シンフォニック のレビュー

KING CRIMSON / In the Court of the Crimson King

1969,UK

ロバート・フリップ(G)率いるKING CRIMSONの1969年1stアルバム In the Court of the Crimson King。

衝撃のディストーション・ヴォイスとインストゥルメント・パートの構築されたスリリングな展開がエバーグリーンな魅力を持つロック史に残る名曲#1。
英国的で静謐な側面が魅力的な#2。
グレッグ・レイク(B/Vo)の叙情的なボーカルとメロトロンの洪水でお馴染みの#3。
叙情とアバンギャルドが両立した#4。
神々しいまでのメロディとそれを増幅するメロトロンのシャワーが快感の#5。

イアン・マクドナルド(Key等)がサックスやフルート、メロトロン、ヴィブラフォンとマルチに活躍し、バンドのアイディアを具現化。
ポップ・ミュージックのフィールドにおいて、全ミュージシャンと全リスナーに表現の可能性が無限である事を示したロック界永遠のバイブルです。

Track List

1. 21st Century Schizoid Man/Mirrors
2. I Talk to the Wind
3. Epitaph/March for No Reason/Tomorrow and Tomorrow
4. Moonchild/The Dream/The Illusion
5. Court of the Crimson King/The Return of the Fire Witch/The Dance of the Puppets

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RENAISSANCE / Renaissance

1969,UK

元YARDBIRDSのキース・レルフ(G/Vo)とジム・マッカーティ(Dr/Vo)を中心に結成されたオリジナルRENAISSANCEの1stアルバム。

フォークを基本にジョン・ホウクン(Key)のピアノやハープシコードがクラシカルなフレイバーを持ち込んだサウンド。キースの実妹ジェーン・レルフもボーカルで参加してます。#3のデュエットや#4で、くぐもった独特の美声を聴かせています。

Track List

1. Kings and Queens
2. Innocence
3. Island
4. Wanderer
5. Bullet

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KING CRIMSON / In the Wake of Poseidon

1970,UK

KING CRIMSONの1970年2ndアルバム In the Wake of Poseidon。

マルチ・プレイヤーで音楽的イニシアチブをロバート・フリップ(G)と分け合っていたイアン・マクドナルドが脱退し、新たにメル・コリンズ(Sax/Fl)、キース・ティペット(Pf)、ゴードン・ハスケル(Vo=#3の歌唱)が参加。

前作の延長上の方向性でアルバム・タイトルやヘヴィな#2、メロトロンをフィーチュアした#4など楽曲構成が1stと対を成している所も。
しかし叙情性という部分では、静謐なフォーク#1,#3,#5,#8やメロトロンの洪水サウンドがクリアになった#4のように難解なインプロビゼーションを配し、分かりやすくすっきりした作風で楽曲ごとの焦点が絞り込まれた事が奏功しています。
#6ではポップ・ソングをベースにキースのジャジーなピアノを盛り込み、#7ではホルストの火星をアレンジするなど新機軸も見せています。
メンバーが流動的な状態で制作された事で、収録各楽曲のテイストがバリエーション豊かに拡散してしまっている所を#1,#5.#8の三部作が上手に配置され、アルバムとしての統一感をギリギリでキープしています。

Track List

1. Peace-A Beginning
2. Pictures of a City/42nd at Treadmill
3. Cadence and Cascade
4. In the Wake of Poseidon/Libra's Theme
5. Peace - A Theme
6. Cat Food
7. Devil's Triangle: Merday Morn/Hand of Sceiron/Garden of Worm
8. Peace - An End

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KING CRIMSON / Lizard

1970,UK

KING CRIMSONの1970年3rdアルバム Lizard。

メンバーの相次ぐ脱退でロバート・フリップ(G)とピート・シンフィールド(Word)の2人だけになってしまったKING CRIMSONはメル・コリンズ(Sax/Fl)、ゴードン・ハスケル(Vo/B)、アンディ・マカロク(Dr)を新メンバーに迎えてアルバムを制作。準メンバーのキース・ティペット(Pf)や管楽器奏者ゲスト陣が、整然と構築された楽曲群に彩りを加えています。

