RAINBOW のレビュー

RAINBOW / Ritchie Blackmore’s Rainbow

1975,UK

元々はDEEP PURPLEのツアーの合間にリッチー・ブラックモア(G)がアメリカのバンドELFのメンバーをバックに制作したソロ・アルバムですが、RAINBOWの実質的な1975年1st。

DEEP PURPLE在籍最後のスタジオ・アルバムとなったStormbringerのレコーディング時に、QUATERMASSの#3をカヴァーする事を提案したリッチーのアイディアがメンバーから却下された事でリッチーの気持ちがDEEP PURPLE脱退に傾いた、というのが歴史上の通説です。が、本当はデイビッド・カヴァデールやグレン・ヒューズらが台頭しDEEP PURPLE内で求心力を失いつつあったリッチーがダダをコネただけなような気がしますね。

得意のキー=Gによるリフとクラシカルなアルペジオ、ロニー・ジャイムズ・ディオ(Vo)の堂々とした歌唱が後の様式美RAINBOWのプロトタイプとも言える#1。DEEP PURPLE時代の譜割がキレイなフレーズから一転して、フィーリング重視の独特なタイム感のソロが印象的です。
前述の曰く付きの#3はヘヴィ・サイケ風のオリジナルに比べると軽いキャッチーな仕上がり。#7にしてもそうですが、こういうリラックスしたロックン・ロールも”ソロ・アルバム”ならではな感じです。
叙情的な#4ではリッチーのボトルネック奏法によるメロウなソロが楽しめます。うっすらと叙情を醸し出すメロトロン風なストリングスもナイスです。
メロウな#6はロニーの抑揚の効いた歌唱がクラシカルな世界を気高く表現。

ロニーは、幅広く歌いこなす力量と、リッチーと共作した中世志向ハード・ロック#8のソングライティングで、完全にリッチーの信頼を獲得。次作から吹き荒れるリッチーの粛清の嵐を生き延び、ハード・ロック界随一のシンガーとして我々ファンに素晴らしい音楽を届けてくれることになります。

Track List

1. Man on the Silver Mountain
2. Self Portrait
3. Black Sheep of the Family
4. Catch the Rainbow
5. Snake Charmer
6. The Temple of the King
7. If You Don't Like Rock 'n' Roll
8. Sixteenth Century Greensleeves
9. Still I'm Sad

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RAINBOW / Rising

1975,UK

リッチー・ブラックモア(G)がDEEP PURPLEを脱退して結成したRAINBOWの1976年2ndアルバムRising。

前作がバック・バンドにELFを従えたソロ・アルバム風なテイストだったので、バンドとしては本作が実質1枚目と言えるでしょう。ロニー・ジェイムス・ディオ(Vo)以外のメンバーは全員解雇され、コージー・パウエル(Dr)、トニー・カレイ(Key)、ジミー・ベイン(B)という歴代最高のメンツが揃い、様式美ハード・ロックの古典ともなった名曲・名演が収録されています。

トニーのポルタメントを効かせたモーグによるミステリアスでスペイシーなイントロからドラマティックにギターのリフが切れ込んでくる#1。
ロニーの圧倒的な歌唱とコージーの独特のタイム感を持ったフィルインが単なるブルーズ・ロックをRAINBOW流ハード・ロックに昇華させた#2。
RAINBOWがやるシャッフル・ナンバーの典型ともなった#3。
キャッチーでストレートなハード・ロックにコージーのドラミングが映える#4。
そしてアナログB面となる#5、#6はセットで壮大な叙事詩となっています。
独特のシンコペーションがカッコ良いコージーによる怒涛のドラミングで幕を開ける#5はオリエンタルなムードを挿入し壮大な世界を描ききったRAINBOW流様式美の1つの頂点。
続く#6はジミーのナイスなオブリガード、コージーのツ-バスがドライブ感抜群にボトムを支え、トニーのアグレッシブなシンセ・ソロからギターとのクラシカルなハーモニーを経てリッチーのソロへ、そして再びクラシカルなハーモニーで絶頂を極める王道のハード・ロック。

DEEP PURPLE時代と比較してより緻密になったアレンジとそれでいて個性を発揮できるスゴ腕のミュージシャン、独特の世界観を表現可能なロニーの歌唱力を得てリッチーの目指したハード・ロックが完成した歴史に残る名盤です。

