AGENTS OF MERCY のレビュー

AGENTS OF MERCY / The Black Forest

2011,SWEDEN

活動休止中のTHE FLOWER KINGSに代わり、もはやロイネ・ストルト(G)のメイン・バンドとの感もあるスウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドAGENTS OF MERCYの3rdアルバム The Black Forest。

日常に潜む不穏な事象を、”漆黒の森”に喩えたコンセプト・アルバム。

期待感と高揚感を煽るイントロから11分に渡って繰り広げられるシンフォニックな序曲#1。耳を捉えて離さないシンセとギターのユニゾンで奏でられる奇妙なメロディ、静寂と喧騒の対比や緩急を活かしたアレンジが冴えるドラマティックなナンバー。
ダークなムードの中、ファンキーに進行する#2。突如突き抜けるシンフォニック感覚にハッとさせられるニクいアレンジ。バッキングでのダーティなオルガン、インスト・パートでの7色のシンセと鍵盤群を変幻自在に操るラレ・ラーション(Key)のプレイが見事。
超絶シンセ・ソロをフィーチュアした、ヘヴィなギターとダーティなオルガンのリフがリードする#3。
タイトル通りの悲痛なメロディが胸に突き刺さるメランコリックなバラード#4。ロイネ・ストルトのストレートな泣きのギター・ソロが素晴らしいです。
THE FLOWER KINGSを思わせる桃源郷的シンフォに、ダークなテイストを内包したロックなサビを持つ歌唱パートが融合した#5。
メロトロンをうっすらと絡めたバックにロイネ・ストルトがメインのボーカルを取る#6。独特の苦味がある歌唱とセンス良いギターのオブリガードといったロイネ・ストルトの個性が、フック満載のアレンジとあいまった初期FLOWER KINGSのような趣のナンバー。
不穏なムードのSEを配した序盤から、ナッド・シルヴァンとロイネ・ストルトが掛け合いで歌う中近東風メロディをアクセントに使用した歌唱パートに移行する#7。ヘヴィなパートとゴスペル風コーラスをあしらった中間部のメロウなパートの起伏が楽曲にダイナミクスを生み出している。
序盤のまろやかなシンセ、霧のようなメロトロン、ギターの繊細なアルペジオが神秘的なムードを演出する#8。短いボーカル・パートを受け継ぎ、徐々に盛り上がる叙情的なバッキングに乗った2分半に及ぶエモーショナルなギター・ソロでアルバム56分の旅を締めくくるロイネ ファン感涙のメランコリックなナンバー。

前作でナッド・シルヴァンが見せた軽妙な英国風ポップを今回は封印、YESGENESISよりはむしろBLACK SABBATHLED ZEPPELIN寄り、と本人達が言うように、適度にエッジの立ったヘヴィネスやダークな色合いを増量。
そしてそれらが従来のシンフォニックなサウンドやプログレッシブな曲展開に見事に融合し、コンセプトの元にアルバム通して一分の隙も無い作品を作り上げました。

桃源郷サウンドがあまりにも緩く拡散してしまった近作のFLOWER KINGSよりも、むしろ初期THE FLOWER KINGSに近いドラマティックな起伏とロイネ・ストルトの存在感が楽しめるAGENTS OF MERCY。
来年あたりTHE FLOWER KINGSの活動再開もあるようですが、ロイネ節を期待するならAGENTS OF MERCYの方が良い様な気がします。

Track List

1. The Black Forest
2. A Quiet Little Town
3. Elegy
4. Black Sunday
5. Citadel
6. Between Sun & Moon
7. Freak Of Life
8. Kingdom Of Heaven

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