フォーク のレビュー

TUDOR LODGE / Tudor Lodge

1971,UK

英国の3人組フォーク・グループTUDOR LODGEの1st。

紅一点アン・スチュワート(Vo/G/Pf/Fl)の伸びやかで清楚な美声を中心にした美しい歌唱、コーラス・ハーモニー、アコギ、ゲストの管弦楽が品の良いアンサンブルでバックを固めています。アメリカ人であるアン・スチュワートがもたらしたものなのか、アメリカンでほのぼのと明るいムードの中にも気品を漂わせたところが英国らしくて良いですね。又、神秘的なイントロから寂寥感あるフルートのメロディを経て叙情的に迫る#7や、リンドン・グリーン(Vo/G)による流麗なアコギによるインスト#11のような適度にウェットな楽曲がアクセントになっています。セッション・プレイヤーとしても売れっ子だったPENTANGLEのダニー・トンプソン(B)、テリー・コックス(Dr)も参加してます。

Track List

1. It All Comes Back to Me
2. Would You Believe?
3. Recollection
4. Two Steps Back
5. Help Me Find Myself
6. Nobody's Listening
7. Willow Tree
8. Forest
9. I See a Man
10. Lady's Changing Home
11. Madeline
12. Kew Gardens

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STRAWBS / From the Witchwood

1971,UK

前身は”ストベリー・ボーイズ”というちょっと恥ずかしい名前のブルーグラス・バンドだったSTRAWBSの1971年4thアルバムFrom the Witchwood。
後にYESに加入するリック・ウェイクマン(Key)が在籍していた事で有名です。基本的には美しいハーモニーとアコギを中心とした素朴でメロディアスな田園フォークながら、そこにラテン、インド、サイケ等々様々なエッセンスを上手くトッピングし独自のカラフルな世界を構築しています。その立役者はリック・ウェイクマン(Key)でしょう。

レズリーが唸るグリッサンドからテンポアップし、クラシカルな格調高いハーモニーで締める#1のオルガン。
転がるように軽快な#4のピアノ。
クラシカルな#5冒頭のチャーチオルガン。
サイケな#6や#7のオルガン。
#8の優しくヴォーカルハーモニーを包み込むメロトロンと煌びやかな響きのオブリガードを奏でるピアノ。
厳かな#9のハープシコード。

場面に合わせて様々なキーボードがアレンジに上手く溶け込みサウンドに彩りを加えてます。バンジョーやシタールも効果的に使用されています。

Track List

1. A Glimpse Of Heaven
2. Witchwood
3. Thirty Days
4. Flight
5. The Hangman And The Paptist
6. Sheep
7. Cannondale
8. The Sheperd's Song
9. In Amongst The Roses
10. I'll Carry On Beside You
11. Keep The Devil Outside

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MELLOW CANDLE / Swaddling Songs

1972,IRELAND

クロダー・シモンズ(Vo/Pf)、アリソン・ウィリアムス(Vo)という美声シンガー2名を擁したアイルランドの5人組フォーク・ロック・バンドMELLOW CANDLEの唯一作Swaddling Songs。

トラッドの薫りを漂わせながらも時代を超越したキャッチーさを併せ持つボーカル・メロディに、端整なハープシコードや流麗なピアノ、少々控えめなギターにしっかりしたリズム・セクションで練りこまれたアレンジを施した美しいフォーク・ロックが楽しめます。
ボーカルの2人はレコーディング時にはティーン・エイジャーだったといのが信じられないくらい、バックの演奏に負けない堂々とした歌唱を聴かせます。
#1,#6,#10では姉さん風左CHと可憐な右CHという違うキャラクターの美声がハーモニーを紡いだり#9では左右CHでボーカルを掛け合ったりと単調にならない仕掛けや、楽曲のバリエーションの豊富さも、古さを感じさせない要因でしょう。女性ボーカル・ファン必聴作品です。

Track List

1. Heaven Heath
2. Sheep Season
3. Silver Song
4. The Poet And The Witch
5. Messenger Birds
6. Dan The Wing
7. Reverend Sisters
8. Break Your Token
9. Buy Or Beware
10. Vile Excesses
11. Lonely Man
12. Boulders On My Grave
13. Feeling High
14. Tea With The Sun

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PARLOUR BAND / Is a Friend?

