FREQUENCY DRIFT のレビュー

FREQUENCY DRIFT / Last

2016,GERMANY

作曲にも貢献する女性ハーピスト ネリッサ・シュワルツ(Harp/Mellotron)を擁するドイツのプログレ/ポストロック・バンドFREQUENCY DRIFTの6thアルバムLast。

メタル度こそ低いが古き良きゴシック・メタル風な大仰さとダークネスを施したイントロを持つ#1。ハープをバックにしたエンジェル・ヴォイスのボーカルが入ると一転して深遠な世界へ。
甘美な音色のハープ・ソロがアクセントとなり、さらにストリングスやフルートなどメロトロンが大量投入されたゴシック風#2。
中音域での歌唱が妖しいメロディにマッチした#3。枯れたツイン・ギターによるハーモニー・パートの静とサビにおける動の対比が見事。
ハープとボーカルによる清楚なフォーク風デュオ・パートからシンセやメロトロンがハープと美しく絡むインスト・パートに移行する#4。
サビでのアグレッションが鮮烈なコンテンポラリー・タッチのメランコリック・チューン#5。
穏やかな中にメランコリックを滲ませた変拍子絡みのボーカル・パートから、中間部ではヘヴィな轟音パートと枯れたギターやメロトロンによる寂寥感の対比を経て、ハープをバックにしたソプラノ歌唱パートで美の頂点を極める#6。
ダークな中にも濃淡を演出するメロトロンやハープ、ギター、ピアノ等インスト陣のアレンジが際立つ#7。希望的なメロディによるリフレインが唐突に終わるエンディングも意外性に満ちている。
美声を活かした歌唱と情念を立ち上らせたビターな歌唱を使い分け、美醜による場面転換を演出する#8。

「死」や「終り」を暗示するアルバム・タイトル通りの暗いサウンドと、そこに一筋の光を射す女性ボーカルとハープの神秘的な響きでFREQUENCY DRIFTの個性が確立。
前作で可憐な歌声を聴かせたIsa Fallenbacherに代わり、Melanie Mauが参加。前任者と同等レベルの美しいソプラノに加えダークな中音域もこなし、楽曲に彩りを付加している。

前作からコンテンポラリーなポストロック成分を減じた分、深遠な静謐さと神秘性が増量。適材適所で効果的なメロトロンや引っ掛かりを生むさりげない変拍子といったプログレ要素もバランス良く配合し、美しい女性ボーカルを軸としたダークでメランコリックなサウンドでは突出した存在となった。

Track List

1. Traces
2. Diary
3. Merry
4. Shade
5. Treasured
6. Last Photo
7. Hidden
8. Asleep

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