アコギのアルペジオをバックに静かな叙情を湛えた歌唱パートとメロトロンによる不穏なリフがリードする混沌パートの対比が印象的な#1。
アンディ・マカロクの小刻みなビートと管楽器のインプロビゼーションがジャジーな#2。
キース・ティペットがアバンギャルドなフレーズを織り込み、他のパートもアドリブ的に好き放題やりつつも、整合感を保持する#3。
フルートが瑞々しい美しさを醸成する静かな歌物小品#4。
YESのジョン・アンダーソンが参加、序盤で美しい詩情に溢れた歌唱を披露した組曲#5。中間部では静かなボレロのリズムに乗ったメロディアスなインスト・パートでエキゾチックなムードを織り交ぜつつ展開。後半は、メロトロンの奏でるダークなメロディを皮切りにブラスセクションのヘヴィなリフをバックに管やピアノの混沌としたフリー・インプロビゼーションも登場。

アルバム通して整理された叙情とカオスなインプロビゼーションが融合し、静謐なヨーロピアン・テイスト薫る1枚となりました。

Track List

1. Cirkus
Including Entry of the Chameleons
2. Indoor Games
3. Happy Family
4. Lady of the Dancing Water
5. Lizard
i)Prince Rupert Awakes
ii)Bolero: The Peacock's Tale
iii)The Battle of Glass Tears
including Dawn Song,Last Skirmish,Peince Rupert's Lament
iv)Big Top

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GENESIS / Trespass

1970,UK

GENESISの2ndアルバムTrespass。

3連と8ビートを交互に配してドラマティックな展開を見せる#6をはじめ#1,#4など7分以上の長尺曲の構築性に見られるように、いわゆるプログレ的なソング・ライティング面が牧歌的フォークの薫りが残るデビュー・アルバムから格段の進化を遂げた。

メンバー・チェンジでスティーヴ・ハケットとフィル・コリンズが加入する次作以降のいわゆるGENESISらしい演劇的フィーリングやフォロワー達の手本となったGENESIS風7拍子など楽曲を彩る仕掛けは未だ希薄ながら、ケレン味の無い印象的な美メロと繊細な叙情という基本要素は既に確立。個性を発揮しつつあるピーター・ガブリエル(Vo)の歌唱もこの時点ではアクが少なく、メンバーの育ちが伺える真面目なアレンジやメロディが醸し出す美しいムードに溶け込んでいる。
一方、GENESISの歴史において影の薄いアンソニー・フィリップス(G)だが、ロックらしい熱いラン奏法を聴かせる#6のソロや以降も継承される12弦のアルペジオなど、光るプレイで多大に貢献している。

Track List

1. Looking for Someone
2. White Mountain
3. Visions of Angels
4. Stagnation
5. Dusk
6. The Knife

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BARCLAY JAMES HARVEST / Barclay James Harvest

1970,UK

優しいヴォーカルとアコギが醸し出すのどかなフォークとオーケストラによる荘厳な響きが融合した、独自のメロディアスなサウンドを聴かせるBARCLAY JAMES HARVESTの1970年1stアルバムBarclay James Harvest。

#1ではまだ荒削りでロックな部分も感じさせますが、大曲#7を初めとしてそこかしこに気品も漂わせてます。
田園フォークな#2もアコギのアルペジオとストリングス、トレモロがかかったエレキ・ギターによるアンサンブルがドリーミーな空気感を醸成。
壮大なオーケストレーションが格調高い#4では、終盤の美しいストリングスにうっとり。
かと思うと続く#5ではサイケな薫りも芳しいノリノリなフラワー・ロックが炸裂。チープなサウンドのオルガンによるバッキングとコーラス・ワークが楽しいです。
優しくも哀愁のメロディがドラム・レスで切々と紡がれる小品#6を挟み、ティンパニの重々しいリズムから幕を開ける#7はオーケストラとロック・バンドが見事に溶け合い、シンフォニックな盛り上がりを見せます。