1972,UK

英国のロック・バンドTHE PARLOUR BANDの1972年唯一作。

基本フォーク・ロックで、マイルドなリードボーカルと美しいハーモニーを中心にオルガンや時にハード・エッジなギターも絡め、アメリカンほど爽やかには抜け切らない英国らしく少々くぐもった独特な優しいサウンドを展開してます。ほとんどが3~5分台のコンパクトな楽曲で、一部に女性コーラスを使用したりとメジャー志向も感じられますが、冒頭の寂寥感たっぷりなエレピから紡がれる7分超の大作#10にみられる場面転換や哀愁のサビなどは時代を反映したアーティスティックな路線でバンドの力量を思い知らされます。

Track List

1. Forgotten Dreams
2. Pretty Haired Girl
3. Spring's Sweet Comfort
4. Early Morning Eyes
5. Follow Me
6. Evening
7. Don't Be Sad
8. Little Goldie
9. To Happiness
10. Home

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FOGGY / Simple Gifts

1972,UK

ダニー・クラークとレニー・ウェズレイによる英国のフォーク・デュオFOGGY DEW-OがFOGGYと改名しての1作目Simple Gifts。

BEATLESのカヴァーなどポップな楽曲をジェントルなハーモニーを中心に、時に牧歌的なムードも漂わせながら独自の世界観で料理。
プロデュースしたトニー・フーパーらSTRAWBSのメンバー3名がレコーディングに参加。
オートハープやマンドリン、ヴァイオリンが牧歌的なメロディを奏でるトラッドをアレンジしたオープニングのインスト#1や、シタールを使用しドローン音に乗って展開するエキゾチックな#3など、70年代イギリスならではの要素も。
また、くすんだストリングスがリコーダーの素朴な音色と絶妙のマッチングを見せる優しいナンバー#4や、洒落たピアノがリードする楽しい楽曲に、何故か霧のようなストリングスが被さって独特のムードに仕上がった#8では、STRAWBSのブルー・ウィーバーもメロトロンで大活躍。

のどかなフォークを軸にプログレッシブ・ロック全盛期のスパイスが随所に効いて、なかなか飽きさせません。

Track List

1. Simple Gifts
2. Baby Day
3. She's Far Away
4. My Song
5. Let It Be
6. Madelaine
7. I Wasn't Born To Follow
8. Kitty Starr
9. Was It Only Yesterday
10. How Come The Sun
11. Nobody Knows
12. The Very First Time
13. Take Your Time
14. Ojd Moot Hall
15. Simple Gifts

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カテゴリー: FOGGY

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FANTASY / Paint a Picture

1973,UK

英国のフォーク寄りプログレ・バンドFANTASYの1973年1stアルバムPaint a Picture。

ジャケットのイメージ通りオルガン、アコギ、素朴な男性ヴォーカル・ハーモニーを中心とした牧歌的なサウンド。
しかしながら決して明るくなり過ぎず、適度に湿った叙情性と若干の緊張感を保ち続けている所に個性が感じられます。
ゲストのチェロやブラス、意外とハードエッジなエレキ・ギターが随所でアクセントとなっており、多彩なアレンジで各曲のキャラを立たせてます。又、あまり目立たないながらもメロトロンがうっすらと上品に使用されておりセンスの良さを伺わせます。
しかし何と言ってもオルガンとアコギを中心にファンタジックなサウンドでジワジワ来る叙情フォークの#1が最高。2コーラス目、右CHのオルガンによるフリジアン・モードを使用したフレーズにもうメロメロ。こういうモーダルな響きは大好きです。

Track List

1. Paint A Picture
2. Circus
3. The Award
4. Politely Insane
5. Widow
6. Icy River
7. Thank Christ
8. Young Man's Fortune
9. Gnome Song
10. Silent Mine

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SPIROGYRA / Bells,Boots and Shambles

1973,UK

ブリティッシュ・フォーク・ロックの名バンドSPIROGYRAの1973年3rdアルバムBells,Boots and Shambles。
この時点で正式メンバーは全曲を手がけたマーティン・コッカーハム(Vo/G)、バーバラ・ガスキン(Vo)の2名のみで、過去の在籍メンバーやゲストのヴァイオリン、フルート等のプレイヤーを加えて制作されています。

