ヘヴィ・メタル のレビュー

BLACK SABBATH / Black Sabbath

1970,UK

ヴァーティゴからのデビューとなったドゥームの祖BLACK SABBATHの1stアルバム。

キーフによる色彩感覚と雰囲気が抜群なジャケからしてもう掴みはOK。「人を怖がらせる音楽」をつくるべく悪魔的なイメージを利用した彼らですが、悪魔やオカルトを暗喩として実は社会風刺的なメッセージを歌ってたりしたという工業都市バーミンガム出身ならではの社会派でもあるんです。”リフ・マスター”トニー・アイオミ(G)による独特の着想からの不気味なリフ、ジャズ・ブルーズを基本としながらもどう展開していくのか先が読めないプログレッシブな曲の展開、アコースティック・サイドの寂寥感といったSABBATHのエッセンスが盛りだくさん。デビュー作にして既に、オジー・オズボーン(Vo)のしゃがれ声、トニーのコリコリしたギター・サウンド等、唯一無二の個性が完成している点も驚異的です。今更言うまでも無いですが、後進のメタル・バンドやメタル・ファン達にとっての永遠のバイブルですね。

Track List

1. Black Sabbath
2. The Wizard
3. Wasp / Behind The Wall Of Sleep / Bassically / N.I.B.
4. Wicked World
5. A Bit Of Finger / Sleeping Village / Warning

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BLACK SABBATH / Paranoid

1970,UK

BLACK SABBATHの2ndアルバムParanoid。

ライブでの定番曲#1,#2,#4を収録することで代表作とされる本作ですが、BLACK SABBATHの真の魅力はそういったヘヴィな楽曲は勿論のこと、翳りと寂寥感に溢れた静かな#3やトニー・アイオミ(G)のモーダルなフレージングが効いているジャム風インストゥルメンタル#7といった幅広い音楽性を持っている部分だと思います。さらに、ドゥーミーな禍々しいリフから一転してアップテンポのパートに移行する#5や、印象的なパートがブロック単位で組み合わされ先の読めない展開を生み出すプログレッシブ・チューン#7などが、バンドとしての演奏力と楽曲構成力の高さを象徴。単なるヘヴィ・ロック・バンドでは終わらないスケールの大きさを示した名盤です。

Track List

1. War Pigs/Luke's Wall
2. Paranoid
3. Planet Caravan
4. Iron Man
5. Electric Funeral
6. Hand of Doom
7. Rat Salad
8. Jack The Stripper/Fairies Wear Boots

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BLACK SABBATH / Master of Reality

1971,UK

BLACK SABBATHの3rdアルバムMaster of Reality。
前作で試みたリフの積み重ねと意外性を持ったプログレッシブな展開による楽曲構成を推し進めた初期の代表作。

引きずるようなヘヴィなリフをベースにアップテンポな中間部のジャムを内包する#1。
高揚感あるキャッチーなリフとボーカル・パートのヘヴィ・リフが対比する#2。
トラッドっぽい雰囲気でいながらエレキ・ギターを使用したことで独特のニュアンスを持つ#4のイントロ的なインスト#3。
パーカッションが妖しいムードを増幅する怒涛の3連チューン#4はラストの墓場風SEがナイス。
そしてリフ・マスター トニー・アイオミ(G)が別の一面を見せる端整なアルペジオが美しいアコギのインスト#5。
一転して#6は超ド級のヘヴィ・リフをイントロに中間部では叙情的なギター・ソロが印象的なドゥーム・チューン。
そして本アルバムの影のハイライトが#7。ギーザー・バトラー(B)が奏でる淡々としたベース・ラインの上を寂寥感たっぷりなフルートとオジー・オズボーン(Vo)のボーカルが漂う実に英国的な暗さと静寂を持った曲です。シンプルかつヘヴィなリフを持つ#8も中間部のテンポ・チェンジがアクセントとなっています。