Track List

1.Taking Some Time On
2.Mother Dear
3.Sun Will Never Shine
4.When the World Was Woken
5.Good Love Child
6.Iron Maiden
7.Dark Now My Sky

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EMERSON LAKE & PALMER / Tarkus

1971,UK

ELPの1971年2nd。

何と言っても20分超のタイトル組曲#1が圧巻。ハモンドによる印象的な怒涛の5拍子リフが、架空の怪物タルカスがキャタピラで縦横無尽に暴れまわる姿を表現しきってます。一方、グレッグ・レイクのヴォーカルによる歌パートでは物語が抽象的に語られつつも、叙情性にホッと一息入れる余裕も聴き手に与える心遣いが嬉しいですね。Drのカール・パーマーは後のASIAでの醜態がウソのようにタイトなビートでタルカスの機関部となりバンドの推進力を高めてます。キーボード・トリオという構成でこれだけのドラマを構築されたらもう降参ですね。小品#2やタイトな演奏が聴ける#3でのホンキートンク調ピアノ、荘厳なオルガンに導かれる#4の後半でのクラシカルなピアノ等ピアノも素敵です。でもやっぱり#6のオルガンには血が沸き立ちますね。

Track List

1. Tarkus
Eruption
Stones of Years
Iconoclast
Mass
Manticore
Battlefield
Aquatarkus
2. Jeremy Bender
3. Bitches Crystal
4. The Only Way
5. Infinite Space
6. A Time and a Place
7. Are You Ready Eddy?

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EMERSON LAKE & PALMER / Pictures at an Exhibition

1971,UK

ELPの1971年3rd。

2ndアルバムTARKUSのレコーディング終了後にニュー・キャッスル・シティ・ホールにて収録されたムソルグスキーの「展覧会の絵」をモチーフにしたライブ。当初、TARKUSがリリースされたばかりとあって未発表音源となっていたが、ブートレグが出回ったためにその対抗策として正規盤でリリースされました。オリジナルのフレーズを発展させて、縦横無尽に弾き倒すキース・エマーソン(Key)のプレイが壮絶。テーマのPromenadeやブルージーなインプロビゼーションがスリリングな#6など、ハモンドの様々なトーンを中心に聴かせるのは勿論、フィルターでミュンミュンいわせた#2、ピッチをスムーズにコントロールした#4などNICE時代から取り入れていたモーグ・シンセサイザーをステージでも完璧に使いこなし世界中のミュージシャンに影響を与えました。又、グレッグ・レイク(B/Vo/G)のクリアな歌唱が効いていて、テーマを歌う#3では厳かに、ラストの#11では雄大にとサウンドのイメージを増幅。#4での見事なアコギ・ソロに叙情的な歌唱もハイライトのひとつとなっています。#12はアンコールの「くるみ割り人形」。キース・エマーソンのホンキートンク風ピアノが、カール・パーマー(Dr)の叩き出す走り気味のビートに乗って場内大興奮。

Track List

1. Promenade
2. The Gnome
3. Promenade
4. The Sage
5. The Old Castle
6. Blues Variation
7. Promenade
8. The Hut of Baba Yaga
9. The Curse of Baba Yaga
10. The Hut of Baba Yaga
11. The Great Gates of Kiev
12. Nutrocker

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MOODY BLUES / Every Good Boy Deserves Favour