アコギのアルペジオからフルートやチェロが幽玄に絡みドラマティックに展開するプログレッシブ・フォークの#1。
バーバラの天使のような歌声がアコギ、フルート、チェロによる厳かな伴奏の中に映える英国叙情満点の#2。
マーティンが歌うアメリカンなムードのフォークにバーバラの雲間から光差すような神々しいスキャットが清涼感をもたらす#3、後半は一転してバーバラがメインの叙情フォークになってます。
ピッコロ・フルートとアコギのシンプルな伴奏にバーバラのボーカルが乗る美しすぎる小品#4。
ドリーミーな中に屈折したムードを織り込んだ#5。
マーティンの歌う穏やかな#6。
疾走するアコギのパートからトランペットとバーバラのスキャットによるメイン・テーマのリフレインでドラマティックに幕を引く組曲形式の#7。

マーティンのアクの強いボーカルは好き嫌いが分かれそうな部分ではありますが、その存在がバーバラの儚げな美声をより一層輝かせると共に絶妙な陰影と起伏をアルバムにもたらしています。

Track List

1. Furthest Point
2. Old Boot Wine
3. Parallel Lines Never Seperate
4. Spiggly
5. Everyday Consumption Song
6. Sergant Says
7. In the Western World

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QUICKSAND / Home is Where I Belong

1973,UK

英国のプログレッシブ・フォーク・ロック・バンドQUICKSANDの唯一作。

ピアノとどっしりしたリズムに乗っておおらかなサビに移行するキャッチーなロック#1。
細かくロールするドラムをバックに、オルガンとギターがスリリングにユニゾンでメロディを展開するインスト志向の#2。
牧歌的なムードを漂わせたフォーク・ロック#3。
アコギのカッティングがリードしつつも、オルガンとギターのハーモニーによるメイン・メロディやシンセのカウンターメロディが印象的なプログレ風フォーク#4。
回転スピーカーのノイズから始まり、モジュレーションのかかったボーカルとメロトロンでミステリアスに展開する#5。
前曲の混沌から打って変わって、英国的翳りのあるポップさを持ったメロディアスな#6。
再び彼らのトレードマークのオルガンとギターのハーモニーが聴ける#7。
ハーモニーを活かしたボーカル・パートとセンチメンタルなサビの歌モノ#8。
シンセのリフレインが唸る哀愁のインストゥルメンタル#9。
イントロのくぐもったアコギのコード・ワークから既に泣ける、これまた哀愁たっぷりなエンディング・ナンバー#10。

ギター、ベース、キーボード、ドラムの4人組で、全員が歌えるのを活かしたコーラス・ワークがキャッチーな楽曲に彩を添えています。
カラフルでエモーショナルなバリエーションに富んだ曲調に、ムサいジャケから連想される野暮ったさも加えて独特の味わいに仕上がったなかなかの逸品です。

Track List

1. Hideway My Song
2. Sunlight Brings Shadows
3. Empty Street,Empty Heart
4. Overcome the Pattern
5. Flying
6. Time to Live
7. Home is Where I Belong
8. Season
9. Alpha Omega
10. Hiding it All

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COMUS / To Keep From Crying

1974,UK

COMUSの2ndアルバムTo Keep From Crying。

1stでの呪術的なムードや土着的トライバルなリズムが影を潜め、新機軸としてシンセやドラムスを本格導入することでフォーク・ロックとしての型も整いアレンジがスッキリと洗練されました。
そのことにより本来持ち合わせていたドリーミーでメロディアスな要素が前面に出ており、ポップと言っても良い仕上がりになってます。
前作の名残は少々エキセントリックなニュアンスの男女ヴォーカルに若干感じられる程度で、幽玄だったアコギも構築されたアンサンブルの一部として昇華され機能。理性的に制御された曲展開はコンパクトながらもドラマティック。
プログレにかなり接近した出来で、1stとは180度異なった頂点を極めたアルバムです。

Track List

1.Down (Like a Movie Star)
2.Touch Down
3.Waves and Caves
4.Figure in Your Dreams
5.Children of the Universe
6.So Long Supernova
7.Perpetual Motion
8.Panophany
9.Get Yourself a Man
10.To Keep from Crying
11.After the Dream

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CELESTE / Principe di un Giorno

