STEVEN WILSON のレビュー

STEVEN WILSON / 4 1/2

2016,UK

スティーヴン・ウィルソンの前2作、Hand. Cannot. Erase.(#1,#3,#4)及びThe Raven That Refused to Sing(#2)のセッションで書かれたアルバム未収録曲を仕上げたものを中心としたミニ・アルバム 4 1/2。
記号のようなタイトルは、4thアルバムと次作5thの間を意味するらしい。
全曲参加のバンド・メンバー ニック・ベッグス(B)とアダム・ホルツマン(Key)に加え、曲によって様々なメンツがプレイしている。

乾いたギターのカッティングやタイトルが前作を彷彿させる#1。キャッチーな歌唱パートとスリリングなインスト・パートを併せ持つ最近のスティーヴン・ウィルソンの定番フォーマット。テクニカルで変態的なギター・ソロはデイヴ・キルミンスター(G)。現代的センスのフレージングがレトロなミニ・モーグのソロと面白い対比を成している。ドラムはマルコ・ミンネマンと思いきやFROSTにも参加しているクレイグ・ブランデル(Dr)。ギター・ソロ中のギターとのユニゾンで叩き出すトリッキーな変拍子風ビートはFROSTのスタジオ・ライブ作The Rockfield Filesにも通ずるものがあり、腑に落ちた。
アコギのアルペジオと深遠なストリングスにThe Raven That Refused to Singの幽玄なムードが漂う#2。
快活なサビがHand. Cannot. Erase.のムードそのままの歌モノ#3。
テオ・トラヴィス(Sax/Fl)の物憂げなフルートをフィーチュアした、ダークな中にも温かみのあるインストゥルメンタル・ナンバー#4。
独特のヒネリとフックのあるメイン・リフを様々に変容させながらグイグイ聴き手を引き込んでしまうインストゥルメンタル・ナンバー#5。
Hand. Cannot. Erase.にも参加のイスラエル人女性シンガー ニネット・タイブ(Vo)が切ない歌唱を聴かせる、POCUPINE TREEのアルバムStupid Dream収録曲の新バージョン#6。

アルバムの収録に漏れたのが不思議なほど各楽曲は高品質。これだけクオリティの高い楽曲を新作アルバムに取っておくような事はせず、あえてミニ・アルバムとしてリリースした理由は2つあると思う。
一つ目は楽曲がアルバムのカラーに染まり過ぎている事。
二つ目はストックに頼らずとも、新作のコンセプトに沿ってゼロから創作できるという自信だ。
スティーヴン・ウィルソン。まだまだ楽しませてくれそうです。

Track List

1. My Book of Regrets
2. Year of the Plague
3. Happiness III
4. Sunday Rain Sets In
5. Vermillioncore
6. Don't Hate Me

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