コンセプト・アルバム のレビュー

EMERSON LAKE & PALMER / Tarkus

1971,UK

ELPの1971年2nd。

何と言っても20分超のタイトル組曲#1が圧巻。ハモンドによる印象的な怒涛の5拍子リフが、架空の怪物タルカスがキャタピラで縦横無尽に暴れまわる姿を表現しきってます。一方、グレッグ・レイクのヴォーカルによる歌パートでは物語が抽象的に語られつつも、叙情性にホッと一息入れる余裕も聴き手に与える心遣いが嬉しいですね。Drのカール・パーマーは後のASIAでの醜態がウソのようにタイトなビートでタルカスの機関部となりバンドの推進力を高めてます。キーボード・トリオという構成でこれだけのドラマを構築されたらもう降参ですね。小品#2やタイトな演奏が聴ける#3でのホンキートンク調ピアノ、荘厳なオルガンに導かれる#4の後半でのクラシカルなピアノ等ピアノも素敵です。でもやっぱり#6のオルガンには血が沸き立ちますね。

Track List

1. Tarkus
Eruption
Stones of Years
Iconoclast
Mass
Manticore
Battlefield
Aquatarkus
2. Jeremy Bender
3. Bitches Crystal
4. The Only Way
5. Infinite Space
6. A Time and a Place
7. Are You Ready Eddy?

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LATTE E MIELE / Passio Secundum Mattheum

1972,ITALY

イタリアの3人組プログレッシブ・ロック・バンドLATTE E MIELEの1stアルバムPassio Secundum Mattheum(受難劇)。

バッハの「マタイ受難曲」からインスピレーションを得、叙情的なメイン・メロディをベースにクラシックをはじめロックやジャズの要素を巧みに織り交ぜて編み上げたコンセプト・アルバム。
テーマがテーマだけに、ローマ法王御前演奏を行ったと言う伝説もあながちウソでも無さそう。
それにしてもそれが本当だとしたら、さすが音楽の歴史ではヨーロッパでも屈指のイタリアらしく懐が深いというか、よくこんなうるさいのが許されたものです。驚きです。

#4におけるロックなドラミングをバックにしてのチェンバロの厳かなアルペジオ、#5での混声合唱団のコーラスから自然に移行するアナログ・シンセのメロディ、ジャジィなピアノがリードする#6、スラッシュ・メタルの元祖かのようなシュレッドなギター・リフに、場末のジャズ・ピアノ、メロトロンが絡み壮大でスペイシーなシンセのメロディで絶頂を迎える#9と、当時若干16,17歳のメンバーが居た若いバンドとは思えない音楽的キャパシティの広さと老練な構成力に驚愕。
アコギとピアノを従えたハイトーンの歌唱が美しい#8、チャーチ・オルガンの荘厳なインストゥルメンタル#10、合唱団と語りで淡々と物語を紡ぐ#11、アルバム冒頭の合唱団を交えたテーマ・メロディを控えめに繰り返し余韻を残す#12、といったあたりのクラシカルなタッチの楽曲では確かな音楽的素養も感じさせます。

重いテーマをものともしない躍動感溢れる演奏と、多ジャンルの音楽的要素を力技で融合してしまうチャレンジ精神が眩しすぎます。

Track List

1. Introduzione
2. Giorno DeGli Azzimi
3. Ultima Cena
4. Getzemani
5. Processo
6. I Testimoni, Pt. 1
7. I Testimoni, Pt. 2
8. Pianto
9. Giuda
10. Re Dei Giudei
11. Calvario
12. Dono DeLla Vita
13. Mese di Maggio

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CERVELLO / Melos

1973,ITALY

OSANNAのダニーロ・ルスティッチを兄に持つコラード・ルスティッチ(G/Vo)のバンドCERVELLO唯一のアルバムMelos。
リリース当時、コラードは何と16歳。

ファルセットの男性コーラスがプリミティブな妖艶さを演出するオープニング・チューン#1。中盤の変拍子を盛り込ん
だジャズ・ロック的バッキングにエフェクトを掛けたボーカルが乗る場面は、KING CRIMSONの影響も伺わせます。
フルートやヴィブラフォンがアコギのアルペジオと美しくも妖しく織り成す静謐で神秘的なパート、うねるサックスと
ギターがボーカルと饗宴を繰り広げる暴虐パートとの真逆の対比が鮮烈な#2。
リコーダーの素朴な音色による爽やかさに、複雑な音使いのギターのアルペジオが混沌を付加しつつも均衡を崩さない、インテリジェンスを感じさせる#3。
激しく展開する変拍子にサックスとギターがユニゾンやハーモニーで絡み合うテクニカルな#4。
2本のフルートのハーモニーが叙情を呼ぶ序盤から、サックスを中心に壮大なスケールの後半に発展する#5。
サックスとギターのユニゾンが、リズム隊の繰り出す追い立てるようなグルーヴの上を乱舞する#6。
バックのギターのアルペジオに2本のフルートとボーカルが乗るエンディングの小品#7。