楽曲毎の起伏ある展開とアルバム通しての静と動の配置が巧みで、完全にBLACK SABBATHとしてのスタイルを確立した孤高の一枚です。

Track List

1. Sweet Leaf
2. After Forever
3. Embryo
4. Children of the Grave
5. Orchid
6. Lord of This World
7. Solitude
8. Into the Void

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BLACK SABBATH / Vol.4

1972,UK

BLACK SABBATHの4thアルバムVol.4。

トニー・アイオミ(G)の叙情的なオープニング・ソロ、オジー・オズボーン(Vo)が歌うミクソリディアン・モードのメロディと緩急によるヒネリを加えた展開が印象的な#1。
ヘヴィな躍動感がリードする中、神秘的とも言えるパートが挿入された#2。
シンプルなピアノとスペイシーなメロトロンによる伴奏をバックにした寂寥感漂う美しいバラード#3。
サウンド・エフェクトをフィーチャーした実験的な#4。
ギーザー・バトラー(B)のうねるベース・ラインとビル・ワード(Dr)のド派手なシンバル・ワークがリードするタテ乗りビートの#5。
ヘヴィなリフに叙情味を加えドラッグをテーマにした構築度の高い代表曲#6。
ドゥーミーなオープニングから一転して高揚感ある歌唱パートへ展開する#7。
アコギとストリングスによる美しいインストゥルメンタル・ナンバー#8。
ヘヴィネスとキャッチーなリフが同居した#9。
アップテンポのパートを挿入し終盤はドラマティックな展開も見せる、引き摺るようにヘヴィなドゥーム・ナンバー#10。
等々、ドラッグの助けもあったのかも知れませんが、単なるヘヴィ・ロックに収まらないプログレッシブな構成を持った楽曲群が収録されたアルバムです。

Track List

1. Wheels of Confusion/The Straightener
2. Tomorrow's Dream
3. Changes
4. FX
5. Supernaut
6. Snowblind
7. Cornucopia
8. Laguna Sunrise
9. St. Vitus Dance
10. Under the Sun/Every Day Comes and Goes

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BLACK SABBATH / Sabbath Bloody Sabbath

1974,UK

BLACK SABBATHの5thアルバムSabbath Bloody Sabbath。

ヘヴィでいながらメロディアスでもあるトニー・アイオミ(G)らしいリフが牽引する#1。中間部の英国っぽいメランコリックなパートと、後のヘヴィに移行するパートのギャップが、ドラマティックさを醸し出しています。
印象的なリフとワウを絡めたバッキングから染み出す邪悪なムードと、一転してポップな後半インスト・パートの対比が面白い#2。
もはや単なる息抜きどころでは無い本気度を感じさせる、アコギ中心の美しすぎるインストゥルメンタル#3。
ブルーズ・ロックの出自を感じさせるシンプルなシャッフル・ナンバーから、突如シンセをフィーチャーしたシンフォニック・パートが登場して度肝を抜く#4ではリック・ウェイクマン(Key)がゲスト参加しています。
コンパクトにまとまったリフ、トレモロを掛けたバッキング、ドラマティックなギター・ソロと様々なアイディアが盛り込まれた#5。
フィルターが効きまくったズ太いアナログシンセのリフがリードする#6。
ポップで軽快なリフからフルートを絡めた叙情的なパートへの展開が新鮮な#7。
アコギの叙情アルペジオから、これまたポップなリフを経てストリングスまで動員しメロディアスかつ壮大に盛り上がる#8。

4thで完成させた従来のおどろおどろしいヘヴィ・ロックに、シンセやストリングスを効果的に導入したドラマティックな要素を加え、音楽性の広がりを見せたアルバム。
しっとりとした質感のサウンド処理と相まって、プログレッシブ&シンフォニックなBLACK SABBATHが味わえます。

Track List

1. Sabbath Bloody Sabbath
2. A National Acrobat
3. Fluff
4. Sabbra Cadabra
5. Killing Yourself to Live
6. Who Are You
7. Looking for Today
8. Spiral Architect

