を加えてアップデートしたかのような印象。
DISC2はジョーダン・ルーデス(Key)のシンセが大活躍する壮大なオーケストレーションを施したiでスタート。ポジティブなムードがまるでディズニーのようです。
軽やかなピアノを中心に爽やかにキャッチーに進行するメロディアスなii。
一転して不穏なムードでヘヴィなiii。
高速パッセージをきっかけに歯切れ良いリフがリードするivへ。疾走感の中挿入されたオリエンタルなムードが新鮮。
ジェイムス・ラブリエ(Vo)の伸びやかな美声が映えるメロウな序盤から、組曲のテーマ・メロディのリフレインを挟みマイナー調でのギター・ソロに移行するv。
アコギのカッティングがリードするアメリカン・フォーク・タッチのvi。しかしこれもそのまま終わるわけも無く終盤は入り組んだ得意の器楽アンサブルで締め。
続くviiもカラっとアメリカンなギター・リフが爽快なアップテンポのナンバー・・・・・なのは前半だけで、インスト・パートからは複雑に展開。
組曲の締めくくりは壮大なシンセのオーケストレーションから、抑えたボーカル・パートを経てジェイムス・ラブリエが歌い上げる感動の大団円へ。

若干変態な実験性を加味したDISC1、ストーリー作ながら前作とは違って爽快でポジティブな作風でまとめたDISC2と、2枚組にしたのもダテじゃありません。
アイディアの枯渇とは全く無縁であることを証明した、プログレ・メタルの第一人者らしい充実作です。

Track List

Disc 1
1. The Glass Prison
2. Blind Faith
3. Misunderstood
4. The Great Debate
5. Disappear
Disc 2
1. Six Degrees of Inner Turbulence
i) Overture
ii) About to Crash
iii) War Inside My Head
iv) The Test That Stumped Them All
v) Goodnight Kiss
vi) Solitary Shell
vii) About to Crash (Reprise)
viii) Losing Time/Grand Finale

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陰陽座 / 鳳翼麟瞳

2003,JAPAN

男女ボーカルを擁し妖怪ヘヴィ・メタルを標榜する陰陽座の2003年4thアルバム鳳翼麟瞳。

自らもマニアとしてヘヴィ・メタル・ファンの心理に応えたリーダー瞬火(B/Vo)の粋な計らいによる#1~#2のドラマティックな構成で、オープニングからリスナーのハートをがっちり鷲掴み。
ゴリゴリの疾走チューン#3。
キー=Aでボーカルは黒猫(Vo)のみというフォーマットがお約束の忍法帖シリーズ#4。
ムーディな瞬火/叙情的な黒猫の歌唱が交差し、招鬼(G)のギター・ソロが冴えるドラマティックな9分超の和風プログレッシブ・チューン#5。
オールドスクールなリフとサビの黒猫のスクリームがカッコ良い#6。
ヘヴィなシャッフルに乗った#7。
メタル・ファンならガッツポーズしそうなカッコ良いオープニングから叙情パートも盛り込みつつ展開するメロディアスな#8。
三柴 理がピアノで客演し黒猫のしっとりとしたボーカルが堪らない#9。
お約束ラストのパーティ・チューン#10。

一分の隙も無いアルバム構成で、オーソドックスかつメロディアスなHR/HMをベースに和風・妖怪という切り口で自らのアイデンティティを示しつつ、ありきたりには終わらないプログレッシブなスパイスも効かせた傑作です。

Track List

1. 焔ノ鳥
2. 鳳翼天翔
3. 麒麟
4. 妖花忍法帖
5. 鵺
6. 叢原火
7. 飛頭蛮
8. 面影
9. 星の宿り
10. 舞いあがる

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OPETH / Damnation

2003,SWEDEN

ミカエル・オーカーフェルト(G/Vo)率いるスウェーデンのプログレッシブ・デス・メタル・バンドOPETHの7thアルバムDamnation。

グロウル/デス・ヴォイス、ディストーション・ギター、ツーバス連打、といったヘヴィ・メタリックな要素を一切排し、OPETHの楽曲のそこかしこに散在するメロウな要素にフォーカス。いつも通りでヘヴィな前作Deliveranceと対になった作品。PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンが、引き続きプロデュース及びピアノ/エレピ/メロトロンといった鍵盤関係とバッキング・ボーカルでも貢献しております。