1976,ITALY

イタリアの4人組プログレッシブ・フォークCELESTEの1976年1st。

メロトロンのストリングスにヴァイオリンが絡み、アコギのアルペジオとフルートのハーモニーをバックにジェントルなボーカルが乗る清涼感溢れる#1。後半はアコギのアルペジオが作り出す神秘的なムードの中、フルートやサックスがドリーミーなソロを展開。バックの雫のようなピアノの音色が又良い感じです。
アコギ、ピアノの伴奏にフルートのハーモニーと牧歌的なボーカルが乗る#2。
3声コーラスと重々しいメロトロンがダークなムードを醸成する#3。ホルンやオーボエ風のシンセが登場する中間部で暗闇の中に一筋の光明が射し込む端整なナンバー。
スペイシーなシンセのSEと妖しいスキャットを引き裂き、KING CRIMSONの宮殿風な神々しいメロトロンが登場する#4。深遠なムードのフルート・ソロからチャーチ・オルガンとクワイヤで荘厳なクライマックスを迎えるインスト部を包み込むボーカル・パートは、ダークなムードに牧歌的なテイストも。
地中海風な明るいメロディの、ほのぼのとしたフォーク小品#5。
壮大で物悲しいメロトロン・ストリングスを軸に、フルートのハーモニーでホッとさせる静寂パートを盛り込んだ#6。
アコギとピアノ、メロトロンをバックにフルートが舞う田園フォークに、5度で硬質にハモったサックスのジャシーな響き、胸が締めつけられるほど美しいメロディのピアノ・ソロ、といったインスト・パートをフィーチュアした#7。

アコギ、ピアノ、フルート、ヴァイオリンといったアコースティック楽器の素朴なトーンにメロトロンが自然に溶け込み、まどろむようなサウンドを聴かせてくれます。各楽器がそれぞれ重要な役割を持ちつつ紡がれていくアレンジが、音数は少ないながらも非常に練られており、上品で端整な仕上がりとなっています。時折登場するシンセもSEっぽい使い方やピッチ・ベンドのこなれなさが新鮮で面白いアクセントになっています。

Track List

1. Principe Di Un Giorno
2. La Danza Del Fato
3. Eftus
4. Favole Antiche
5. L’imbroglio
6. La Grande Isola
7. Giochi Nella Notte

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ILLUSION / Out of the Mist

1977,UK

オリジナルRENAISSANCEのメンツから、感電死したキース・レルフを除いたメンツで結成されたバンドILLUSIONの1977年1stアルバムOut of the Mist。

RENAISSANCE期には中途半端にも感じられたクラシック風味を抑え、叙情フォーク・ロック路線に的を絞った作風。
ジェーン・レルフ(Vo)の儚げにも聴こえるヴォーカルとジョン・ホウクン(Key)の耽美なフレーズ連発のピアノを中心として、端整な演奏でくすんだフォーク・ロックを展開してます。
ジェーンのベルベットのような歌声が軽快なピアノに乗る#2や7拍子が心地良い#4、ジェーンの伸びやかな歌唱が堪能できる#5など意外とPOPでキャッチーなテイストも。
しかし何といっても#3ですね。この3拍子に乗ったメロウな楽曲ではジョン・ホウクンの耽美なピアノとジェーンの歌唱が見事なハーモニーを奏で、穢れ無き世界を表現。
#6はRENAISSANCEの2ndアルバムIllusion収録の名曲をセルフ・カバー。
モーグの刺激的なイントロから始まり、メロトロンと美しいコーラスでアニー・ハズラムのRENAISSANCEに劣らない壮大なシンフォ・ロックを提示した#7も見事。

突き抜けきらないPOPさと、繊細なウェット感を併せ持った英国情緒満点の愛すべき1枚です。

Track List

1. Isadora
2. Roads to Freedom
3. Beautiful Country
4. Solo Flight
5. Everywhere You Go
6. Face of Yesterday
7. Candles Are Burning

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ILLUSION / Illusion

1978,UK

ILLUSIONの1978年2ndアルバムIllusion。

ジム・マッカーティ(Vo/Per)とジェーン・レルフ(Vo)の美しいハーモニーとメロトロンをバックにしたピアノのリフレインが印象的で気品ある佇まいの#1。
アコギがリードする田園フォークからピアノとコーラスを交えた美しいアンサンブルに発展する#2。
これまた男女ヴォーカルのハーモニーがうっとりするほどの#4。
シンセとプリミティブなビートを融合させた実験作#5。
ムーディなジェーンのヴォーカルがエレピとメロトロンをバックに堪能できる#6。
壮大なオーケストレーションでドラマティックにエンディングを飾る#7。