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BLACK SABBATH / Sabotage

1975,UK

BLACK SABBATHの1975年6thアルバムSabotage。

ヘヴィで邪悪なブギ#1、お約束のアコースティックな小曲#2、ビル・ワードのトップ・シンバル連打がこれぞ暗黒ハード・ロック”な#3、と畳み掛けるアルバム序盤の流れが完璧。
特に#3。突然3連になって場面転換し、中間部以降はアコースティックに展開する予測不能な所がSABBATHの魅力。
続く#4も素晴らしい。ムーディ且つヘヴィな導入部とキャッチーなサビの落差が良い感じです。
”リフ・マスター”トニー・アイオミの生々しいピッキング・ノイズがヘヴィ感を増強する#5も、一瞬叙情パートがあったかと思うとキャッチーなサビが登場する佳曲。
#6は妖しく壮大なクワイヤがトニーのギター・リフと神がかり的絶妙のマッチングを見せるインスト。この構成力は凄いですね。
ラストの#8もドラマティックに展開。引き摺るようなリフとドリーミーなほど美しいアコースティック・パートの落差が印象的。

初期のようなおどろおどろしさは減退している分、ドラマ性は大いに向上。アルバムごとに音楽的進化を感じ取れる部分もSABBATHのおもしろさです。

Track List

1. Hole in the Sky
2. Don't Start (Too Late)
3. Symptom of the Universe
4. Megalomania
5. Thrill of It All
6. Supertzar
7. Am I Going Insane (Radio)
8. The Writ

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BLACK SABBATH / Technical Ecstasy

1976,UK

BLACK SABBTHの7thアルバムTechnical Ecstasy。

適度な疾走感とキャッチーさを持った、SABBATH流ロックンロール・ナンバー#1。
オルガンやピアノが絶妙なサジ加減で彩を加えた、ヘヴィな中にも叙情性が宿るドラマティックな#2。
ビル・ワード(Dr)が歌う異色の#3。バラードというほど湿っぽくならず、どこかほのぼのとしたムードが漂う英国ロックらしい裏名曲。
メジャーな調性で広がりあるサウンドを聴かせるロックンロール・タイプの#4。中間部でマイナーになる部分では叙情性も。
リフがリードするブルーズ・ロック#5。
ホンキートンク・ピアノも交えた典型的なロックン・ロールの#6。それでもオジーの独特の声とのっぺりした歌唱、トニー・アイオミ(G)のコリコリしたピッキング・ノイズのギター・ソロがあれば、やっぱりSABBATH以外の何者でもない。
ストリングス・セクションとアコギの物悲しいアルペジオによるメランコリックなバラード#7。
ヘヴィなメイン・リフをはじめ様々なリフが目まぐるしく登場し、ヘヴィネスから叙情へ場面転換していく初期タイプの名曲#8。

オカルティックなおどろおどろしさや全く違う要素を無理やりくっ付けたかのようなプログレッシブで変態的な曲展開といった初期の特徴はもはや無く、よりストレートで構築性のある楽曲にスタイルが変化。その結果、BLACK SABBATHらしさという点では少々物足りなさもありますが、キャッチーな#1や#8の後半で垣間見せるメジャーなキャッチーさは、後のオジー・オズボーン(Vo)のソロ期にも通ずるテイストで興味深いものがあります。

Track List

1. Back Street Kids
2. You Won't Change Me
3. It's Allright
4. Gypsy
5. All Moving Parts (Stand Still)
6. Rock'n'Roll Doctor
7. She's Gone
8. Dirty Women

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DEF LEPPARD / On Through the Night

1980,UK

NWOBHMのムーブメントから登場したDEF LEPPARDの1980年1st。ギター初めて半年の少年がカッコいいリフつくってやるっ!っていう青臭い意欲満々で作ったかのような#7が好きです。同時期のイギリスのバンドには無いメジャーな感じが漂う気がするのは、後の世界的大ブレイクを知っているからか?

