キーフ のレビュー

AFFINITY / Affinity

1970,UK

英国ジャズ・ロックバンド5人組AFFINITYの唯一作。
カヴァー曲を中心にフィンランド出身の女性シンガー リンダ・ホイル(Vo)のボーカルをフィーチャー。#1ではLED ZEPPELINのジョン・ポール・ジョーンズがブラス・セクションのアレンジを担当、リンダのパワフルな歌唱にマッチした独特なグルーヴを醸成しています。
ジャジーでムーディなパートとオルガンのリフに乗った高揚感ある展開に発展するパートとの対比が見事な#2では、リントン・ネイフ(Key)による軽く歪んだオルガンがクールなモード奏法から一転してメロディアスなフレーズを紡ぐソロプレイも聴き物。

ストリングスとコーラスをバックにクリーンな美声が堪能できる#3、ハスキーで力強い歌唱とクリーンで優しい歌唱を使い分ける#4、とデビュー作とは思えない表現力を見せるリンダ。
ブラス・セクションがヘヴィなグルーヴをもたらすブルーズ・ロックのオリジナル・ナンバー#5はリンダのパワフルな歌唱とマイク・ジョップ(G)のソロがハイライト。
ボブ・ディランのカヴァー#7では、スピード感あるオルガンのインプロビゼーションとリンダのパワフルな歌唱が交互に登場、11分超にわたって怒涛の演奏を聴かせます。ジャケット・アートはキーフ。

Track List

1. I Am and So Are Are You
2. Night Flight
3. I Wonder If I'll Care as Much
4. Mr. Joy
5. Three Sisters
6. Coconut Grove
7. All Along the Watchtower

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FAIRFIELD PARLOUR / From Home to Home

1970,UK

サイケデリック・ロックバンドKALEIDOSCOPEのメンバー3人を擁するプログレ・フォーク・サイケデリック・ロックバンドFAIRFIELD PARLOURの1970年1stアルバムFrom Home to Home。

キーフによる渋いトーンのジャケット・アートが味わい深いです。メロトロンのストリングスが非常に高い頻度で使用されており、#1のようなメジャーなナンバーでは神々しさを、ドラマティックな#4では荘厳さを、そして#7のようなマイナー調のナンバーでは叙情を増幅してます。 とはいえ、全体のムードはポップな#2,#5や素朴な#3に代表されるほのぼのと明るい感じがメイン。前述の叙情ナンバー#7やサイケなひねりの効いた#11が良いアクセントとなっており、リラックスして楽しめます。
田園ののどかさを漂わせながらも英国ならではの格調をキープした独特の美しいメロディーが、豊かなコーラスハーモニー、フルート、アコギ、そしてメロトロンによってカラフルに奏でられます。
日曜の朝にぴったりです。

Track List

1.Aries
2.In My Box
3.By Your Bedside
4.Soldier of the Flesh
5.I Will Always Feel the Same
6.Free
7.Emily
8.Chalk on the Wall
9.Glorious House of Arthur
10.Monkey
11.Sunny Side Circus
12.Drummer Boy of Shiloh

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BLACK SABBATH / Black Sabbath

1970,UK

ヴァーティゴからのデビューとなったドゥームの祖BLACK SABBATHの1stアルバム。

キーフによる色彩感覚と雰囲気が抜群なジャケからしてもう掴みはOK。「人を怖がらせる音楽」をつくるべく悪魔的なイメージを利用した彼らですが、悪魔やオカルトを暗喩として実は社会風刺的なメッセージを歌ってたりしたという工業都市バーミンガム出身ならではの社会派でもあるんです。”リフ・マスター”トニー・アイオミ(G)による独特の着想からの不気味なリフ、ジャズ・ブルーズを基本としながらもどう展開していくのか先が読めないプログレッシブな曲の展開、アコースティック・サイドの寂寥感といったSABBATHのエッセンスが盛りだくさん。デビュー作にして既に、オジー・オズボーン(Vo)のしゃがれ声、トニーのコリコリしたギター・サウンド等、唯一無二の個性が完成している点も驚異的です。今更言うまでも無いですが、後進のメタル・バンドやメタル・ファン達にとっての永遠のバイブルですね。

Track List

1. Black Sabbath
2. The Wizard
3. Wasp / Behind The Wall Of Sleep / Bassically / N.I.B.
4. Wicked World
5. A Bit Of Finger / Sleeping Village / Warning

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BLACK SABBATH / Paranoid

1970,UK

BLACK SABBATHの2ndアルバムParanoid。

ライブでの定番曲#1,#2,#4を収録することで代表作とされる本作ですが、BLACK SABBATHの真の魅力はそういったヘヴィな楽曲は勿論のこと、翳りと寂寥感に溢れた静かな#3やトニー・アイオミ(G)のモーダルなフレージングが効いているジャム風インストゥルメンタル#7といった幅広い音楽性を持っている部分だと思います。さらに、ドゥーミーな禍々しいリフから一転してアップテンポのパートに移行する#5や、印象的なパートがブロック単位で組み合わされ先の読めない展開を生み出すプログレッシブ・チューン#7などが、バンドとしての演奏力と楽曲構成力の高さを象徴。単なるヘヴィ・ロック・バンドでは終わらないスケールの大きさを示した名盤です。