1971,UK

MOODY BLUESの1971年7thアルバムEvery Good Boy Deserves Favour、邦題は「童夢」。

フォークをベースにした美しく親しみ易いメロディで紡がれた楽曲が切れ目無く心地良く綴られています。特にテクニカルでも複雑でも無いMOODY BLUESが、時にプログレ・バンドとして紹介されるのは音楽的な進歩を目指した姿勢もさることながら、やはりメロトロンでしょう。
Mike Pinder(マイク・ピンダー/Key)はメロトロンの出荷前検査の仕事をしていた人物で、その関係からメロトロンを知り尽くした演奏と独自のカスタマイズにより彼の使用していたメロトロンMkIIは俗に「ピンダートロン」と呼ばれたりなんかしています。
そんなメロトロンが惜しげもなく全編で登場。ドラマティックな#9なんかは メロトロンありきの壮大さだし、軽快なメロディック・ロック#2のサビで神々しく鳴り響くメロトロンはコーラス・ハーモニーとも相まって極上の美しさ。
当時英米で大ヒットしたアルバムですが、単にキャッチーなだけでは無い英国らしい”深み”がこのアルバムをエバー・グリーンな存在たらしめています。

Track List

1. Procession
2. The Story In Your Eyes
3. Our Guessing Game
4. Emily's Song
5. After You Came
6. One More Time To Live
7. Nice To Be Here
8. You Can Never Go Home
9. My Song

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KING CRIMSON / Islands

1971,UK

英国プログレッシブ・ロック・バンド KING CRIMSONの1971年4thアルバム Islands。

ボズ・バレル(Vo/B)、イアン・ウォレス(Dr)の新メンバーにキース・ティペット(Pf)のグループを加えて制作。

ボズ・バレルの繊細な歌声による東洋的なメロディとキース・ティペットのアバンギャルドな中にも美しいピアノが清楚なムードを醸し出す#1。メル・コリンズ(Sax/Fl)がフルートでは叙情的に、サックスではアバンギャルドに活躍してます。
#1のテーマ・メロディを継承したかのようなサックスのリフがリードする#2はサックスやギターのインプロビゼーションが繰り広げられるインストゥルメンタルで、中盤にはメロトロンが不穏なムードを煽り緊迫感あるバンド・アンサンブルに発展します。
繊細で叙情的なボーカル・パートとヘヴィなリフのパートが対比した#3。
ブルーズ・ロックをベースにしながらもジャジーなオブリガードやPOPなボーカル・ハーモニー、メタリックな不条理リフと様々なフックが公然一体となった#4。
室内管弦楽が美しく叙情を紡ぐ#6の序曲#5。静かで清楚な#6ではトランペットの物悲しくもどこか希望も感じさせるメロディが胸を打ちます。うっすらと切れ込んでくるメロトロンも秀逸。

構築されたアンサンブルよりも個人のインプロビゼーションを重視した楽曲構成でありながら、アルバム全体としては端整で静謐なイメージが残る不思議なアルバムです。これを最後に詩人ピート・シンフィールドが脱退します。

Track List

1. Formentera Lady
2. Sailor's Tale
3. Letters
4. Ladies of the Road
5. Prelude: Song of the Gulls
6. Islands

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GENESIS / Nursery Cryme

1971,UK

英国の叙情派プログレGENESISの1971年3rdアルバムNursery Cryme。

このアルバムよりフィル・コリンズ(Dr)、スティーブ・ハケット(G)が加入。ピーター・ガブリエル(Vo)、トニー・バンクス(Key)、マイク・ラザフォード(B)による”クラシック”メンバーが揃いました。
不気味なジャケット・アートが象徴する寓話的世界観の中、演劇的ともいえるドラマティックなフックが計算されつくして配置されており、聴いていて自然にグイグイ引き込まれてしまいます。
ハード・ロック的カッコ良さもある#1、美しいコーラスと終盤のメロトロンが感動のハーモニーを奏でる#4、が好きです。
#3や#5のひねくれたPOP感も英国っぽくって良いです。これらアクの強い名曲達を主張し合ってケンカする事無く、品良く締めている#2と#6の小品が又最高。各曲の出来、曲順、全てが最高の名盤です。

Track List

1. Musical Box
2. For Absent Friends
3. Return of the Giant Hogweed
4. Seven Stones
5. Harold the Barrel
6. Harlequin
7. Fountain of Salmacis