古代ギリシャの叙事詩メロスを題材にしたコンセプト・アルバムで、キリスト教的概念からすると邪教と言える多神教
のギリシャ神話の世界をヘヴィでインテンスなアンサンブルで禍々しく描く一方、ハッとする静謐さを湛えた神秘的なパートでは調和の取れた美をも表現。
イタリアのヘヴィ・シンフォにありがちなドラムのバタバタ感が無く、洗練された印象を受けます。

Track List

1. Canto del Capro
2. Trittico
3. Euterpe
4. Scinsione
5. Melos
6. Galassia
7. Affresco

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PINK FLOYD / The Dark Side of the Moon

1973,UK

邦題「狂気」が言い得て妙なPINK FLOYDの1973年8th。

鼓動のSEがオープニングとエンディングに配され、各曲が微妙にクロスフェードしながら繋がったアルバム構成、大胆にベル音をあしらった#4、サンプラーが無い時代にレジの音を録音したテープの切り貼りで組み立てた#5のリズム、といった部分の実験的な要素と、ゲスト女性ボーカルによるソウルフルなゴスペル風スキャットやコーラス、キャッチーなボーカル・メロディがもたらすポピュラー音楽としての分かり易さが高次元で融合。それでいて、リラックスしたムードのヒット・シングル#7やスペイシーな#8などのゆったりとしたテイストがリスナーのイマジネーションを刺激するプログレッシブな精神性も。シド・バレットの暗喩とされた「月の暗い面」を日常の狂気という より普遍的なテーマに昇華させ、耳障りの良いポップスの意匠をまとった楽曲を実験的なSEで繋ぎトータル・コンセプト・アルバムとして完成させた、音楽性・商業性を両立した20世紀のロック史に刻まれた金字塔です。

Track List

1. Speak to Me
2. Breathe
3. On the Run
4. Time
5. The Great Gig in the Sky
6. Money
7. Us and Them
8. Any Colour You Like
9. Brain Damage
10. Eclipse

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OSANNA / Palepoli

1973,ITALY

イタリアのプログレッシブ・ロック・バンドOSANNAの3rdアルバムPalepoli。

バンドの出身地ナポリ近辺に実在した古代都市パレポリスをテーマとしたコンセプト・アルバム。
古代の息吹を感じさせる妖しいフルートのメロディをとっかかりにリスナーを幻想の世界に引きずり込むと、以降は様々なテーマ・メロディを提示しながら次々に展開し清廉と暴虐、静寂と喧噪が描かれていく。
主にギターがハード・ロック的な荒々しさで激しさを演出し、そこにサックスが絡んで猥雑さをも表現。
一方、メロトロンが神々しく降り注ぐ場面では、芸術的な美しさと制御された構築性も垣間見せる。
ボーカルは変幻自在。バンドが醸成するムードに合わせて叙情的にも扇情的にも変化し、楽曲に魂を吹き込んでいく。

プログレが本国英国を中心に商業的にメインストリーム化するとともに、音楽性的には洗練・重厚長大化していく中にあって、異なるベクトルで独自の世界を切り開いたイタリア勢の白眉といえるアルバム。

Track List

1. Oro Caldo
2. Stanza Citta
3. Animale Senza Respiro

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LE ORME / Felona e Sorona

1973,ITALY

イタリアのプログレッシブ・ロック・バンドLE ORMEの1973年5thは、フェローナとソローナという2つの惑星の物語を綴ったコンセプト・アルバム。
各曲が曲間無く繋げられ、アルバムとしての統一感があります。

元々4人組ビート・ポップ・バンドでスタートしたというLE ORMEですが、3rdの頃からトニ・パリュウカ(Key)を中心としたキーボード・トリオ編成になり音楽性も変化。ツアーで訪れた英国で、プログレッシブ・ロックの影響を持ち帰ったのかもしれません。

手数の多いドラムをバックにオルガン、シンセ、メロトロン(ソリーナ?)を駆使してシンフォニックに暗い叙情を紡ぎ出す#1。
イタリアン・レストランのBGMでかかっていてもおかしくない位、地中海情緒溢れる穏やかなムードの歌唱パートを持つ#2。かつてはシングル曲中心に活動していた名残を感じさせます。
雫のようなピアノが美しい#3からメドレーで妖しいムードの中盤を経て、スリリングな変拍子のシンセ・ソロからメロディアスな終盤へと起伏ある展開を見せるプログレッシブな#4。
切々としたボーカルが叙情を紡ぐ#5。
#5のムードを引き継いだ、5拍子の歌唱パートを持つ#6。
暗がりから一条の光が射すかのごとく、ポジティブなムードのメロディがエレキ・ギター、ピアノによって静かに継承される#7。
地中海風フォークにシンセのシンフォニックな味付けを施した明るいムードの#8は、終盤に#5の物悲しいフレーズがリプライズで挿入されています。
そして#8終盤のムードを引き継ぎながら、ブ厚いシンセが不安を煽るようなメロディを放射してクライマックスを迎える#9。