ジョン・ホウクン(Key)のピアノをアンサンブルの中心に据えるスタイルは不変ながら、1stでの湿り気はやや後退し、爽やかとも言える美しいメロディで彩られたコンテンポラリーなサウンドに。そんな中にあって、ジェーン・レルフ(Vo)が切々と歌う#3が前作の#3”Beautiful Country”にも通ずる神秘性で異彩を放っています。

Track List

1.Madonna Blue
2.Never Be the Same
3.Louis' Theme
4.Wing Across the Sea
5.Cruising Nowhere
6.Man of Miracles
7.The Revolutionary

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KALEIDOSCOPE / White Faced Lady

1990,UK

FAIRFIELD PARLOURの実質2ndアルバムでありながら、制作した1970年にレコード会社との移籍トラブルが原因でお蔵入りとなっていたものを突如1990年に元のバンド名であるKALEIDOSCOPE名義でリリースしたKALEIDOSCOPE (=FAIRFIELD PARLOUR)の通算4tnアルバムWhite Faced Lady。

2枚組のコンセプト・アルバムというフォーマットは当時のプログレッシブ・ロックでもさかんに採られた手法ではあるが、1970年というのはそれでも早い部類でしょう。
不遇のKALEIDOSCOPE時代から、陽の当たるFAIRFIELD PARLOURへの転身を果たし、乗りに乗っていたバンドの創作意欲が迸る作品。サイケ風味のメロディアスなフォークをベースに時に管弦を交え、清涼感たっぷりのサウンドでエンジェルという名の女性の生涯を描いています。

Track List

DISC 1
1. Overture
2. Broken Mirrors
3. Angels Song: Dear Elvis Presley
4. Nursey, Nursey
5. Small Song - Heaven in the Back Row
6. Burning Bright
7. The Matchseller
8. The Coronation of the Fledgling
9. All Hail to the Hero
10. White Faced Lady

DISC 2
1. Freefall
2. Standing
3. Diary Song: The Indian Head
4. Song from Jon
5. Long Way Down
6. The Locket
7. Picture With Conversation
8. Epitaph: Angel

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WHITE WILLOW / Ignis Fatuus

1995,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの1stアルバムIgnis Fatuus。
アコギやフルートによる静かなバッキングに清楚な女性ボーカルが乗り、シンセやメロトロンが幽玄な装飾を施すダークなフォークを展開しています。

冒頭の物悲しいアコギのアルペジオとハープシコードで心を鷲づかみ。続く美声ソプラノ女性ボーカルの登場で一気に引き込まれる#1。
美声ボーカルをフィーチュア、終盤のイリアン・パイプやシタールがエキゾチックなテイストの#2。
リコーダーを中心に北欧トラッド風メロディを展開する#3。
フルートとヴァイオリン、素朴な男性ボーカルの#4。
中間部のインスト・パートに土着フォークロア部を挿入したメロトロン白玉が儚げな#5。
アコギ、コントラバス、リコーダー、ハープシコードなど、場面ごとに推移する多彩な楽器による演奏に女性のソプラノ・スキャットが。フルートが絡む部分では初期KING CRIMSONのような神秘性も感じさせる#6。
ハープシコードの厳かな調べに可憐なボーカルが映える#7。後半のアコギのカッティングとシンセ・ソロの場面では明るいムードも。
アコギのアルペジオとメロトロンのフルートに美しいスキャットが乗る小品#8。
モーダルなボーカル・メロディが神秘的な中にもコンテンポラリーなムードを醸し出す#9。
不条理なコード進行とメジャー/マイナーの調性があいまいなメロディがフックとなった前半、若干ヘヴィなパートを経てスペイシーなシンセ・ソロに展開する後半からなる11分超の#10。
女性ボーカルが中音域で歌う暗鬱フォーク#11。
ディストーション・ギターが登場する中間部などで暗黒ゴシック路線を垣間見せる#12。

おそらく土着フォークに根ざしたものであろう独特の暗いメロディによるボーカル・パートに、メロトロンをバックにしたシンセのソロなど幻想的な展開を見せるインスト・パートが絡みユニークな世界を醸成。適度に各楽器が聴こえる、必要以上に分厚くなることの無いアレンジも良い感じです。
#4,#5,#12などでの男性ボーカルは意図があってのものだろうが、はっきり言って素人レベル。女性ボーカルで統一した方が良いと思うぞ。

Track List

1. Snowfall
2. Lord of Night
3. Song
4. Ingenting
5. The Withering of the Boughs
6. Lines on an Autumnal Evening
7. Now in These Fairy Lands
8. Piletreet
9. Till He Arrives
10. Cryptomenysis
11. Signs
12. John Dee's Lament