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カテゴリー: DEF LEPPARD

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GIRL / Sheer Greed

1980,UK

英国のヘヴィ・メタル・バンドGIRLの1stアルバムSheer Greed。

NWOBHMの波に乗り日本でも音楽誌で紹介されると、フィリップ・ルイス(Vo)やフィル・コリン(G)のメイクを施したグラムっぽいルックスの良さで一躍大人気に。
フィリップの若さに任せたヘタウマ・ボーカル、フィルの高速マシンガン・ピッキングによるギター・ソロをフィーチャー、メタル然とした怒涛の6弦開放Eの3連刻みリフがカッコ良い永遠のマイ・アンセム#1を始め佳曲揃い。
屈折した翳りとミステリアスなムードでGIRLらしい個性を発揮した#2、#4、#10。シンプルなリフとキャッチーなメロディ・ラインの#3、#6、#11、#12やKISSのカヴァー#7では妖しくもPOPなグラム風テイストも漂わせています。
ルート音+5度のパワーコード中心の安直なリフを元に曲を構成する同時期の並みのバンドとは一線を画した個性的な曲づくりと屈折したムードで音楽性も高く、メインソングライターのフィルが後にDEF LEPPARDで大成功を掴むのも納得です。
フィリップはTORMEなどを経てアメリカに移りL.A. GUNSを結成します。

Track List

1. Hollywood Tease
2. Things You Say
3. Lovely Lorraine
4. Strawberries
5. Little Miss Ann
6. Doctor Doctor
7. Do You Love Me
8. Take Me Dancing
9. What's Up?
10. Passing Clouds
11. My Number
12. Heartbreak America

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BLACK SABBATH / Heaven and Hell

1980,UK

BLACK SABBATHの1980年9thアルバムHeaven and Hell。

脱退したオジー・オズボーンの後任に迎えられたのは、何とRAINBOWを脱退したロニージェイムズ・ディオ(Vo)。

小気味良くドライブするリフにロニーの堂々としたコブシ回しの歌唱が乗ることで、従来の”おどろおどろしさ”に”気品”や”威厳”が取って代わった事を印象付けるオープニング・チューン#1。
ロニーという新たな水先案内人を得て、リフ・マスター トニー・アイオミ(G)の創造性も大いに刺激されたのか、叙情的なアルペジオとヘヴィなリフによる対比がより鮮やかな#2。
ギーザー・バトラー(B)のベースがうねる、邪悪なリフを持ちながらもコンパクトかつキャッチーに仕上がった#3。
荘厳なリフとクワイヤによる硬軟織り交ぜたサウンド、表現力豊かなロニーの歌唱、スリリングな場面転換、といった最高の要素が完璧な融合を果たし、シンフォニックな様式美BLACK SABBATHの到達点となった#4。
と、アナログA面の完成度は異常な程高いです。
B面は、割とストレートなハード・ロック#5,#7では未だ探り合い状態のような煮え切らなさも感じられますが、疾走するカッコ良いハード・ロックにロニーのクリーンな歌唱を活かした静寂パートを織り交ぜ、ドラマティックな展開を見せる#6や、泣きのギターをフィーチャーしたBLACK SABBATHならではの叙情を感じさせる#8などを擁す事で及第点以上の出来。

それまでのBLACK SABBATHの楽曲に散在していた起伏や静動といった要素が、ロニーの持ち込んだ様式美テイストとのケミストリーによって、明確に構築されたドラマティックなものに進化したHR/HM史に残る名盤。

Track List

1. Neon Knights
2. Children of the Sea
3. Lady Evil
4. Heaven & Hell
5. Wishing Well
6. Die Young
7. Walk Away
8. Lonely is the Word

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OZZY OSBOURNE / Blizzard of Ozz

1980,UK/USA

BLACK SABBATHを脱退したオジー・オズボーン(Vo)のソロ1st1980年作Blizzard of Ozz。

ボブ・デイズリー(B)、リー・カースレイク(Dr)とベテランを配しつつ、ギタリストは当時世界的には無名のランディ・ローズ(ex.QUIET RIOT)を抜擢。
彼の才能に後押しされ、オジーが本格的にシーンに復帰を飾ります。ライブでの定番曲#1、#2。ランディのクラシカルなフレージングが衝撃的な#6、#8など今やメタル・クラシックとも言える名曲満載。
母ドロレス捧げたクラシカルなアコギ小品#4にランディの優しさを、そして、炎の化身のように弾きまくる#6にランディの情熱を感じます。