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RENAISSANCE / Illusion

1971,UK

オリジナルRENAISSANCEの1971年2ndアルバムIllusion。

前作のセールスが振るわなかった為解散を申し出たバンドに対して、レコード会社がバンド名の使用権譲渡を条件に制作させた契約消化作とも言われておりますが、内容はなかなかのもの。#3,#6の作詞にベティ・サッチャー、#4の作曲にマイケル・ダンフォード(G)の名前も見られ、黄金の第2期RENAISSANCEへの布石ともいえるアルバムです。

素朴な中にもクラシカルな気品が見え隠れするフォーク小品#1。
ジョン・ホウクン(Key)のピアノをバックにジェーン・レルフ(Vo)のクリアなスキャットが楽しめる#2。
リリカルなピアノとサビのコーラスが美しい#3。
端整なピアノと美しいボーカルが奇跡の融合を果たしたクラシカル・フォークの名曲#5。
これらはオリジナルRENAISSANCEらしいクラシカル・タッチなフォーク作品ですが、残りの2曲は消滅しつつあるバンドの状態を反映したかのようなイレギュラーな構成となっています。
ジェーンとジョン・ホウクン以外はマイケル・ダンフォードを含む別メンバーでレコーディングされた#4。ここでの厳かなファースト・パートに続くセカンド・パート中のフレーズは、後に第2期RENAISSANCEのアルバムTurn of the Cardsのオープニング・チューンRunning Hardにも登場します。よっぽど気に入ったんでしょう。
又、ラストの長尺曲#6ではドン・シィンなるプレイヤーがエレピでジャジーなインプロビゼーションを聴かせており、音楽性が随分違うナンバーに仕上がっております。

Track List

1. Love Goes On
2. Golden Thread
3. Love Is All
4. Mr. Pine
5. Face of Yesturday
6. Past Orbits of Dust

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YES / Fragile

1972,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドYESの1972年4thアルバムFragile。

本作から加入したリック・ウェイクマン(Key)のオルガンが印象的な超有名曲#1から各メンバーの全開プレイが楽しめます。
大作主義的な#1,#4,#6,#9以外は各メンバーの個性を前面に出したソロのような作風でコンパクトに仕上げられています。このように大作と小品がバランス良く配置されたアルバム構成に対して、考え過ぎた当時のファンが勝手にこの作品をコンセプトアルバムだと誤解しました。
ただ、あくまでもロック的なアンサンブルの中でのメンバー同士の激突がこのバンドの魅力だと思うんで、ちょっと物足りない感じもしますね。

Track List

1. Roundabout
2. Cans and Brahms
3. We Have Heaven
4. South Side of the Sky
5. Five Per Cent of Nothing
6. Long Distance Runaround
7. Fish (Schindleria Praematurus)
8. Mood for a Day

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YES / Close to the Edge

1972,UK

YESの1972年5thアルバムClose to the Edge。

時に小説単位で行われたレコーディングの断片をテープの切り・貼りによって再構築したという#1がもう最高。川のせせらぎと鳥のさえずりのSEを導入部に仕込むことで牧歌的なイメージを与えておきながら、バンド演奏が始まるとともに突然のフリージャズ寸前の展開に当時の全リスナーが腰を抜かしたであろう衝撃のオープニングでつかみはOK。そして忍耐強く聴き続けた者だけに訪れる緊張からの爽やかな開放感。まさに「アメ」と「ムチ」。この曲は基本的にこのパターンを繰り返しながらオーラスの大団円に向かって徐々に感動の度合いが高まるように構成されています。後世の多くのバンドがこうした手法を模倣しながら未だにこのオリジナルの完成度を越える事ができていない、という事実がいかにこの30年以上前の作品が凄いものであるかを証明しています。
リック・ウェイクマン(Key)が多彩なトーンでチーム・プレーに徹しつつ幻想的雰囲気を醸し出す#2、
各パートの演奏が有機的に絡み合った#3も素晴らしいです。