6/8拍子から4/4拍子への自然な変化で緩急を無理無く表現した#1。ミカエル曰く「色々とパクった(笑)」という中期KING CRIMSON風暗黒不条理リフレインから一転しての、むせび泣くギター・ソロへの展開が秀逸です。
イコライジングを施したようなダークで無機的な序盤から、メロトロンの洪水と共にエモーショナルにクサメロを歌い上げるサビに展開する#2。
ミステリアスなムードの#3。
奇妙な音使いのアコギによるカッティングとエレキによる単音リフ、パーカッションをバックに繰り広げられるエキゾチックかつ悪夢のようなパートがLED ZEPPELINのFriendsを想起させる#4。
不安感を煽りつつも何故か心地良い#4終盤の悪夢パートが急に途切れてクリーンなアルペジオが登場するメロウな#5、とドラマティックなアルバム構成にもぬかり無し。
メロトロンの幽玄な響きにミカエルのクリーン・ヴォイスが溶け込む暗鬱メロウ・チューン#6。
どことなく演歌っぽい(?)泣きメロを、マイルドなトーンのエレキで奏でるインストゥルメンタル#7。
スティーヴン・ウィルソンからの薫陶が明らかな、モジュレーションを掛けたエレピがミステリアスでトリップ感を誘う静謐な#8。

ある種の制約の中でどこまでOPETHらしい起伏ある楽曲展開が表現できるか、という凡人の杞憂を軽く吹き飛ばすがごとくミカエルの才能とセンスが爆発。いつもながら感心してしまう、ミカエルのクリーン・ヴォイスによる素晴らしい歌唱と歌心溢れるギター・ソロも大いに堪能できます。
素敵なジャケット・アートは勿論トラヴィス・スミス。

Track List

1. Windowpane
2. In My Time of Need
3. Death Whispered a Lullaby
4. Closure
5. Hope Leaves
6. To Rid the Disease
7. Ending Credits
8. Weakness

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DREAM THEATER / Train of Thought

2003,USA

DREAM THEATERの7thアルバムTrain of Thought。

前作ラストのシンセストリングスのフェイドインを冒頭に配し、ルート音とオクターブ+フラットファイブによるBLACK SABBATHをオリジネイターとする不穏なリフで幕を開ける#1。
前作の1曲目As I Amの続編となる#2は「アルコール依存症を克服する12ステップ」の4,5ステップ目。
暗い叙情を漂わせたギターのアルペジオのバッキングから始まる#3。ハーモニクスを交えたヘヴィなリフから激しさを加え、複雑なアンサンブル・パートからシンセとギターによる超絶テクニカル・ソロ・バトルに展開。
マイク・ポートノイ(Dr)のロールからシンコペーションが印象的なリフへと至る疾走パート、ヘヴィなボーカル・パート、メロディアスなブリッジ、と巧みに構成された#4。ジョーダン・ルーデス(Key)のエキセントリックなトーンのソロが強烈。
ピアノにチェロを加えたバッキングに、ジェイムス・ラブリエ(Vo)の胸を締め付けるような歌唱が切ない#5。
#5のメロディを引き継ぎ、ヘヴィかつメロディアスに進行するドラマティックなインストゥルメンタル#6。テーマの反復と変奏がクラシカルな構築美を持っている。インストが多いDREAM THEATERの中でも出色の出来。ジョン・ペトルーシ(G)の鬼神のような弾き捲くりがカタルシスをもたらします。
#7はもはやその手法を完全に我が物にした壮大なエピック・チューン。バビロン風リフ、ヘヴィネスとメロディの融合、思索パート、テクニカルなアンサンブル・パート、変拍子、と全てが詰まった佳曲。

相当この時期、創作意欲が充実していたんでしょう。2枚組大ボリュームの前作から2年弱での新作リリースとなった本アルバム。シンセのオーケストレーションは姿を消し、徹底的にダークさとアグレッションに拘った結果、リフの印象度がかなり高くなっています。

Track List

1. As I Am
2. This Dying Soul
3. Endless Sacrifice
4. Honor Thy Father
5. Vacant
6. Stream Of Consciousness
7. In The Name Of God