Track List

1. I Don't Know
2. Crazy Train
3. Goodbye To Romance
4. Dee
5. Suicide Solution
6. Mr. Crowley
7. No Bone Movies
8. Revelation (Mother Earth)
9. Steal Away (The Night)

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TYGERS OF PAN TANG / Spellbound

1981,UK

NWOBHMの末期に登場した英国のヘヴィ・メタル・バンドTYGERS OF PAN TANGの2nd。

TYGERS OF PAN TANGは1978年にニューカッスルで結成。当初は4人編成でNWOBHMの波に乗りアルバムWILD CAT でデビュー。その後にもう一人のギタリスト ジョン・サイクス(G)が加入。レディング・フェスティバル等で注目を浴びる。そしてさらにヴォーカルもチェンジ。表現力と甘い声質&ルックスのジョン・デヴァリル(Vo)が加入して制作されたのがこのSPELLBOUNDなのです。前述の2人の加入によってこのアルバムでNWOBHMの単なるB級バンドから突如脱却。シンプルながらインパクト絶大なリフにKOされた#1。サイクスの「ゲイリー・ムーアみたい」という前評判通りのコンパクトで強烈なギター・ソロと暴力的なまでにパワフルな曲調でグイグイ来ます。そんな#1やゲイリー・ムーアがゲスト参加したという#4、デヴァリルの叙情的なヴォーカルが冴えるメロディアスな#10がおすすめです。#10のソロはマイケル・シェンカーっぽいメロディアスなスケール弾きが泣かせます。ゲイリー・ムーアがG-FORCEのYouで弾いてたフレーズまんまですけど・・・まぁご愛嬌ということで。

Track List

1.Gangland
2.Take It
3.Minotaur
4.Hellbound
5.Mirror
6.Silver And Gold
7.Tyger Bay
8.The Story So Far
9.Blackjack
10.Don't Stop By

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TYGERS OF PAN TANG / Crazy Nights

1981,UK

NWOBHMバンドTYGERS OF PAN TANGの3rd。

ジョナサン・デヴァリル(Vo)、ジョン・サイクス(G)が加入した前作SPELLBOUNDによって同時期のNWOBHMバンド群から頭ひとつ抜け出た彼らですが、本アルバムでは前作にあった叙情性が失われ、割りと似たようなテンポの楽曲が続く凡庸な出来。
キャッチーでノリの良いHR/HMなのは良いんですが、バリエーションとアイディアに乏しいし、何と言っても決定的に強力な曲が無いのが痛い。
これではジョナサンの表現力も活きないし、白玉で流すだけで捻りの無いバッキング・ギターも退屈だ。
ジョン・サイクスの貴重な資料としての価値はあるかも知れませんが、自ら作曲したと思しき#4でゲイリー・ムーア風フレーズをはじめとする早弾きをキメている以外にコレといった見所は無し。
その後ジョンはTHIN LIZZYに引き抜かれ、バンドは外部ライターの曲を採用しさらにポップな方向にシフトしていきます。

Track List

1. Do It Good
2. Love Don't Stay
3. Never Satisfied
4. Running out of Time
5. Crazy Nights
6. Down and Out
7. Lonely Man
8. Make a Stand
9. Raised on Rock

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DEF LEPPARD / High ‘n’ Dry

1981,UK

DEF LEPPARDの1981年の2nd。AC/DCで有名な名プロデューサー ジョン・マット・ラングと組み出したアルバム。質感がAC/DCっぽくソリッドになって、後年の音に似てきた。名曲#4やライブではジョー・エリオット(Vo)もギターを弾くインストの#5が好きです。既にこの頃から、良い意味でのキャッチーさとハード・ロックなカッコ良さのバランスが絶妙。