決してテクニカルではありませんが、独特の歌心を感じさせる歌唱パートと、叙情やスリル等様々な情景を描き出すシンセやオルガンを駆使したドラマティックなインスト・パートが融合した、独特のサウンドを聴かせます。

Track List

1. Sopesi Nell 'Incredible
2. Felona
3. Solitudine Di Chi Protegge Il Mondo
4. Equilibrio
5. Sorona
6. Attesa Inerte
7. Ritratto un Mattino
8. All 'Infuori del Tempo
9. Ritorno Al Nulla

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ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA / Eldorado

1974,UK

オーケストラをロック・バンドに取り込みユニークなサウンドを創出したELECTRIC LIGHT ORCHESTRAの全米16位となった4thアルバムEldorado。

編成はジェフ・リン(G/Moog/Vo)を中心とした4ピースのロック・バンド+チェロ2名、ヴァイオリン1名。
スペイシーなSEとディズニーのようなメルヘンちっくなオープニングからストリングスの下降フレーズが壮大なドラマを予感させる序曲#1で幕を開け、しっとりしたストリングスをバックにした#2のピアノによるゆるやかなイントロ。もうこの部分だけでワクワクしますね。
ブラスのファンファーレをあしらった#3では弦のピチカートが印象的です。
チェロのオブリガードが効いている#4は、ファルセットを上手く使ったサビの歌唱が抜群のメロディと相まって超キャッチー。それでいてヴァースではラフな雰囲気の歌唱も渋く聴かせてます。
#7は英国っぽいペーソスを感じさせる佳曲で、ホンキートンクなピアノ・ソロが良い感じ。
胸キュンで雄大なサビが物語の終焉が近い事を悟らせて胸を熱くさせる#9でクライマックスに。
そしてエキゾチックな終盤に続き、#10では#1のオーバーチュアがリプライズされ圧巻のフィナーレを迎えます。

Track List

1. Eldorado Overture
2. Can't Get It Out Of My Head
3. Boy Blue
4. Laredo Tornado
5. Poor Boy (The Greenwood)
6. Mister Kingdom
7. Nobody's Child
8. Illusions In G Minor
9. Eldorado
10. Eldorado Finale

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CAMEL / The Snow Goose

1975,UK

叙情派プログレの雄CAMELの1975年3rdアルバムThe Snow Goose。

ポール・ギャリコの同名短編小説に基づいたコンセプト・アルバム。一部のスキャットを除きオール・インスト。
表情豊かなギターやフルート、シンセがストーリーに沿ってメロディを奏で、物語を紡いでいきます。原作を知らずとも、美しいメロディを追って行くだけで充分浸れますが、ここはご一読をお勧めします。ストーリーを知る事で感動が10倍くらいになります。

第二次世界大戦中のダンケルクの戦いを背景に、奇妙なせむしの男Rhayaderと彼に心を開いていく少女Fritha、そしてそんな2人の友情(愛情?)を取り持つ事になるスノーグースの活躍が描かれた寓話です。音楽を聴く事で物語の情景が目に浮かび、終盤は涙が止まらなくなります。オーケトスラを従えたシンセとギターが伸びやかな#15を初め、スノーグースを描いた#6,#10などの溌剌とした浮遊感は時に優しく、力強く2人を見守るスノーグースの様を表現しきっているし、#4のギター・トーンやメロディもタイトル通りに汚れ無き世界そのもの。対照的な2人がモチーフとなった#2や#5の描写も見事。

Track List

1. Great Marsh
2. Rhayader
3. Rhayader Goes to Town
4. Sanctuary
5. Fritha
6. Snow Goose
7. Friendship
8. Migration
9. Rhayader Alone
10. Flight of the Snow Goose
11. Preparation
12. Dunkirk
13. Epitaph
14. Fritha Alone
15. La Princesse Perdue
16. Great Marsh

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STACKRIDGE / Mr.Mick

1976,UK

STACKRIDGEの1976年5thアルバムMr.Mick。
ミックという人物をテーマにしたコンセプト・アルバム・・・のはずだったんですが、前作から所属していたロケット・レコードの圧力でBEATLESのカヴァー#1をトップに収録させられたり、選曲や曲順に関してもかなりいじられたようです。