スリリングでドラマティック、メロディアスでインテレクチュアルなロック史に燦然と輝く名盤。偏執狂的制作スタイルに疲れたビル・ブラッフォード(Dr)はレコーディング後脱退、KING CRIMSONに加入します。

Track List

1. Close To The Edge
(i)The Solid Time Of Change
(ii)Total Mass Retain
(iii)I Get Up, I Get Down
(iv)Seasons Of A Man
2. And You And I
(i)Cord Of Life
(ii)Eclipse
(iii)The Preacher, The Teacher
(iv)Apocalypse
3. Siberian Khatru

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PREMIATA FORNERIA MARCONI / Storia Di Un Minuto

1972,ITALY

イタリアの5人組プログレッシブ・ロック・バンド PREMIATA FORNERIA MARCONIの1972年1stアルバムStoria Di Un Minuto。

イントロの#1のムードを引き継ぎ静かな叙情を湛えて始まる#2。静かなボーカル・パートと交互に訪れるインスト・パートでは一転して静から動へ変化、メロトロンの白玉をバックにズ太いシンセのリフレインがドラマティックに鳴り響きます。
#3は、後の世界デビューとなったマンティコア盤にも収録された洗練されたバージョンと違い、もっと勢いと迫力を感じさせる生々しい演奏が聴き所。賑やかなロック・パートと繊細なパートの落差が魅力です。
アコギとフルートによるバッキングに語りかけるようなジェントルなボーカルが乗る、どこか郷愁を誘う静かな叙情チューン#4。時折登場するチェンバロの厳かなオブリガードが典雅な彩を加えています。
#4のテーマをオルガンとヴァイオリンで優雅に引き継ぐインストゥメンタル・チューン#5は、間髪置かずにピアノを中心とした3連アップテンポの怒涛のアンサンブルへ、さらにメロトロンにヴァイオリンを交えてのシンフォニックなパートを経て、ジャジーなパートへと目まぐるしく展開。終盤のインプロビゼーション・パートでは、フルートを中心に#3のメロディがエレピで挿入されたりと即興での非凡な力量を見せ付けます。
ヘヴィなリフを序盤と終盤に配し、中間部には叙情的なボーカル・パートとアコギ・ソロを挿入した#6。クラシカルかつフォークなメロディを、圧倒的なテクニックと表現力で奏でるフランコ・ムッシーダ(G/Vo)のプレイが圧巻。
フォーキーで静かなボーカル・パートと、ブラス・セクションを中心に迫力あるインスト・パートからなる#7。

デビュー作にして、ロック/フォーク/ジャズ/クラシックを消化した幅広い音楽性と確かなテクニック、静と動を活かしたドラマティックな構成力、等既にワールド・クラスの実力を感じさせる驚異のアルバムです。

Track List

1. Introduzione
2. Impressioni Di Settembre
3. È Festa
4. Dove... Quando... Parte 1
5. Dove... Quando... Parte 2
6. La Carrozza Di Hans
7. Grazie Davvero

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PREMIATA FORNERIA MARCONI / Per Un Amico