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SPIRITUAL BEGGARS / Demons

2004,SWEDEN

マイケル・アモット(G)率いるスウェーデンのハード・ロック・バンドSPIRITUAL BEGGARSの2004年6th。

脱退したロジャー・ニルソン(B)に代わりARCH ENEMYでマイケルと同僚のシャーリー・ダンジェロ(B)が加入。しかし既に、マイケルのリフ・センスと泣きのギター、ルディック・ヴィット(Dr)の”メロディアス”なドラム、JB(Vo)の猛々しくも巧いボーカル、ペル・ヴィバリ(Key)のヴィンテージ・キーボードが醸成するバンドとしてのフレーヴァーは確立されており、本アルバムで打ち出された強力な楽曲群のベクトルにはいささかのブレもありません。重厚なオープニング#1に続き、スローな叙情パートを織り交ぜアップテンポで飛ばす#2。豪快なリフを軸とワウを絡めたメロディアスなソロを聴かせる#3。歯切れ良いキャッチーなギター・リフと底辺を支えるベースのラインが融合して独特なグルーヴを生み出す#4。JBの深みある歌唱がダーティなオルガンに乗るブルージーな序盤から3連のグルーヴがTHIN LIZZYを彷彿させる後半へと展開する#5。シンプルなブルーズ・ベースのヘヴィ・ロックにメランコリックなムードを加えた#6。ワウとコード・ヴォイシングがジミヘン風なリフがリードしつつサビがメロディアスで印象的な#7。緊張感あるリフをアクセントにボーカル・パートではブルージーに展開する#8。#8のテーマ・メロディを軸にピアノやメロトロンで清廉かつ静かに、何となくアジアン・テイストなムードでリプライズした#9。B♭の重低音キーでアルバム随一のヘヴィで邪悪なリフがのたうつ#10。ユニークなリフと試走するボーカル・パートの起伏が面白い#11。歪んだエレピのソロをフィーチュアした、躍動するパートとメロウに聴かせるパートを持つ3連リズムの#12。厳かな中にもダーティに歪んだオルガンの白玉をバックに、JBのマイルドで深みのある歌唱がドラマティックなメロディを紡ぐ#13。70年代ハード・ロック・バンド達のリフやフレーズそのものを拝借するのでは無く、あくまでもオリジナルでいながら上手に先達が漂わせていたムードとかグルーヴを滲み出させるセンスが素晴らしいです。

Track List

1. Inner Strength
2. Throwing Your Life Away
3. Salt in Your Wounds
4. One Man Army
5. Through the Halls
6. Treading Water
7. Dying Every Day
8. Born to Die
9. Born to Die (Reprise)
10. In My Blood
11. Elusive
12. Sleeping with One Eye Open
13. No One Heard

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陰陽座 / 夢幻泡影

2004,JAPAN

妖怪ヘヴィ・メタルを標榜する陰陽座の5thアルバム夢幻泡影。

ムーディなイントロ#1からスピーディなメタル・チューン#2へ繋がる王道パターンで、又もやリスナーの心を鷲掴みのアルバム冒頭。もうこれだけで傑作の予感がビンビン伝わってきますね。
その#2は練られたメロディや展開もさることながら、サビでの黒猫(Vo)、瞬火(B/Vo)による歌詞を微妙に違えた演出が面白いです。
さらに、#2のエンディングからクロスフェードして畳み掛ける、IRON MAIDENのような単音ハーモニー・リフを持つ#3。黒猫の威厳をも感じさせるハリのある歌声とサビのファルセットが堪りません。
カッコ良くグイグイくる序盤から一呼吸置き、キャッチーに仕上げた#4は狩姦(G)作曲のナンバー。
瞬火と招鬼(G)によるデス声合戦と和風メロディのギター・ソロがカッコ良い#5。挿入された狂言風パートも馴染んでいるし、これは陰陽座でしかできない楽曲ですね。
続く招鬼作の#6も黒猫の演歌風ボーカルが印象的。コブシ回しが完璧で、疾走する和風リフとの相性も抜群。中間部の展開も見事なプログレッシブ和風メタルの傑作です。
COVERDALE PAGEのTake Me For A Little Whileをまんまパクったクリーンなギターのアルペジオがご愛嬌な#7は、黒猫の透明感あるハイトーンが蕩ける様に美しいポップなバラード。
忍法帖シリーズ#8はシンプルなリフをベースにしながらも、7拍子の不条理リフをバックにした台詞パートから黒猫の透き通る歌唱をフィーチャーした広がりのあるプログレッシブ・パートに展開する部分が、昇天しそうな程ドラマティック。
童謡のような懐かしさと優しさを感じさせるメロディーに、しっとりとしたボーカルが映える黒猫作のバラード#9。
そして締めはお約束パーティ・ソング#10。瞬火のソウルフルな歌唱と黒猫のチャーミングな歌唱が絶品です。

王道ヘヴィ・メタル、和風な装い、プログレッシブな展開、美メロが渾然一体となりながら、メタル然としたカッコ良さをあくまでも軸に据えた陰陽座の面目躍如たる大傑作です。