ゆったりとしたピアノとコーラスが環境音楽のようなムードを醸し出す中、エキゾチックなサックスのプレイが強烈なアクセントとなった#2。
#2ラストのナレーションから繋がったピアノのリズミカルなリフが印象的な#3。
シンセを中心としたSEからメロトロンの東洋的メロディに移行する#4。
ホンキートンク風ピアノとサックスがのどかなムードを演出する#5。
繊細なボーカルをフィーチャーした前半、ハープシコードや滑らかなクラリネットが上品で落ち着いたムードの後半に分かれる端整なワルツに乗った#6。
雫が滴り落ちるようなアンビエントなピアノが神秘的な冒頭から、メロトロンの洪水の中盤を経て物悲しいサックスで盛り上がるドラマティックな#7。
と、ここで突如軽いムードに英国的捻りを加えた#8が登場。何か違和感あるなー、と思っていたら2000年にバンドがリリースしたオリジナル版では、これが1曲目になってました。
洗練されたピアノの旋律にクラリネットのメイン・フレーズが絡むイントロダクションからペーソス感漂うボーカル・パートに発展する#9。

前作から参加した元AUDIENCEのキース・ゲメル(Sax/Cla)が要所で印象に残る味わい深いプレイを披露。AUDIENCE時代は彼のプレイが楽曲のカラーを決定付けていたくらいですからね。又、元GREENSLADEのデイヴ・ローソン(Key)の参加やヴァイオリン・プレイヤーをゲストで賄うなど、サウンドは益々鍵盤中心のプログレッシブ・ロック寄りになってきましたが、セールスが振るわずバンドは解散してしまいます。

Track List

1. Hold Me Tight
2. Breakfast with Werner Von Braun
3. Steam Radio Song
4. Dump
5. Save a Red Face
6. Slater's Waltz
7. Coniston Water
8. Hey! Good-Looking
9. Fish in a Glass

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STYX / Paradise Theater

1981,USA

アメリカはシカゴ出身のプログレッシブなハード・ロック・バンドSTYXの1981年10thアルバムは、地元シカゴに実在した劇場の栄枯盛衰をテーマにしたコンセプト・アルバム。#1のアルバム・テーマ・メロディから勢い良く繋がった弾けるようなロックンロール・ナンバー#2が、アルバム・ジャケットに描かれたパラダイス・シアター全盛期の賑々しさを象徴しているかのようです。トミー・ショウ(G/Vo)が作曲しボーカルをとるコミカルなリフにヒネリを効かせた展開のポップなナンバー#3。ブラス・セクションを導入したレゲエ風リズムの#4とファンキーな#6。デニス・デ・ヤング(Key/Vo)の甘い歌唱とサビのブ厚いコーラス、メロディアスなギター・ソロ、と全てのパーツが完璧なアルバム・テーマ・チューンの感動的なバラード#5。トミー・ショウ作曲の軽快なフォーク風ナンバー#7。ジェイムス・ヤング(G/Vo)とデニス・デ・ヤング共作のミステリアスな#8。ジェイムス・ヤングのガッツィーなハード・ロック・チューン#9は、マイルドなサックスを交えて終盤徐々にシンフォニックなパートに移行していく様がドラマティックで感傷的です。ここから再びテーマ・メロディが登場しパラダイス・シアターの思い出を振り返る#10とカーテンコールのような#11は、是非アルバム裏ジャケットの廃墟と化したパラダイス・シアターを眺めながら聴いて、郷愁に浸って欲しいところです。#11の場末のバーみたいなホンキー・トンク・ピアノの音色が良い感じなんですよ。

Track List

1. A.D. 1928
2. Too Much Time on My Hands
3. Nothing Ever Goes As Planned" (DeY
4. The Best of Times
5. Lonely People
6. She Cares
7. Snowblind
8. Half-Penny, Two-Penny
9. A.D. 1958
10. State Street Sadie

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MARILLION / Misplaced Childhood

1985,UK

MARILLIONの1985年3rdアルバムMisplaced Childhood。

各曲が時に組曲形式を取りつつも隙間無く紡がれていき、ラストはポジティブな印象で大団円を迎えるコンセプト・アルバム。自然な変拍子やテクニックに走る事の無いあくまでも楽曲重視のアレンジが、フィッシュ(vo)のストーリーテリングぶりとスティーブ・ロザリー(G)の叙情的なプレイを際立たせ、独自のシンフォニックな世界を醸成してます。手法としては良く引き合いに出されるGENESISよりもCAMEL寄りと言えるかもしれません。切れ目無く曲が続く構成は随所にキャッチーなフックと絶妙な場面転換が用意されており、アルバム通して一気に聴けます。中弛みや延々と空虚な繰り返しパートで茶を濁す凡百のバンドが陥りがちな安易な作りとは無縁の高品質な作風で名声を確立した代表作。スティーブ・ロザリーのディレイを微妙にかけたギター・サウンドが透明感抜群で適度な湿り気を保ちつつも抜けが良く、アルバム全体の印象をもクリアなものに高めてます。

Track List

1.Pseudo Silk Kimono
2.Kayleigh
3.Lavender
4.Bitter Suite:
I. Brief Encounter,
II. Lost Weekend,
III. Blue Angel
5.Heart Of Lothian:
I. Wide Boy,
II. Curtain Call
6.Waterhole (Expresso Bongo)
7.Lords Of The Backstage
8.Blind Curve:
I. Vocal Under A Bloodlight,
II. Passing Strangers,
III. Mylo,
IV. Perimeter Walk,
V. Threshold
9.Childhoods End?
10.White Feather