1972,ITALY

イタリアン・プログレッシブ・ロックの至宝PREMIATA FORNERIA MARCONIの1972年2ndアルバムPer Un Amico。

感動のメロディを奏でるシンセとそれを支えるメロトロンの幽玄なトーンでお馴染みの、ファンタジックな代表曲#1。静かなボーカルから徐々に盛り上がるパートの叙情が胸を締め付けます。
ドライヴするギター、ハイハットのカウント、アヴァンギャルドなピアノ、そして舞い踊るヴァイオリン、と各パートがクールに絡み合うジャズ・ロックのインストゥルメンタル#2。中間部の牧歌的なマーチで見せるユーモラスな表情も魅力です。
フルートを中心に叙情を漂わせるイントロから、なんとなく英国のCARAVANあたりを思わせる洒落ていてメロディアスなボーカル・パートに移行する#3。インスト・パートはヴァイオリンのインプロビゼーションから爽快なアコギのコード・カッティングを経て、シンセのファンファーレへとシンフォニックに展開。
アコギをバックに清涼感あるボーカルが乗るキャッチーなフォーク#4。シンセがリードする神秘的なムードのインスト・パートでは、ハープのシャワーが心地良いです。フラヴィオ・プレモーリ(Key)の独演会と化す、シンセのシンフォニック・パート~ピアノ・ソロの豪快さと繊細さの対比も素晴らしいアクセントになっています。
明るいムードの中に神秘性を帯びたボーカル・パートと、ヘヴィで屈折気味のインスト・パートが融合した#5。

後にELPのレーベル マンティコアからリリースされる世界デビュー盤の元ネタではありますが、素朴なプロデュースとイタリア語の響きが彼らの魅力をより忠実に表現していると思います。

Track List

1. Appena Un Po
2. Generale
3. Per Un Amico
4. Il Banchetto
5. Geranio

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GENESIS / Foxtrot

1972,UK

GENESISの1972年4thアルバムFoxtrot。

KING CRIMSONから譲られたメロトロンが鳴り響く#1。
キャッチーな中にも英国的な捻りを効かせた#2。
叙情性とスリルを併せ持つ演劇的な展開の#3。
中間部のオルガンとメロトロンによる叙情的なリフ、オルガンの分散和音フレーズによるソロなどトニー・バンクス(Key)節が爆発した#4。
スティーヴ・ハケット(G)のアコギがクラシカルな叙情を湛えた小品#5。
そして、7部からなる組曲構成の#6では緩急・静動を巧みなアレンジとボーカル・パフォーマンスで表現し22分超のドラマを紡いでいます。

内省的でこぢんまりとしたスケール感の中にも豊富なアイディアとピーター・ゲイブリエル(Vo)の圧倒的な存在感により独特のムードを醸成している、ゲイブリエル期GENESISの代表作です。

Track List

1. Watcher of the Skies
2. Time Table
3. Get 'Em out by Friday
4. Can-Utility and the Coastliners
5. Horizon's
6. Supper's Ready

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カテゴリー: GENESIS

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RENAISSANCE / Prologue

1972,UK

英国プログレッシブ・ロックの華RENAISSANCEの1972年3rdアルバムRENAISSANCE。

ジェーン・レルフの歌唱をフィーチャーしたオリジナルRENAISSANCEからメンバーが全とっかえ。
アニー・ハズラム(Vo)、ジョン・タウト(Key)、ジョン・キャンプ(B)、テレンス・サリヴァン(Dr)、ロブ・ヘンドリー(G)の5人編成となりました。
ソング・ライティングにメインのマイケル・ダンフォード&ベティ・サッチャーに加え、#2と#5にオリジナル・メンバーのジム・マッカーティが絡んでいる所に過渡期な様子が伺えます。

ショパンの革命を引用したインストゥルメンタル#1で早くもアニーの美しすぎるスキャットが登場。
ジョン・タウトの華麗なピアノがリードしジョン・キャンプがボーカルを取る#2は、オリジナル期を彷彿させる翳りを持ったナンバーでアニーはコーラスのみ参加。
#3でようやくアニーがボーカルを披露。ピアノの端整な演奏をバックに美声を聴かせます。サビのハイトーンが完璧。
アコギとピアノを中心にコーラス・ハーモニーが美しいフォーク・ロック#4。
これまたピアノが美しいボーカル・ナンバー#5。
エキゾチックなムードの中、アニーのクリスタル・ヴォイスによるスキャットが映える#6。

オリジナル期を引き継ぎ、クラシックやフォークの要素を取り入れた歌物中心の端整な楽曲が並んでいます。
ジム・マッカーティによるオリジナル期のムード、エレキ・ギターの存在など、過渡期ならではのレアな味わいの中、Scheherazadeを思わせる#6に黄金期RENAISSANCEの要素の萌芽も垣間見れます。