Track List

1. 夢幻
2. 邪魅の抱擁
3. 睡
4. 鼓動
5. 舞頚
6. 輪入道
7. 煙々羅
8. 涅槃忍法帖
9. 夢虫
10. 河童をどり

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CATHEDRAL / The Garden of Unearthly Delights

2005,UK

英国のドゥーム・メタル・バンドCATHEDRALの2005年8thアルバムThe Garden of Unearthly Delights。

この頃からMySpaceではMetal / Progressive / Experimentalと自称し始めた彼ら。70年代ロック好きなリー・ドリアン(Vo)の趣味が高じてのものなのか、それとも本気なのか。リーのヘタウマ・ムード重視ボーカルを中心に据えた4人編成の限界なのか、わりと似たり寄ったりの楽曲が多いCATHEDRALですが、本作は良く練られてますね。

不気味なSEのオープニング#1から雪崩れ込む#2の音塊がもたらす野蛮なヘヴィ・グルーヴは、思わずヘッド・バンギングを誘発するカッコ良さ。中盤の沈み込む暗鬱パートもナイスです。
オールド・スクールな単音リフが牽引する#3も躍動感たっぷりで序盤から飛ばしてます。ギャズ・ジェニングス(G)が久々に冴えたリフを書き、底辺を支えるレオ・スミー(B)、ブライアン・ディクソン(Dr)のコンビもヘヴィ&グルーヴィ。特にうねるレオのベース・ラインが素晴らしいです。
続く#4はバンド一丸となってブルドーザーのように突き進む得意のシャッフル・ナンバー。今までも良くあったパターンなんですが、馴染みやすいフックが盛りだくさんで楽曲のキャラが立ってますね。
70年代風グルーヴのキャッチーな#5、アコギのアルペジオによるムーディなインスト#6を挟み、超強力な#7が登場。
静かな#6との対比で殺傷力も倍増の3連で刻むリフがカッコ良いアップ・テンポのナンバーです。
典型的CATHEDRALパターンのヘヴィなシャッフルに、生気の欠けた不気味な子供のコーラスを交え新機軸を見せる#8。
そして、女性ボーカルや多彩な展開で26分超!の長尺に挑んだ問題作の#9。
緩急、静動、清濁など様々なムードの小曲が連なる組曲形式。部分部分で思わずハッとする聴き所もあるんですが、全体的な構成度は今イチでしょうか。でも、ベテランとなった今でも新たな境地に挑戦する気概が感じられて嬉しいです。

約5分のブランク後に突如始まる隠しトラックや、青リンゴがデザインされた匂い付きのCDレーベルといった楽しいオマケも最高。さすがリー・ドリアン、ツボを心得てます。

Track List

1. Dearth AD 2005
2. Tree Of Life and Death
3. North Berwick Witch Trials
4. Upon Azrael's Wings
5. Corpsecycle
6. Fields Of Zagara
7. Oro The Manslayer
8. Beneath A Funeral Sun
9. The Garden

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陰陽座 / 臥龍點睛

2005,JAPAN

妖怪ヘヴィ・メタルを標榜する陰陽座の6thアルバム臥龍點睛。

瞬火(B/Vo)のボーカルで始まるオーソドックスなハード・ロック#1。
招鬼(G)と狩姦(G)によるハーモナイズ・ソロをフィーチュアした#2。
オールド・スクールなリフがリードする#3。
と、序盤のここまでがアレンジ、プロダクション共々アッサリし過ぎでいつものドラマ性に欠けますね。バスドラのビーターのアタック音が妙に浮いてる感じでどうも気になります。

TVアニメの主題歌にもなった、黒猫(Vo)の瑞々しい歌唱が染み渡るメロディアスでカッコ良いハード・ロック#4。
クリーン・ギターのアルペジオに瞬火と黒猫のツイン・ボーカルで物語を紡ぐ#5。
ブルータルなリフと男性陣によるデス・ヴォイスでゴリゴリ押し捲り、サビでは黒猫の伸びやかな歌唱でアクセントを付ける#6。
イントロがBON JOVIのRun Awayみたいなコード進行の#7。瞬火と可憐な黒猫の歌唱がムード歌謡のような陰陽座ならではのテイストを醸し出しています。
と中盤戦は徐々に持ち直し、黒猫が作曲したメロディック・スピード・メタル・チューン#8でひとつの頂点を極めます。メタル・クイーン然としたサビの黒猫の熱唱と、斗羅(Dr)のツーバスなど典型的スピード・メタルの楽曲展開及びアレンジがカッコ良すぎる、本アルバム最初のハイライト。