Track List

1. War Pigs/Luke's Wall
2. Paranoid
3. Planet Caravan
4. Iron Man
5. Electric Funeral
6. Hand of Doom
7. Rat Salad
8. Jack The Stripper/Fairies Wear Boots

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SANDY DENNY / The North Star Grassman and the Ravens

1971,UK

FAIRPORT CONVENTION、FOTHERINGAYを経た英国フォークの歌姫 サンディ・デニー(Vo)の1971年1stソロ・アルバムThe North Star Grassman and the Ravens。

元FAIRPORT CONVENTIONのリチャード・トンプソン(G)がサンディと共に共同プロデュース。その他、夫のトレヴァー・ルーカス(G)等のサポートで制作。

サンディ自らプレイするピアノとリチャード・トンプソンの枯れたトーンのギター・ソロが味わい深い、哀愁のフォーク・ナンバー#1。
LED ZEPPELINの”Black Mountain Side”とルーツを同じくするトラッドのアレンジ#2。
トラッドな香り漂う優しいメロディのフォーク#3。
ディランのカヴァー#4。
ヴァイオリンをフィーチャーしたトラッド風ナンバー#5。
幽玄なストリング・セクションを絡め、しっとりと聴かせる#6。
リラックスしたムードの#7。
楽しいロックン・ロール#8。
ストリングス・セクションがエキゾチックなテイストを醸しだす#9。
トラッドと叙情味が融合、足踏みオルガンの素朴な音色が印象的なタイトル・トラック#10。
サンディがダブル・トラックで自ら重ねたハーモニーが美しい#11。

FAIRPORT CONVENTIONにサンディが初めて参加した”Unhalfbricking”で見せた、トラッド/ボブ・ディランのカヴァー/オリジナル、といった雑多な要素をよりコンテンポラリーなテイストで再現したような作風。
様々な表情を見せるサンディ絶品の歌唱が素晴らしいのは勿論ですが、#6、#9で導入されたストリングスやバックを固めるプレイヤー達のツボを押さえた熟練のプレイから成るアレンジが、渋めながらもここぞという時にはしっかり主張してフックとなっており楽曲の印象を深めています。英国的な静かな情緒を湛えたキーフによるジャケット・アートも素晴らしいです。

Track List

1. Late November
2. Blackwaterside
3. The Sea Captain
4. Down in the Flood
5. John the Gun
6. Next Time Around
7. The Optimist
8. Let's Jump the Broomstick
9. Wretched Wilbur
10. The North Star Grassman and the Ravens
11. Crazy Lady Blues

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FRESH MAGGOTS / Fresh Maggots

1971,UK

ミック・バーゴイン(G/Vo/Vln)とリー・ドルフィン(G/Vo)によるフォーク・デュオFRESH MAGGOTSの1971年唯一作。

アルペジオのフレーズを微妙に違うものにしたり、リズム楽器の不在を感じさせないミズミカルなコード・カッティングなど、2人のアコギによるコンビネーションが抜群な上に何とファズ・ギターのペンタトニックによる弾きまくりフレーズも飛び出す独特のサウンド。
時には、ぴったり息の合ったギター・アンサンブルによるテンポや拍子のチェンジも繰り出してプログレッシブに迫ってきます。曲想は非トラッドながら英国的な翳りを感じさせる美しく叙情味溢れるものから、爽やかなフォーク、疾走するフォーク・ロックなど幅広く、キーフによるジャケット・アートのイメージそのままの幻想的な雰囲気も。
#2のグロッケンや#5のホイッスル、又#2、#6、#9、#11ではストリングスが曲調に合わせて効果的に使用されており、1曲1曲のキャラを明確にしています。

Track List

1.Dole Song
2.Rosemary Hill
3.Quickie
4.Everyone's Gone to War
5.And When She Laughs
6.Spring
7.Balloon Song
8.Guzz Up
9.Who's to Die?
10.Elizabeth R
11.Frustration

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カテゴリー: FRESH MAGGOTS

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CRESSIDA / Asylum

1971,UK

キーフによるジャケット・アートで有名な、ジャズ風味を仄かに漂わせた英国プログレッシブ・ロック・バンドCRESSIDAの2ndアルバムAsylum。

歌モノではあるが、間奏でのオルガンを中心としたインプロビゼーションは聴き応えがあります。
オーケストラを導入し冷ややかな質感のストリングスが染み入る叙情大作#2では、緩急を自在に織り交ぜた楽曲構成力を発揮し9分超の長尺を飽きさせません。
11分超の#8は控え目なオーケストレーションがジャジーな歌唱パートをセンス良くデコレーションする叙情と、オルガンによる熱いインプロビゼーションの情熱が融合した傑作。