Track List

1. Prologue
2. Kiev
3. Sounds of the Sea
4. Spare Some Love
5. Bound for Infinity
6. Rajah Khan

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LATTE E MIELE / Passio Secundum Mattheum

1972,ITALY

イタリアの3人組プログレッシブ・ロック・バンドLATTE E MIELEの1stアルバムPassio Secundum Mattheum(受難劇)。

バッハの「マタイ受難曲」からインスピレーションを得、叙情的なメイン・メロディをベースにクラシックをはじめロックやジャズの要素を巧みに織り交ぜて編み上げたコンセプト・アルバム。
テーマがテーマだけに、ローマ法王御前演奏を行ったと言う伝説もあながちウソでも無さそう。
それにしてもそれが本当だとしたら、さすが音楽の歴史ではヨーロッパでも屈指のイタリアらしく懐が深いというか、よくこんなうるさいのが許されたものです。驚きです。

#4におけるロックなドラミングをバックにしてのチェンバロの厳かなアルペジオ、#5での混声合唱団のコーラスから自然に移行するアナログ・シンセのメロディ、ジャジィなピアノがリードする#6、スラッシュ・メタルの元祖かのようなシュレッドなギター・リフに、場末のジャズ・ピアノ、メロトロンが絡み壮大でスペイシーなシンセのメロディで絶頂を迎える#9と、当時若干16,17歳のメンバーが居た若いバンドとは思えない音楽的キャパシティの広さと老練な構成力に驚愕。
アコギとピアノを従えたハイトーンの歌唱が美しい#8、チャーチ・オルガンの荘厳なインストゥルメンタル#10、合唱団と語りで淡々と物語を紡ぐ#11、アルバム冒頭の合唱団を交えたテーマ・メロディを控えめに繰り返し余韻を残す#12、といったあたりのクラシカルなタッチの楽曲では確かな音楽的素養も感じさせます。

重いテーマをものともしない躍動感溢れる演奏と、多ジャンルの音楽的要素を力技で融合してしまうチャレンジ精神が眩しすぎます。

Track List

1. Introduzione
2. Giorno DeGli Azzimi
3. Ultima Cena
4. Getzemani
5. Processo
6. I Testimoni, Pt. 1
7. I Testimoni, Pt. 2
8. Pianto
9. Giuda
10. Re Dei Giudei
11. Calvario
12. Dono DeLla Vita
13. Mese di Maggio

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EMERSON LAKE & PALMER / Brain Salad Surgery

1973,UK

荘厳なオルガンで幕を開ける#1のイントロからノック・アウト必至なELPの1973年5th。

キース・エマーソンのオルガンはもとよりグレッグ・レイクの歌声が気品に満ちています、オルガンがグイグイ引っ張るミステリアス&ヘヴィな#2でもムーグの味付けがスペイシーかつアバンギャルドでナイス。狂気のような前曲から打って変わって#3は優しいグレッグ・レイクのボーカルが癒してくれます。アコギのアルペジオも良いですね。#4はお約束のホンキートンク・ナンバー。チューニング甘めなピアノによる楽しい曲もELPの、っていうかキース・エマーソンの魅力ですね。そして#5。30分にも及ぶ長尺ながらELPのエッセンスが凝縮されており、どこを切ってもELP風フックの嵐。オルガン、ピアノ、ムーグは勿論大活躍。でも一番好きなのは、グレッグ・レイクによる(と思われる)エレキ・ギターによるスリリングにして荘厳なテーマ・メロディ。毎回、身震いするほどの感動と興奮を与えてくれます。

Track List

1. Jerusalem
2. Toccata
3. Still...You Turn Me On
4. Benny the Bouncer
5. Karn Evil 9: 1st Impression, Pt. 1
6. Karn Evil 9: 1st Impression, Pt. 2
7. Karn Evil 9: 2nd Impression
8. Karn Evil 9: 3rd Impression

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