#9~#11は源義経の悲劇を描いた組曲。
義経が兄・頼朝の為にとその天才的な才能を奮い、戦勝を重ねる姿を描いた勇壮な#9。徐々に義経の存在が疎ましくなり、彼を排除しようとする頼朝の策謀をお馴染み和風リフを軸にプログレッシブでダークなムードで表現したドラマティックな13分超の大作#10。自然な場面転換、必然性のある台詞パートなど、陰陽座のプログレッシブ・チューンの最高傑作と言っても良いでしょう。そして、義経と生き別れた静御前の哀切を黒猫が艶やかな歌声で紡ぐバラード#11。
#12は黒猫のチャーミングな歌唱が萌え萌えな、お約束のパーティ・ソング。

前年秋にシングルとして3ヶ月連続でリリースされた壮大なスケールの歴史絵巻#9,#10,#11が本作の最大のハイライトであることは間違いないが、先にシングルで全部揃えた者の立場からすると12曲中3曲が既に聴き馴染みの楽曲というのは少々ガッカリ。この組曲やTV主題歌の存在もあってアルバムとしてはどこかチグハグな印象(特に序盤が低調)。#4や#8のような傑作があるだけに惜しい。

Track List

1. 靂
2. 龍の雲を得る如し
3. 彷徨える
4. 甲賀忍法帖
5. 不知火
6. 鬼ころし
7. 月花
8. 蛟龍の巫女
9. 組曲「義経」 悪忌判官
10. 組曲「義経」 夢魔炎上
11. 組曲「義経」 来世邂逅
12. 我が屍を越えてゆけ

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OPETH / Ghost Reveries

2005,SWEDEN

OPETHの2005年8thアルバムGhost Reveries。

前作・前々作は自らの可能性の限界に挑戦するという実験的意味合いもあったのだろう。わざと制約を設ける中で持ち味のブルータルなアグレッションやメロウ・サイドの各々にさらに磨きをかけることに成功した彼らがそれらを全て混ぜ合わせて再構築することによって、既に完成の域にあった音楽性のさらなるステップ・アップを実現させている。
新たに正式参加したSPIRITUAL BEGGARSでお馴染みペル・ヴィヴァリ(Key)によるハモンド/エレピ/メロトロンが彩りを加え、もはや他者の追随を許さない孤高の域に達した感がある。

#1は21世紀最高のプログレッシブ・メタル楽曲だと言い切ってしまいくらい完成度が高い、OPETHの魅力が最高レベルで発揮された名曲。

Track List

1. Ghost of perdition
2. The baying of the hounds
3. Beneath the mire
4. Atonement
5. Reverie/Harlequin forest
6. Hours of wealth
7. The grand conjuration
8. Isolation years

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DREAM THEATER / Octavarium

2005,USA

DREAM THEATERの8thアルバムOctavarium。

前作エンディングのピアノによるF音を冒頭に配したヘヴィな#1は、「アルコール依存症を克服する12ステップ」の6,7ステップ目。ラストでは#8のテーマ・メロディが提示され、コンセプト・アルバムのような体裁も。
切ないピアノに弦楽四重奏が絡む美しくメロウなバラード#2。ここでも#8のテーマがさりげなく挿入されています。
一転してひしゃげた重低音リフから始まる#3。しかし歌唱パートには透明感すら感じさせる静かなメランコリック・パートもあり、その起伏がドラマティック。
伸びやかでキャッチーな#4。
7弦あるいはバリトン・ギターによる重低音リフがリードする#5。全体的にヘヴィでありながら、叙情味を持ったメロディを共存させているDREAM THEATERらしいナンバー。インスト・パートではIRON MAIDEN風(?)3連パートと通常拍子を交互に持ってくる面白いアレンジもまた彼ららしい仕掛け。
開放的なサビメロが、小刻みにのたうつヘヴィな単音リフとのギャップを生んでいる#6。構築度の高いギター・ソロ、テクノ風シンセのシーケンスなど、アレンジのセンスも円熟の境地。
ミステリアスな歌唱パート、テクニカルなソロ・パート、メロディアスな器楽アンサンブルで構成された#7。
と、ここまで比較的コンパクトな楽曲にメロディとアレンジの妙を凝縮したトラックが続き、いよいよ5パートからなる大作#8へ。
PINK FLOYDのShine on You Crazy Diamondを彷彿させる序盤は、ジョーダン・ル-デス(Key)の独壇場。ペダル・スティールのようなポルタメントの効いた音色はContinuum fingerboardという機材を使っている模様。このアナログ・シンセ風トーンにはプログレ・ファンも大喜びでしょう。続く12弦アコギのアルペジオに乗るボーカル・パートはGENESISのようでもあります。
2パートはテーマ・メロディを中心にジェイムズ・ラブリエ(Vo)の歌唱をフィーチュアした優しく開放的なムード。
アナログ・シンセのスケール練習風ソロもGENESIS的。スピードはかなり速いですが。
緊張感を持った3パートは作詞者のマイク・ポートノイ(Dr)のコーラスが登場。はっきり言って下手ですね。
超絶アンサンブルにジャズ風も交えた器楽パートを経て激しい4パートへ。
そして壮大な5パートでは締めくくりに相応しく、歌い上げるボーカルにオーケストラも参加し大団円へ。ラストのピアノ音がアルバム冒頭への回帰を促す、というクラシックな手法も微笑ましいです。