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WISHING TREE / Carnival of Souls

1996,UK

MARILLIONのソングライターでギタリストのスティーブ・ロザリーのプロジェクト・バンドTHE WISHING TREEの1996年作。

当時学生だったという”20世紀最後の妖精”ハンナ・ストバート(Vo)の美声が大いにフィーチャーされた英国情緒たっぷりなフォーク/ロック。胸キュン・メロディーと女性ボーカルの絶妙な絡みはALL ABOUT EVEを想起させる。普遍的な魅力に溢れたアルバムです。

Track List

1. Evergreen
2. Starfish
3. Nightwater
4. Hall Of Memories
5. Midnight Snow
6. Night Of The Hunter
7. Firebright
8. Thunder In Tinseltown
9. Empire Of Lies
10. The Dance

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WHITE WILLOW / Ex Tenebris

1998,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの2ndアルバムEx Tenebris。

12弦アコギのアルペジオにシンセが絡む穏やかでドリーミーなイントロで始まる#1。残念なのはボーカルインしてからのメロディとヘボな男性ボーカル。ボーカルの空間処理もさほどされていないので粗が目立つ。楽曲はその後、シンフォニックなインスト・パートに展開するだけに惜しい。
こちらも男性ボーカルがメインながら、繊細なアコギのアルペジオと美麗な女性ボーカルのハーモニーに救われた感のある#2。フルートのソロやメロトロンの優しい装飾も良い感じです。
アコギとピアノで紡ぐメランコリックなメロディが胸を打つイントロから厳かなオルガンのパートを経て、清廉なソプラノ女性ボーカルが登場する神秘的で美しい#3。テイストは違いますが、RENAISSANCEのSistersを連想しました。
美しい女性ボーカルとピアノで綴る静かなフォークに、屈折した不条理インスト・パートを内包した9分超の大作#4。
アコギと女性ボーカルで切々と展開するメランコリックなフォーク#5。
バスドラのビートがトライバルなムードを醸し出す、オルガンやブ厚いパッド系シンセによるインスト#6。
少々屈折したインスト・パートとドリーミーな美声ボーカル・パートが対比した#7。ダークな中間部ではメロトロンが大活躍。

普遍的な美しいメロディの比率が高まり、新歌姫シルヴィア・エリクセン(Vo)の柔らかく透明感のある美声や聴かせ所をはっきりさせたアレンジと相まってバンドがスケールアップ。
特に#2,#3,#5あたりのコンパクトな楽曲は印象的なメロディが多くクオリティが高い。
後は男性ボーカルをやめて、時に冗長になる無意味なインスト・パートが整理されればメジャー級なんですが…。

Track List

1. Leaving the House of Thanatos
2. The Book of Love
3. Soteriology
4. Helen and Simon Magus
5. Thirteen Days
6. A Strange Procession...
7. A Dance of Shadows

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WHITE WILLOW / Sacrament

2000,NORWAY

ノルウェーのプログレッシブ・フォーク・バンドWHITE WILLOWの3rdアルバムSacrament。

シルヴィア・エリクセン(Vo)のソプラノ女性ボーカルを軸にした清廉で神秘的なフォークの前半から、ダークな情念を帯びたインスト・パート中心の後半に移行するプログレッシブ・フォーク#1。
可憐なボーカルでキャッチーなメロディを綴るフォークだが、ピアノが提示したメイン・メロディをシンセが継承するイントロや中間部のシンセによるスペイシーな表現など、インスト・パートにも印象的なフックが配置された#2。
アコギ、フルート、リコーダーが織り成すクラシカルなタッチのパートを前半に配し、吹き散らしフルートを合図にアナログ・シンセのソロをフィーチュアしたダークな7拍子のプログレ・パートに展開するインストゥルメンタル#3。
アコギのアルペジオをバックに男女ボーカルのデュエットを聴かせる、素朴で温かい感じのフォーク#4。
メロトロンと翳りを帯びたメロディで暗い側面を演出した中間パートを内包した、ハートフルな優しいフォーク#5。
くすんだエレピのバッキングが楽曲に沈鬱な影を落とす静かなパートと、7拍子で繰り広げられるフルートやシンセが絡み合うミステリアスなパートを対比させ、ダイナミズムを生み出す#6。