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KALEIDOSCOPE / White Faced Lady

1990,UK

FAIRFIELD PARLOURの実質2ndアルバムでありながら、制作した1970年にレコード会社との移籍トラブルが原因でお蔵入りとなっていたものを突如1990年に元のバンド名であるKALEIDOSCOPE名義でリリースしたKALEIDOSCOPE (=FAIRFIELD PARLOUR)の通算4tnアルバムWhite Faced Lady。

2枚組のコンセプト・アルバムというフォーマットは当時のプログレッシブ・ロックでもさかんに採られた手法ではあるが、1970年というのはそれでも早い部類でしょう。
不遇のKALEIDOSCOPE時代から、陽の当たるFAIRFIELD PARLOURへの転身を果たし、乗りに乗っていたバンドの創作意欲が迸る作品。サイケ風味のメロディアスなフォークをベースに時に管弦を交え、清涼感たっぷりのサウンドでエンジェルという名の女性の生涯を描いています。

Track List

DISC 1
1. Overture
2. Broken Mirrors
3. Angels Song: Dear Elvis Presley
4. Nursey, Nursey
5. Small Song - Heaven in the Back Row
6. Burning Bright
7. The Matchseller
8. The Coronation of the Fledgling
9. All Hail to the Hero
10. White Faced Lady

DISC 2
1. Freefall
2. Standing
3. Diary Song: The Indian Head
4. Song from Jon
5. Long Way Down
6. The Locket
7. Picture With Conversation
8. Epitaph: Angel

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SAVATAGE / Streets a Rock Opera

1991,USA

ジョン・オリヴァ(Vo/Key)とクリス・オリヴァ(G)の兄弟を中心としたアメリカのヘヴィ・メタル・バンドSAVATAGEの1991年6thアルバムStreets a Rock Opera。

前作収録の名曲Gutter Balletで発揮したドラマティックな手法をアルバム全体に拡張。
DTジーザスなるストリート出身のロック・スターを主人公とした物語を綴ったコンセプト・アルバム。

厳かな少年クワイヤに不穏なチャイムのメロディがオーバーラップ、邪悪なリフが壮大な物語のオープニングを告げる#1。
ストリートの雑踏SEから、カッコ良い単音リフとシンセ・ストリングスの装飾でスケールの大きな展開を見せる#2。
物悲しいピアノにギターのパワー・コードが絡むドラマティックな伴奏に、ジョンの壮絶なシャウトが乗るパワー・バラード#3。
ソリッドなリフにセブンスを交え、コードDでの開放的で爽快なサビに展開するハード・ロック#4。
ジョンがピアノの伴奏をバックに優しくそして激しく歌うバラード・ナンバー#5。
ザクザクしたリフに乗ったポジティブなムードのアメリカン・ハード・ロック#6。
一転してアップ・テンポのシャッフルにチェンジ。若干邪悪なムードのリフが場面転換を告げる#7。転調に合わせたクリスのギター・ソロがスリルを増強しています。
沈んだ歌声とパワフルな歌唱で悲痛な心情を表現したパワー・バラード#8。シンセ・ストリングが絡みドラマティックな展開を見せます。
ミステリアスなギターのアルペジオがリードする#9。
アコギをバックに切々と歌う序盤からドラムのビートとともにハードなパートに移行する#10。
クリーンなギターのアルペジオを冒頭に配したヘヴィなハード・ロック#11。
ピアノをバックにした独唱からバンド・インし、ポジティブなメロディのパワー・バラードに発展する#12。
7拍子パートを含め目まぐるしいリフ展開で構成されたプログレッシブ・メタル・チューン#13。
穏やかなピアノと抑えたトーンによるジョンの歌唱に、少年クワイヤが厳かなムードをプラスした#14。
パワー・バラードからシンフォニックなハード・ロックに展開する壮大なスケールの#15。
ジョンの熱唱とクリスのクラシカルなバッキング・リフで感動的なフィナーレを飾るバラード#16。

雑踏のSEやセリフなど、この手の作品ではお馴染みの飛び道具の使用を最小限にとどめ、ジョンのエモーショナルな歌唱を軸に、ヘヴィ・メタリックな動とバラードによる静の楽曲を互い違いに配置しての起伏あるアルバムの流れで物語を描ききった名作。一気に聴けます。

Track List

1. Streets
2. Jesus Saves
3. Tonight He Grins Again
4. Strange Reality
5. A Little Too Far
6. You're Alive
7. Sammy and Tex
8. St. Patrick's
9. Can You Hear Me Now
10. New York City Don't Mean Nothing
11. Ghost in the Ruins
12. If I Go Away
13. Agony and Ecstasy
14. Heal My Soul
15. Somewhere in Time
16. Believe

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TERU’S SYMPHONIA / Fable on the Sven Pillows