5人で作った8作目のアルバムでタイトルもOctavarium。ヒュー・サイムによるジャケットやブックレットの至るところに8や5にまつわる図形やイラストが配され、コンセプト・アルバム風ではありますが、音楽そのものというよりもアートと連動した曲のキーや色々な仕掛けにテーマを隠したパッケージ・メディアとしてのトータル・コンセプトのようです。
ただ先人達がそうしてきたように、意味ありげな意匠に拘るところも又ファンの知的好奇心をくすぐる、ということをバンド(というかマイク・ポートノイとジョン・ペトルーシ)は良く解ってますね。
前作でヘヴィネスとアグレッションに一応の決着を付けたからか、本作には全体的に開放的ムードが感じられます。良いメロディをコンパクトに追求した結果でしょうか。アルバムのテーマ8=1オクターブ=8音というところに特に#2~#4あたりのメロディ志向が宣言されていると解釈しているんですが。

Track List

1. The Root Of All Evil
2. The Answer Lies Within
3. These Walls
4. I Walk Beside You
5. Panic Attack
6. Never Enough
7. Sacrificed Sons
8. Octavarium

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THEATRE OF TRAGEDY / Storm

2006,NORWAY

THEATRE OF TRAGEDYの2006年6th。

前作Assemblyでデジ・ロックな方向性を進めるバンドと音楽性の相違により脱退したリヴ・クリスティンに替わり、ネル・シグランド(Vo)が新たな歌姫の座に。エンジェリック度はややリヴ嬢に劣るものの水準以上の実力の持ち主で、歌唱は完璧。こんな声好きですね。曲調もデジ・ロックで鍛えたリズム面を強調しながら、メタル風味も復活。かつてのダークで耽美だがともすると一本調子だったゴシック・メタルから、新境地を切り開いた感がある。そう考えると最近2作の寄り道も無駄ではなかった。曲調、メロディのバリエーションも豊富。#1以外にも強力な曲が欲しいがそれは今後に期待するか。

Track List

1. Storm
2. Silence
3. Ashes and Dreams
4. Voices
5. Fade
6. Begin and End
7. Senseless
8. Exile
9. Disintegration
10. Debris

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DARK LUNACY / The Diarist

2006,ITALY

イタリアのメロディック・デス・メタル バンドDARK LUNACYの2006年3rdアルバムThe Diarist。

第二次世界大戦のレニングラード包囲戦をテーマとしたコンセプト・アルバム。
#3が好きです。こんなに切ないリフ久々です。それにかぶさるデス声も最高。鳥肌立ちます。女性Voの曲もあったりしてMY萌えポイントも突いてきますね。クサくないメロディに好感持てます。ちょっと3連系が多いのはこの人達の特徴なんでしょうか。

Track List

1. Aurora
2. Play Dead
3. Pulkovo Meridian
4. The Diarist
5. Snowdrifts
6. Now is Forever
7. On Memory's White Sleigh
8. Heart of Leningrad
9. Prospekt
10. Motherland
11. The Farwell Song