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BLACK SABBATH / Mob Rules

1981,UK

ドラムがオリジナル・メンバーのビル・ワードからヴィニー・アピス(Dr)にチェンジしたBLACK SABBATHの1981年10thアルバムMob Rules。

ヘヴィなドライヴィング・チューン#1。
シンプルなリフでありながらも、ロニー・ジャイムズ・ディオ(Vo)の歌唱によって威厳すら感じさせるソリッドなナンバーに仕上がった#2。
ロニーのクリーンでメロウな歌唱が美しい序盤から一転して、ヘヴィなリフが入りドゥーミーかつドラマティックに展開する#3。
シンセを使った妖しいムードのSE #4。
#4から間を置かず爆発的にスタートする、跳ねるビートのブ厚いリフが超強力なハード・ロック・ナンバー#5。
中盤に往年の名曲Snowblindを想起させるコード進行のメロウなパートを挿入したドラマティックな#6。
トニー・アイオミ(G)とギーザー・バトラー(B)による休符を巧く使ったズ太いユニゾン・リフが、70年代風ロックのようなヘヴィなグルーヴを生み出す#7。
沈み込むバラードからアップテンポのハード・ロックに移行する#8。
悲痛なメロディの歌唱と弾きまくりのギター・ソロが激しく魂を揺さぶる#9。

ロニーが馴染んだこともあってか、前作で一部見られたどっちつかずのロックン・ロールは影を潜め、さらに、ソングライティング面で深く関与したギーザーの影響で荘厳なムードも薄くなり、より妖しくヘヴィ・メタル然とした硬派なムードで統一された作風となっています。

Track List

1. Turn Up the Night
2. Voodoo
3. The Sign of the Southern Cross
4. E5150
5. The Mob Rules
6. Country Girl
7. Slipping Away
8. Falling off the Edge of the World
9. Over & Over

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OZZY OSBOURNE / Diary of a Madman

1981,UK/USA

OZZY OSBOURNEの1981年2ndアルバムDiary of a Madman。

レコーディングのメンツは1stと同様オジー・オズボーン(Vo)、ランディ・ローズ(G)、ボブ・ディズリー(B)、リー・カースレイク(Dr)。

破壊的なリフと周到にアレンジされたダブル・トラッキングのバッキング・ギター。そしてエキサイティングなギター・ソロ。ソロのラストでのピックスクラッチが鳥肌。もうオープニングの#1から既にKOされましたね。
天駆けるようなクラシカルなフレーズをライトハンド奏法で繰り出す#2。
アコギとエレキを巧みに絡めたギター・オーケストレーションで壮大なスケールを描く7分のエピック・チューン#3。
荘厳かつオカルティックなムードで独自のゴシカルな世界を表現した#4。
ヘヴィなミディアム・テンポのハード・ロックにキャッチーなサビを配した#5。
メロディックなバラードでエンディングのギター・ソロが泣ける#6。
ドラマティックな展開とカッコ良いリフで迫る3連ハード・ロック#7。
ELOでもお馴染みルイス・クラークによるストリングス・アレンジとクワイヤを加えゴシカルにしてプログレッシブに展開する7/8拍子の#8。

本作は作曲/アレンジ/プレイ/エフェクト使い、等々ランディの才能が遺憾無く発揮され、従来のオジーのカラーにアメリカンな開放的ムードも加え、後のメインストリームでのブレイクを予感させる傑作となりました。
ただ、その後のツアー中に飛行機事故によってランディは帰らぬ人となってしまいました。当時のインタビューで、充分な時間が無く一部のギター・ソロの練りが足りなかった(#5等)・・・みたいな事を言ってたので、もし納得行くまで制作できたらどんなに凄い事になるのか、と思ってましたが・・・とてもとても残念でなりません。

Track List

1. Over the Mountain
2. Flying High Again
3. You Can't Kill Rock & Roll
4. Believer
5. Little Dolls
6. Tonight
7. S.A.T.O.
8. Diary of a Madman