1991,JAPAN

1991年作。元Scheherazade、NOVELAの平山照継(G)のプログレ・バンド。オリジナルのファンタジックなストーリーに基づいたコンセプト・アルバム。王様が毎夜話をさせる、という設定からしてRENAISSANCEの千一夜物語のパクリじゃないか。オチもイマイチだ。歌詞がストレート過ぎてつまらない。もっと比喩表現使った方が良いと思う。アレンジや曲の構成はいいのに。

Track List

1. Prologue
2. The princess is gone
3. Goblin Hunt
4. Big tree
5. Incomplete Happiness
6. A moonlight Icaros
7. Magic Waltz
8. The seventh night-Epilogue

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DREAM THEATER / Metropolis PT2 : Scenes from a Memory

1999,USA

プログレ・メタルの先駆者DREAM THEATERの5thアルバムScenes From A Memory。

2ndアルバム収録曲で初来日公演のオープニングを飾ったプログレ・メタルの名曲Metropolis PART1に続くPART2を銘打った、悲劇と輪廻転生を描いたストーリー・アルバム。

イントロ的な#1からMetropolisの一節を挿入してフェードインしてくる#2のリフで既にワクワク感はMAX状態。大きな展開とテクニカルな素早いパッセージをバランス良く配した曲構成も見事なオープニング。
後にリプライズするピアノのアルペジオが印象的な#4から、新加入ジョーダン・ルーデス(Key)の超絶ソロが登場するダークな#5に移行するあたりから徐々に物語の深部へ。
メタリックな激しさとミステリアスな静寂が交互に押し寄せ、やがてメロディアスに昇華するドラマティックな#6。中間部のインスト・パートは、リフをバックにしたジョン・ペトルーシ(G)のソロ、目まぐるしく展開するシンセ・ソロ、ジョン・ペトルーシの鬼のような早弾きと息つくヒマも無いが、これだけ弾き倒されるとむしろ爽快。
ソウルフルな女性スキャットがアルバムの中間地点で良いアクセントとなった#7。ここはジェイムス・ラブリエ(Vo)の表現力豊かな歌唱も聴き所です。
熱にうなされるかのように息苦しくヘヴィな#8で物語はACT IIへ。ヘヴィネスからメロディアスに転換する意外性あるアレンジが秀逸。
ジョン・ミュング(B)によるフランジング効果の掛かった重いリフからプログレ・メタルらしい奇妙なリフに変化するインストゥルメンタルの#9。ホンキートンク・ピアノのソロがなかなか洒落ていて、ジョーダン・ルーデスの引き出しの多さを垣間見れます。
流れるように美しいピアノに導かれたバラード風の冒頭から、爽やかとも言えるくらいメロディアスなサビへ移行する#10。
#11はゴスペル風コーラスとジョン・ペトルーシの情感たっぷりなギター・ソロをフィーチュアした、普遍性を持ったメロディアスな名曲。
そして起伏あるドラマを締めくくるのが、アルバム全てを凝縮したかのようなドラマティックな12分超の感動大作#12。

随所にMetropolisの一部を登場させるニクい演出もさることながら、とにかく全曲の質が異常に高い。
場面転換してストーリーを紡ぎながらも各曲のキャラがちゃんと立っているのがもはや奇跡。
従来のテクニカルなプログレッシブ・メタルに、より一般受けするメロディアスな要素を加えつつ、それをさらにストーリー性を持たせてアルバム1枚を構築してしまうという偉業を成し遂げたロック史に残る名盤。
このアルバムでDREAM THEATERは往年の名バンド達と肩を並べたと言っても良いのではないでしょうか。
ストーリーのラストは音だけでは不可解なので、タネ明かしされるライブDVDの鑑賞もお勧めします。

Track List

1. Regression
2. Overture 1928
3. Strange Deja Vu
4. Through My Words
5. Fatal Tragedy
6. Beyond This Life
7. Through Her Eyes
8. Home
9. The Dance of Eternity
10. One Last Time
11. The Spirit Carries On
12. Finally Free

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PAIN OF SALVATION / The Perfect Element, part I

2000,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンド PAIN OF SALVATIONの2000年3rdアルバム The Perfect Element, part I 。
児童虐待や青年時代の葛藤などをテーマとしたコンセプト・アルバム。