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DELAIN / Lucidity

2006,NETHERLANDS

元WITHIN TEMPTATIONのKeyマタイン・ウェスターホルトによるゴシック・メタル・プロジェクトDELAINの2006年作。マタインのシンセによるオーケストレーションが現WITHINとは又違うニュアンスでの壮麗なサウンドを醸成し、無名の新人シャルロット嬢(19才!)によるクセの無い美声がその上をたゆたう。ただ、若干淡白な印象も。ゲストのシャロン嬢が4で現在のWITHINでのそれよりも繊細な歌声を聴かせる。表現力はさすがに彼女の方がはるかに上だ。さらにLEAVE’S EYESのリヴ・クリスティーンが#5,#10に参加。#5の2番を歌っているのはリヴ嬢。独特のエンジェリック・ヴォイスはさすがにムードあります。#10でも浮遊感たっぷりでウットリします。と思ったらマルコ・ヒエタラのパワフルな歌唱で突如現実に引き戻されたりして・・・

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GATHERING / A Noise Severe

2007,NETHERLANDS

GATHERINGの2007年3月のチリ公演の模様を収録した2枚組ライブ、2007年作A Noise Severe。

全体的にオーディエンスの歓声が大きめにミックスされており盛り上がりが凄まじい。
オープニングから物凄い事になっています。バンドのプレイは一部で危ない部分もあるが、それを補って余りあるアネク・ヴァン・ガースバーゲン(Vo)の艶のある歌唱が素晴らしいです。セット・リストも新旧の名曲を上手く並べ、さながらアネク時代の総集編の様相。やはり、というべきかLeavesやEleanor, Strange Machinesといった曲ではイントロからオーディエンスが爆発。

Track List

Disc 1
1. Shortest Day
2. In Between
3. Liberty Bell
4. Probably Built In The Fifties
5. Even The Spirits Are Afraid
6. Saturnine
7. Monsters
8. Alone
9. A Noise Severe
10. Leaves
11. Eléanor
12. In Motion #1

Disc 2
1. Waking Hour
2. On Most Surfaces
3. Strange Machines
4. Adrenaline
5. Third Chance
6. Black Light District
7. Travel

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陰陽座 / 魔王戴天

2007,JAPAN

全国ツアーやベスト盤で話題を提供しつつも、スタジオ盤となると2年ぶりとなる陰陽座の2007年7thアルバム魔王戴天。

オープニングに続く疾走系#2で早くもブリテュッシュ由来の古典的アレンジに和風テイストを織り込む独自の王道パターンで聞き手をKO。
キャッチーな#3、ヘヴィな#4とたたみかけて忍法帖シリーズの#5では斬新なアレンジと安全地帯(古ッ!)のようなサビで意表を突いて来る。
そして妖怪プログレッシブな#7の巧みな変拍子アレンジ、黒猫がしっとり艶やかに歌い上げる胸キュン・バラード#9と続き、最後は瞬火がポジティブなメッセージ・ソング#10を伸びやかに披露して大団円。というアルバム構成も完璧。前作のモヤモヤを3倍返しで吹き飛ばす快作だ。

Track List

1. 序曲
2. 魔王
3. 黒衣の天女
4. 不倶戴天
5. 覇道忍法帖
6. ひょうすべ
7. 大頚
8. 骸
9. 接吻
10. 生きることとみつけたり

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OPETH / The Roundhouse Tapes

2007,SWEDEN

OPETHの2006年11月9日ロンドン公演を収録したライヴThe Roundhouse Tapes、2007年リリース。

当日の模様がMCも含め忠実に再現されており臨場感抜群。Mikaelのクリーンとグロウルを見事に使い分けたヴォーカル・パフォーマンスが静と動を見事に表現し、Peterのナイスなギター・ワークが彼らの楽曲の複雑なアレンジをライヴでも破綻無く再現。
Perはディストーション・オルガンを中心としたKeyによるサポートとバッキングVoでもサウンドに厚みを持たせる事に多大に貢献している。
素晴らしくタイトな演奏はメンバーのミュージシャン・シップの高さとバンドの充実ぶりを伺わせる。しかし残念ながらPeterは既に脱退。この事が2008年春にリリースが予定されている新作にどう影響するか注目です。

Track List

Disc 1
1. When
2. Ghost of Perdition
3. Under the Weeping Moon
4. Bleak
5. Face of Melinda
6. The Night and the Silent Water

Disc 2
1. Windowpane
2. Blackwater Park
3. Demon of the Fall

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DREAM THEATER / Systematic Chaos