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VANDENBERG / Vandenberg

1982,NETHERLANDS

長身ギタリスト エイドリアン・ヴァンデンバーグの華麗なギター・ワークと様式美風味が売りのオランダのハード・ロック・バンドVANDENBERG。

このデビュー・アルバムでも既にスタイルが完成されており、全編に渡って繰り広げられるキッチリとコンポーズされたギター・ソロが素晴らしい構築度。”天才”エディ・ヴァンヘイレンや”神”マイケル・シェンカーになるのは無理でも、努力すればこの”秀才”エイドリアン・ヴァンデンバーグにはなれるかも・・・とギター・キッズに思わせる、譜割がキレイなフレージングが印象に残ってます。バッキングも几帳面。ファンの署名活動で実現した初来日コンサート(大阪厚生年金会館)でも丁寧にバッキング弾きつつ、ソロもキッチリ弾いてました。その生真面目な性格が災いしてか、後年のWHITESNAKEでは”天才”肌のスティーヴ・ヴァイに自分の書いた曲なのに無茶されるという憂き目にも。クラシカルなフレージングやトーン(ワウの使い方)が、当時はマイケル・シェンカーと比較もされていました。メイン・ギターがゴールド・トップのレス・ポールっていうのも良いじゃないですか。ヒョウ柄ジャケットに蝶ネクタイっていうスタイルもカッコ良かったなぁ、何故か。イントロからして瞬殺、クラシカルなライトハンドに涙する様式美チューン#6を筆頭にカッコ良いハード・ロック#2,#8,#9、アコギのイントロが美しい#7、バート・ヘイリング(Vo)の歌唱が堪らない泣きの名バラード#4等名曲目白押しです。

Track List

1. Your Love Is in Vain
2. Back on My Feet
3. Wait
4. Burning Heart
5. Ready for You
6. Too Late
7. Nothing to Lose
8. Lost in a City
9. Out in the Streets

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GIRL / Wasted Youth

1982,UK

単純なリフで押し捲るバンドが多かったNWOBHM期のバンド群の中でも、独特の翳りを持ったサウンドで異彩を放っていたGIRLの2ndアルバムWasted Youth。
ドラマーがデイヴ・ゲイナーからピート・バーナクル(Dr)に交代した他は1st同様のメンツ。

シャープで生々しいカッティングが印象的な#1。
ダークな中に叙情性を感じさせる#2。
単音リフとカッティングで役割分担したギターのアンサンブルが#3
ヘヴィでクールな#4。
NWOBHM時代の典型的リフをベースにキャッチーなサビに展開する#5。ギター・ソロではフィル・コリン(G)の壮絶な早弾きが楽しめます。
ホンキー・トンク・ピアノを加えたアレンジのロックン・ロール・ナンバー#6。
ムーディなパートから緊張感あるカッコ良いハード・ロックへ展開、マシンガン・ピッキングが唸りを上げるフィルのソロをフィーチュアした#7。
フィルのアーミングを使用したインテンスなソロが印象的な、キャッチーなサビのヘヴィなロックン・ロール#8。
ツイン・リードのハーモニーを挿入したノリノリのシャッフル・ナンバー#9。
アップテンポのハード・ロックン・ロール#10。

美形のフィリップ・ルイス(Vo)を前面に押したて、この頃はフサフサだったフィル・コリンも化粧を施したりと、グラマラスなルックスが話題だったGIRLではありますが、音楽性はギミック一切無しの硬派なハード・ロック。1stでは退廃的なムードを漂わせたり幅広い音楽性も感じさせていましたが、この2ndではロックン・ロール系が3曲も収録されており、よりストレートでキャッチーな方向に向かっていたようです。
フィル・コリンはこの後DEF LEPPARDに加入し世界的に成功。フィリップ・ルイスはバーニー・トーメとの活動の後、アメリカに渡りL.A.GUNSでデビューします。

Track List

1. Thru The Twilight
2. Old Dogs
3. Ice In The Blood
4. Wasted Youth
5. Standard Romance
6. Nice 'n' Nasty
7. McKitty's Back
8. 19
9. Overnight Angels
10. Sweet Kids