ヘヴィでダーク、怒りを感じさせるヴァースから、突然超メロディアス&メロウなサビに展開する#1。時にソウルフルなシャウトを交え、明暗を描く#2。終盤、印象的なボーカル・メロディがピアノでリフレインされ、聴き手の心に深く染み渡ります。
#2のラストからクロスフェードする悲しみに満ちたアルペジオのリフをベースに、苦悩を映した慟哭のサビに展開する#3。
ハンマーノイズの要素を強調することで寂寥感を表現したエレピによるリフが印象的な#4。
ストリング・セクションがバンド・サウンドに溶け込んだ後半がメロディアスで美しい。タッピングによるメカニカルな変拍子リフと、メロウなボーカル・パートでのオーガニックな情感を対比させた#5。疾走パターンに変化したリズム隊をバックに#3のサビがリプライズで登場し、テーマの関連性を示唆します。
時折ヘヴィな装飾を盛り込んだ、ピアノをバックにした繊細なバラードの前半から、5拍子でのエキゾチックなリフでリズム・コンシャスな後半に展開する#6。終盤にはストリングスとクワイヤで感動的なメロディがリフレインされます。
アコギやフレットレス・ベース、ピアノによる伴奏に清廉なボーカルが乗るメロウな#7。
チョーキングでシタールのような効果を出すギターが奏でるエスニックなメロディが深遠なムードと相まって、神秘性とトリップ感を生むヘヴィな叙事詩的ナンバー#8。
#4のリフ(今回はギターでプレイ)とサビがリプライズ、キャッチーとも言えるメロディアスなプログレッシブ・メタルに仕上った#9。
7拍子のクリーンなアルペジオによる静かな前半から、#6終盤で提示されたメロディがリプライズし盛り上がりを見せる後半に移行する#10。
パッド系シンセの白玉をバックに、ギターがルバートで切ないメロディを奏でるインスト小品#11。
7拍子のリフから始まり、重層的に様々なパートが織り込まれて壮大なフィナーレを飾る#12。

アルバム全体を覆うダークな色彩、ダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)による様々に声を使い分けてのボーカル、意表を突いた楽曲展開によって重いテーマを見事に表現。数種の印象的なテーマ・メロディを楽曲間でリプライズさせるアルバム構成の妙、必然性ある自然な変拍子、楽曲展開やインストゥルメンタル・パートにおけるコード進行などにインテリジェンスを感じさせます。

Track List

1. Used
2. In the Flesh
3. Ashes
4. Morning on Earth
5. Idioglossia
6. Her Voices
7. Dedication
8. King of Loss
9. Reconciliation
10. Song for the Innocent
11. Falling
12. The Perfect Element

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MAGENTA / Seven

2004,UK

女性ボーカルをフィーチュアした英国シンフォ・バンドMAGENTAの2ndアルバムSeven。

YESやRENAISSANCEが引き合いに出されるようだが、どうなんでしょう?
確かにコーラスはYESっぽいけど、それほどテクニカルで複雑でもないし、RENAISSANCE云々に至っては女性ボーカルだけが唯一の共通点って感じも。
それより、そんな形容が不要なほどMAGENTAとしてのスタイルが確立されていると思います。
細かいヴィブラートが独特で澄み切ったクリスティーナ嬢の歌声、英国らしい落ち着いた雰囲気と叙情性、現代のバンドらしいデジタル・シンセのクリアなサウンド。
「七つの大罪」をタイトルに戴く楽曲は、そのほとんどが10分クラスの長尺でじっくり、しっとり聴かせます。
シンセ等と生の弦が織り成すオーケストレーションが、凛とした空気感と適度なウェット感の絶妙なバランスで独特の音場を醸成。しっとりした#2や#5は女性ボーカル・ファンなら必聴です。

Track List

1. Gluttony
2. Envy
3. Lust
4. Greed
5. Anger
6. Pride
7. Sloth

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PAIN OF SALVATION / Be

2004,SWEDEN

ダニエル・ギルデンロウ(G/Vo)率いるスウェーデンのプログレッシブ・メタル・バンドPAIN OF SALVATIONの5thアルバムBe。

現代の天地創造の物語とダニエルが言うコンセプト・アルバムとなっており、男女による何やら哲学的な問答の#1から緊張感あるインストゥルメンタルに乗って年代と総人口数と思しき数が淡々とアナウンスされる#2に至るオープニングの段階で既に引き込まれていきます。
続く#3はパーカッションを活かしたトライバルなムードを漂わせたダークなフォークロア風チューン。リズムのトリッキーな仕掛けが耳から離れません。
雨のSEに続きピアノの美しくも沈鬱なソロにストリングが絡み、シンフォニックに発展していくインストゥルメンタル#4。
フレットレス・ベースが深遠なうねりを醸成する思索的な序盤から、タテ乗りのハードなパートに展開する#5。
再びフォークロア風な#6。
そしてアルバムのハイライトでもある、3部構成のプログレッシブ・チューン#7へ。
ミュージカルのような芝居がかったダニエルの歌唱、QUEENのようなコーラスに管弦楽を交えた国籍不明のシンフォニックなオーケストレーションでドラマティックに展開。
ファンから電話録音で公募した神に対するメッセージをピアノやアコギ、フルート等によるヒーリング・ミュージックに乗せた#8。
一転して、前半のリフと苦悩するボーカルによるヘヴィネスから、オーケストレーションによる神秘的パートの後半に移行する#9。
ストリングスも交えてヘヴィに進行するミディアム・テンポのパートに、#2のスリリングなパートを交えたプログレッシブ・チューン#10。
クリーンなギターのアルペジオを中心にピアノや管弦が絡み、やがて劇的に盛り上がるインスト#11。
荘厳なチャーチ・オルガンをバックに祈りにも似た歌唱が切迫感をつのらせる#12。
雫が滴るようなピアノと管弦によるバックにダニエル渾身の歌唱が乗るヘヴィなバラード#13。本アルバム中ほとんど唯一のギター・ソロがエモーショナル。
トライバルなリズムとフォークロアがリプライズする#14。
エンディングと隠しトラックが用意された#15。