煮え切らないアレンジからの脱却と素人臭い男性ボーカルを排除したことにより、普遍的な良質メロディ導入でメジャー感の出てきた前作からさらに一段と垢抜けた印象に。時折見られる屈折した不条理感はもはや個性へと昇華され、#5,#6など10分超の大作でのドラマティックな構成に上手に溶け込ませています。

Track List

1. Anamnesis
2. Paper Moon
3. The Crucible
4. The Last Rose of Summer
5. Gnostalgia
6. The Reach

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WHITE WILLOW / Storm Season

2004,NORWAY

ノルウェーの鬱系プログレッシブ・ロック・バンドWHITE WILLOWの2004年4th。

シルヴィア・エリクセン(Vo)嬢の可憐な女性ボーカルをメロトロン、ハモンド、モーグ、フェンダー・ローズ、ウーリッツァーといったヴィンテージ・キーボードやフルート、チェロといったアコースティック楽器が織り成す暗黒グルーヴによって包み込むメランコリックなサウンド。ヘヴィに迫る場面ではゴシック・メタルのようなムードも感じさせます。デジタル・シンセも効果的に使用されており、アコースティック楽器と絶妙のマッチングを見せています。木漏れ日フォークのような序盤から優しい歌唱をフィーチュアした#3。ディストーション・ギターとハモンドのリフに導かれヘヴィに展開する暗黒シンフォ#4。グロッケンがミステリアスなムードを醸し出すプログレッシブ暗黒チューン#5。7拍子に乗るオルガン・ソロやモーグによるシンセ・ソロを含むヘヴィな#7。等々、どれも暗鬱な静寂パートや屈折したインストパートが用意されており一筋縄ではいきません。

Track List

1. Chemical Sunset
2. Sally Left
3. Endless Science
4. Soulburn
5. Insomnia
6. Storm Season
7. Nightside of Eden

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VASHTI BUNYAN / Lookaftering

2005,UK

英国のフォーク・シンガー バシュティ・バニヤン35年ぶりの2nd。

一聴するとシンプルなアレンジによるバックに、バシュティ・ブニヤンのウィスパー・ヴォイスとアコギが乗るオーガニックなスタイルは不変。じわじわ浸透するストリングスとオーボエのメイン・メロディが美しい#1。ワイン・グラス(濡れたコップの淵を指でこすると音が出るあれ)とハルモニウムにグロッケンスピルのかわいい音色が乗る#2。リコーダーとピアノが優しい#4。ワイン・グラスやハープがアコギにマッチした翳りを持つ#5。メロトロンにコーラングレ(アルト・オーボエ)、ダルシマーで神秘的なムードを醸しだす#6。フェンダー・ローズにアコギとハープが絡む#7。リコーダーの素朴な音がストリングス・セクションに溶け込んだ#8。オーボエ、フレンチホルンがストリングスと相まって広がりある空間を演出する#10。などなど、聴きこむと実は様々な楽器が実に効果的に使用されていることに気づきます。これらの愛すべき楽器達が、過剰なエフェクトやギミック抜きの彼女の音楽が本来持つ暖かみを演出しているんですね。

Track List

1. Lately
2. Here Before
3. Wayward
4. Hidden
5. Against the Sky
6. Turning Backs
7. If I Were
8. Same But Different
9. Brother
10. Feet of Clay
11. Wayward Hum

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MERMAID KISS / Etarlis

2007,UK

英国のプログレ/アコースティック/アンビエント・バンドMERMAID KISSの2007年3rdアルバムEtarlis。

シンセによる霧のようなストリングスにフォーク由来かつ時々ケルト風メロディのアンニュイな女性ボーカルがたゆたう。RENAISSANCEを思わせる部分もあるがダイナミクス、スケールともまだまだ。ボーカルのEVELYN嬢は新加入みたいで、一部の曲では前任者KATEがゲストで歌ってます。
ところが、これが良いんです。切なくて胸キュンな#6や#8のKATE嬢の歌声がナイス。とろけるようなオケと繊細な歌唱が見事に絡み合い、もうメロメロです。
全部彼女が歌ったら良かったのになー。

Track List

1. Prelude
2. Different Sky
3. Walking with Ghosts
4. Dark Cover
5. Nowhere to Hide
6. Siren Song
7. Sea Change
8. Shadow Girl
9. Beat the Drum
10. Crayola Skies
11. City of Clouds (Qway-Lin)

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