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カテゴリー: GIRL

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ALCATRAZZ / No Parole From Rock’N’Roll

1983,USA

RAINBOW、MSGと渡り歩いてきたグラハム・ボネット(Vo)が元NEW ENGLANDのジミー・ウォルドー(Key)、ゲイリー・シェア(B)と新バンド結成を画策。ギタリストに当時はほぼ無名のイングヴェイ・マルムスティーン(G)を加えデビュー。知名度からいくと当然グラハムのバンドというイメージでレコードを購入したファンの期待を大きく上回る新星イングヴェイの登場に、シーンが騒然となりました。シンセによるリフに乗った軽快なハード・ロックに、突如ヨーロッパ叙情のメロディをアル・ディ・メオラ並のフル・ピッキングで聴かせるギター・ソロが切れ込む#1で掴みはOK。キャッチーながらもネオ・クラシカルなムードを湛えた#2でも、流麗な下降~上昇フレーズにトリ肌。そしてRAINBOW直伝の様式美ハード・ロック#3ではパワフルなグラハムのボーカルを向こうに回し、ネオ・クラシカルな6連のキメと流麗でスリリングなソロで絶頂を極めます。さらに、叙情高速メロディアス・フレーズが押し寄せる#4、ドラマティックな#5と来てアナログA面終了。続くB面も情感溢れるアコギをあしらった大仰なインストゥルメンタル小品#6で軽くジャブを入れてスタート。エコノミー・ピッキングによるクラシカルなキメを挿入したメロディアスなシャッフル・ナンバー#7。ネオ・クラシカルなフレーズが乱れ飛ぶヘヴィな#8。キャッチーでメロディアスなハード・ロックにおけるイングヴェイのテクニカルなソロのシャワーが心地良い#9。沈み込むようなバラードを幽玄に彩るアルペジオが美しい#10でも見事なソロを聴かせます。ジャキジャキしたナチュラル・ディストーションの効いたバッキングに伸びやかなソロと、ストラトの生々しく美しいサウンドも最高。緩急・強弱など周到に構築された破天荒なようで実は端整なギター・ソロ、ピッキングのニュアンスによる微妙なトーン・コントロールによる感情表現、そしてスリムな体型など、イングヴェイがビッグになるにつれ失われていった要素がてんこ盛りです。

Track List

1. Island in the Sun
2. General Hospital
3. Jet to Jet
4. Hiroshima Mon Amour
5. Kree Nakoorie
6. Incubus
7. Too Young to Die, Too Drunk to Live
8. Big Foot
9. Starcarr Lane
10. Suffer Me

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EUROPE / Europe

1983,SWEDEN

スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドEUROPEの1983年1stアルバムEurope。

ジョーイ・テンペスト(Vo/Key)、ジョン・ノーラム(G)、ジョン・レヴィン(B)、トニー・レノー(Dr)の4人組。
ジョーイの伸びやかなハイトーンを活かしたメロディアスなハード・ロック/ヘヴィ・メタルは後に北欧メタルの代名詞ともなりました。ジョン・ノーラムのリフやソロのフレージングには多分にマイケル・シェンカーの影響が見て取れます。(マシンガン・ピッキングにはゲイリー・ムーアも)

疾走メタル・チューン#1、3連のリフがカッコ良い#9など、メタルでありつつ北欧ならではの凛と澄み切ったイメージのメロディアス路線は多くのフォロワーを生みました。デビュー・アルバムということで、ジョーイの歌唱は上ずり気味だしアレンジもシンプルだが、その分逆に勢いを感じさせま。
又、端整なピアノのアルペジオで始まる代表曲#3のドラマティックな様式美などに既に大物の予感も漂わせています。

Track List

1. In the Future to Come
2. Farewell
3. Seven Doors Hotel
4. King Will Return
5. Boyazont
6. Children of This Time
7. Words of Wisdom
8. Paradize Bay
9. Memories

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