曲中や曲間に何がしかの仕掛けが施されており、1曲だけサクッと聴くという行為を許さないトータル・アルバム。
#6や#8など、もはや楽曲とは言えないようなセリフ・パートを効果的に配し劇的に場面転換していく為、常に知的好奇心を刺激され一気に聴けます。
ブックレットに掲載された謎めいた写真を眺めながら、イマジネーションを働かせて聴いてみてください。

Track List

1. Animae Partus
2. Deus Nova
3. Imago
4. Pluvius Aestivus
5. Lilium Cruentus
6. Nauticus
7. Dea Pecuniae
I) Mr. Money
II) Permanere
III) I Raise My Glass
8. Vocari Dei
9. Diffidentia
10. Nihil Morari
11. Latericius Valete
12. Omni
13. Iter Impius
14. Martius/Nauticus II
15. Animae Partus II

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DARK LUNACY / The Diarist

2006,ITALY

イタリアのメロディック・デス・メタル バンドDARK LUNACYの2006年3rdアルバムThe Diarist。

第二次世界大戦のレニングラード包囲戦をテーマとしたコンセプト・アルバム。
#3が好きです。こんなに切ないリフ久々です。それにかぶさるデス声も最高。鳥肌立ちます。女性Voの曲もあったりしてMY萌えポイントも突いてきますね。クサくないメロディに好感持てます。ちょっと3連系が多いのはこの人達の特徴なんでしょうか。

Track List

1. Aurora
2. Play Dead
3. Pulkovo Meridian
4. The Diarist
5. Snowdrifts
6. Now is Forever
7. On Memory's White Sleigh
8. Heart of Leningrad
9. Prospekt
10. Motherland
11. The Farwell Song

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THE TANGENT / Not As Good As The Book

2008,UK

英国のプログレッシブ・ロック・バンドTHE TANGENTの4thアルバムNot As Good As The Book。
ミッドライフ・クライシスをテーマにしたDisc1と長尺組曲2曲から成るDisc2との2枚組。

鮮烈なシンセのテーマ・リフに4つ打ちバスドラがキャッチーな#1。オルガンのちょっとしたオブリガードやジャジーなパートでのアダルトなムードから、ジャッコ・ジャクスジク(G)のタッピングを用いたテクニカルなギター・ソロをフィーチュアしたインスト・パートなど、器楽的要素も満載。
テオ・トラヴィス(Sax/Fl)のフルートが醸す落ち着いた雰囲気で統一された、洒落たカンタベリー風ナンバー#2。アンディ・ティリソン(Key/Vo)の流麗なピアノ・ソロ、ヘヴィなパートでのアンサンブルを持ち込み、スリリングに聴かせる起伏も。
静かな序盤から開放的に盛り上がるクライマックスまで終始リラックスしたムードが流れる#3。
サックスとオルガンがリードするイントロ、オルガンとベースのユニゾンによるミニマルなリフ、#5のイントロ的なクールな4分弱のインスト小品#4。
ズ太いシンセの単音メロディがプログレ然としていながらも、歌唱パートは弾むようなリズムに乗せてキャッチーに展開する#5。静かなパートでのアコギ、マンドリンを交えた叙情が英国っぽくて良い感じ。
幽玄なエレピにアコギ、フルートも加わった静のパートを中心に、少々ダークな動のパートを挿入した#6。
ギターのリフをベースにしたヘヴィなヴァースと、マイルドなサビの対比がおもしろい#7。

Disc2は女性シンガーをゲストに招きつつ、アンディ、ガイ、ジャッコが各曲でリード・ボーカルをとる#1。
GENESISの小品のような英国っぽい優しさと翳りを含んだメロディを軸に展開する#2。インスト・パートは、エキゾチックあり、テンポ・チェンジありで、多彩に聴かせます。

アンディ・ティリソンの味のあるボーカルを筆頭に、各パートが奏でる音にも余裕や優しさが感じられる大人のロック。
聴きやすさの中に玄人を唸らせる職人芸を忍ばせた、さすがの作品。

Track List

DISC 1
1. A Crisis in Mid-Life
2. Lost in London 25 Years Later
3. The Ethernet
4. Celebrity Purée
5. Not as Good as the Book
6. A Sale of Two Souls
7. Bat Out of Basildon

DISC 2
1. Part One - Four Egos One War
2. Part Two - The Full Gamut

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