2007,USA

DREAM THEATERの9thアルバムSystematic Chaos。

アルバム冒頭とラストにPART1とPART2の楽曲を配すると言うKING CRIMSONのような構成の#1。まずはテーマを提示という感じで特にクライマックスは無し。
メランコリックでキャッチーなメロディとヘヴィネスが理想的に融合した#2。
仕事中毒で音数の多い自分達自身を表現したかのようなタイトルの#3。
入り組んだ音使いのリフをベースにラップ調のボーカルを配した#4。インスト・パートはアヴァンギャルドな要素も含めて多様に展開。ジョン・ミュング(B)のパーカッシブなベースがアクセントになっています。
「アルコール依存症を克服する12ステップ」シリーズの8,9ステップとなる#5は、これまでと違って落ち着いたより内省的なムード。
シンセのシーケンス・パターンに乗せた、調子の悪いQUEENのようなコーラス・パートを含んだ#6。
イントロではっきりとしたテーマ・メロディを提示し、アコギのアルペジオから静かに展開していく15分近いエピック・チューン#7。予想通りサビで盛り上がるもののメロディが弱いのが難点。今イチ突き抜けた感が足りないんですよね。インスト・パートのクオリティは高く、スリリングなシンセとギターのソロ及びハーモニーが聴ける。
思索パートから始まる#1の続きである#8。疾走する和風音階のようなリフはなかなか面白いものの、#1のインパクトが弱かっただけに、あえて分断して配置した意図が成功しているとは思えない。

アトランティックからロードランナーに移籍した第一弾。ここ数作は綿密な計算の元、明確なテーマを持つ作品が続いたが、本作はテーマが無いのがテーマのような、とにかく心機一転、思いついたものをそのまま楽曲にしたかのような作風となっている。その結果、随所にDREAM THEATERらしさを感じられる反面、新鮮な驚きに欠けるきらいも。妙なラップや変てこなコーラスが耳に残るようではね・・・・・。前作ではキレ捲くっていたジョーダン・ルーデス(Key)の存在感が薄いのも残念。
自らの音楽性を見事に表現したタイトルが秀逸なだけに惜しい。

Track List

1. In The Presence of Enemies Pt.1
2. Forsaken
3. Constant Motion
4. The Dark Eternal Night
5. Repentance
6. Prophets Of War
7. The Ministry of Lost Souls
8. In The Presence of Enemies Pt.2

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陰陽座 / 魑魅魍魎

2008,JAPAN

陰陽座の2008年8thアルバム魑魅魍魎。

瞬火が毎回、自らのマニアっぷりを隠そうともせずに施す1~2曲目の流れ、というメタル・ファンのハートを鷲づかみにする仕掛けが今回は無し。
Gソロで盛り上げといての尻切れトンボのようなエンディングは一体?
スクラッチ・ノイズとピッキング・ハーモニクスを絡めたバッキングがカッコ良い#3。#4でのサビ・メロにうっすら合わせたハーモニーの練り具合、等ピンポイントではナイスな要素が点在しつつもそれを楽曲単位に昇華できないもどかしい展開の序盤戦。
が、陰陽座らしい和風なおどろおどろしさの#6あたりから様相は一変。#7の舞い上がるような黒猫によるサビメロも、陰陽座カラー満点。
続くクライマックスの#10は、黒猫による美と瞬火による妖しいムードという序盤の対比、ムーディなツイン・ギターからアップテンポに移行する中盤の展開、
そして黒猫による台詞を合図に突入するヘヴィな終盤と、一分の隙も無く物語が紡がれたまさに妖怪ヘヴィ・メタルな秀作。
中盤以降だけなら陰陽座の最高傑作ですよ。

Track List

1. 酒呑童子
2. 蘭
3. がしゃ髑髏
4. 野衾忍法帖
5. 紅葉
6. 青坊主
7. 魃
8. しょうけら
9. 鬼一口
10. 道成寺蛇ノ獄
11. 鎮魂の歌
12. にょろにょろ

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DRACONIAN / Turning Season Within

2008,SWEDEN

スウェーデンのゴシック・メタル・バンドDRACONIANの2008年4th。ヘヴィなリフと胸が痛くなる程の哀切メロディを基調に、男性グロウル・ヴォイスと清楚な女性ヴォーカルが50:50で迫り来る、音密度の高い王道ゴシック・メタル。必要以上に出過ぎないキーボード・アレンジが好印象。キーボードの装飾が少ないと単調になりがちなこのジャンルですが、耽美なパートと不条理系パートを巧みに出し入れしつつ男女ヴォーカルを上手く絡めてギリギリ乗り切ってます。不穏なイントロに期待が高まる#1の全て、#4のサビや#8の女性ボーカル入る所、#5中間部のヴォーカルを導くギターによる切ないメロディ、等ピンポイントで強力にツボを突いてくるのはそれなりのキャリアを積んでいるが故なせる業なのか?

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