#2,#8以外は3~5分程度のコンパクトな尺ながら、適度にPOPな歌パートに対しマイルドな音色で流麗なプレイを聴かせるオルガンによるソロ・パートが良いアクセントとなっています。

Track List

1. Asylum
2. Munich
3. Goodbye Post Office Tower Goodbye
4. Survivor
5. Reprieved
6. Lisa
7. Summer Weekend of a Lifetime
8. Let Them Come When They Will

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SPRING / Spring

1971,UK

トリプル・メロトロンで有名な英国のフォーク・ロックバンドSPRINGの唯一作。音楽性は英国らしく端整で叙情味を湛えたメロディアスなフォーク・ロックで、まどろむような優しいボーカルがメロトロンに良くマッチしてます。

全編に使用された霧のようなメロトロン・ストリングスを筆頭にグロッケンなど小ネタも効いた#1。
#1とは違い、ここぞという場面で登場するメロトロンがアレンジに起伏をもたらす#2。
アコギがリードするフォーク小品#3。
マーチングのようなスネアが印象的な#4にも当然のようにストリングスや管のメロトロンが切り込んできますが、楽曲はファンキーな要素を持ったフォーク・ロック。独特な牧歌的テイストが堪りません。
続く#5は開放的なリフを持ったメジャー感覚なフォークなんですが、ボーカルのバックのくすんだメロトロンが英国的な翳りも感じさせます。中間部のオルガンとエレキのソロや、それに続くパートでのアコギを交えたアレンジも巧みで聴き所満載です。
#6はギターやオルガンがリードするロックですが、間奏のグロッケンとメロトロン・フルートが可愛いニュアンスをもたらす楽しいナンバー。
ピアノをバックに切々と歌うバラード小品#7を挟み、#8でも静かな序盤は霧のように、感動的に盛り上げるサビでは洪水に、ラストは神々しく、とメロトロンが大活躍しております。

Track List

1. Prisoner (Eight by Ten)
2. Grail
3. Boats
4. Shipwrecked Soldier
5. Golden Fleece
6. Inside Out
7. Song to Absent Friends (The Island)
8. Gazing

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DANDO SHAFT / Dando Shaft

1971,UK

英国のフォーク・グループDANDO SHAFTの1971年2ndアルバムDando Shaft。

今作から女性シンガー ポリー・ボルトン(Vo)が参加。
デュオで軽やかに歌うダンス・ミュージック#1。
ポリーがソロで歌うヴァイオリンがリードする#2。
ポリーのしっとりとした歌唱をアコギ、ヴァイオリン、フルートが優しく包み込み、後半のスキャットもこの世の物とは思えない美しさの叙情フォーク#5。
デュオで歌うまどろみの美メロ・フォーク#9。
などなど、ポリーの澄み切った美声がバンドのサウンドに華やかさをもたらし、かなりとっつき易くなりました。

2本のギターのアンサンブルが見事な#3。
サビのボーカル・ハーモニーが美しい#4。
マンドリンの響きがエキゾチックな#6。
マンドリンの細かいフレージングが印象的な#7。
アコギとマンドリンによるインストゥルメンタル小品#8。
等、マーティン・ジェンキンス(Vo/Vln/Mln/Fl)が素晴らしいプレイを聴かせる1stの流れを汲んだ仄暗くも暖かい土着フォークも健在。
音楽性の幅を広げメジャー感を増したアルバムです。
朽ち果てたメリーゴーラウンドが儚くも美しいジャケット・アートはキーフ。

Track List

1. Coming Home To Me
2. Railway
3. Whispering Ned
4. Sometimes
5. River Boat
6. Kalyope Driver
7. Waves Upon The Ether
8. Dewet
9. Till The Morning Comes
10. Pass It On
11. Prayer

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NIRVANA / Local Anaesthetic

1971,UK

キーフによる美しくも不気味なジャケットが有名なNIRVANAの1971年4thアルバムLocal Anaestheticはヴァーティゴから。

アレックス・スパイロポロウスと袂を分かち、パトリック・キャンベル=リオンズの個人プロジェクトとなった本作はアナログ各面1曲という構成。しかし実際は数曲が隙間無く繋がった組曲風でもあります。

#1は前作までのカラフル・サイケ路線とは異質な、ギター中心のブルージーとも言えるロックなテイスト。長尺のインプロビゼーションや会話を挿入するなどヒット狙いとは真逆のアーティスティックな狙いも垣間見られます。
#2は従来のような甘いメロディも若干顔を覗かせますが、オーケストレーションは控えめとなってます。
パトリックは同時期ヴァーティゴとプロデューサー契約もしていたようで、一歩下がって実験的な試みをしたかったんでしょうか。KING CRIMSON のメル・コリンズがSAXで参加。

Track List

1. Modus Operandi [Method of Work]
2. Home:
Salutation
Construction
Destruction
Reconstruction
Fanfare

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カテゴリー: NIRVANA

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