Track List

1. Tarot Woman
2. Run With the Wolf
3. Starstruck
4. Do You Close Your Eyes
5. Stargazer
6. Light in the Black

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RAINBOW / On Stage

1977,UK

1976年の日本公演、ヨーロッパ・ツアーからの音源で構成されたRAINBOWのライブ・アルバムOn Stage。

様式美ハード・ロックを極めた後のスタジオ・バージョンよりもライブならではのカッコ良さが際立つ#1を含め、黄金メンバーの演奏が楽しめます。

Track List

1. Kill the King
2. Medley: Man on the Silver Mountain / Blues / Starstruck
3. Catch the Rainbow
4. Mistreated
5. Sixteenth Century Greensleeves
6. Still I'm Sad

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RAINBOW / Long Live Rock ‘n’ Roll

1978,UK

パリの古城でレコーディングしたというRAINBOWの1978年3rdアルバムLong Live Rock ‘n’ Roll。

脱退したジミー・ベイン(B)、トニー・カレイ(Key)に代わりボブ・デイズリー(B)、デヴィッド・ストーン(Key)が加入したものの、既にレコーディング済の素材にはリッチー・ブラックモア(G)がプレイしたベース・トラックもあったとか。

得意のシャッフル・ナンバー#1。オープニングにぴったりな勢いある楽曲なんですが、後の曲が超強力なので凡庸に感じますね。RAINBOWらしいメロディが印象的な#2は、単音リフの休符がもたらす音空間にコージーのドラミングが引き立つコンパクトなナンバー。
どっしりしたミディアム・スロウなテンポにロニーのパワフルかつ伸びやかな歌唱が映える#3。
続く#4はアナログA面のハイライト。
ストリング・セクションを加え中近東フレーズを使用したミステリアスなバビロン風ハード・ロック。トーン、フレージング共に素晴らしいリッチーのメロディアスなソロが聴けます。
そしてB面ハイライトは、いきなりの#5。
先にライブ盤On Stageにて披露されていたライブ・バージョンをさらにドラマティックに構成し直した、様式美ハード・ロックの名曲中の名曲。イントロと中間部に配されたクラシカルなハーモニー・フレーズ、ドライブ感満点のカッコ良いリフ、コージー・パウエル(Dr)のシンコーペーションにツーバス、ロニー・ジェイムス・ディオ(Vo)の歌う中世ファンタジーが一点の曇りも無く完璧に融合。#4とともに後世のHR/HMバンドのフォーミュラとなりました。
ブルージーなリフをベースに、ロニーのコブシの効いた歌唱が乗った#6。
RAINBOW流ロックン・ロール#7。
ラストはストラトのクリーン・トーン、リコーダー、フルート、ストリングス・カルテットを絡めたバッキングに、ロニーの抑えた美しいボーカルが加わり中世風叙情を紡ぐ感動的な#8。

RisingのB面のようなエピカルな大作は無くなりましたが、コンパクトな楽曲でもドラマティックな様式美ハード・ロックが可能な事を証明した名盤です。

Track List

1. Long Live Rock 'N' Roll
2. Lady of the Lake
3. L.A. Connection
4. Gates of Babylon
5. Kill the King
6. Shed (Subtle)
7. Sensitive to Light
8. Rainbow Eyes

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RAINBOW / Down to Earth

1979,UK

RAINBOWの4thアルバムDown to Earth。

ロニー・ジェイムス・ディオを解雇、ジェームス・ディーンのようなルックスの短髪野郎グラハム・ボネット(Vo)が加入、さらに元ARGENTのラス・バラード作曲のポップな#5を収録するなど、アメリカ市場を狙ったリッチー・ブラックモア(G)の作戦は、キャッチーなラヴ・ソングをバンドに導入する事でした。
プロデューサーとして本アルバムに関わり、最終的にメンバーになったDEEP PURPLE時代の盟友ロジャー・グローヴァー(B)とリッチーの共作である#1からして歌詞が、”I wanna love you all night long”ですから、相当気合を入れてのイメージ・チェンジだったわけです。
ところが、単なるポップ・バンドに堕してしまわない所がリッチーの偉いところ。
ポップな楽曲もパワフルに歌いきってしまうグラハムの脅威の歌唱、RAINBOW歴代の名曲に決してひけを取らないドラマティックな#3やスピーディな#8など、ハード・ロックな要素もハイレベルに同居。
新加入のドン・エイリー(Key/元COLOSSEUM II)も#2でのクラシカルかつドラマティックなソロなど存在感あるプレイで曲を印象深いものにしていたり、コージー・パウエル(Dr)が得意のシンコペーションをキメまくる#8など、円熟したメンバーのプレイも最高。

中世風様式美ハード・ロックだけでは無い、ストレートでキャッチーなRAINBOWへと、バンドの可能性を広げたアルバムとなりました。
コージーとグラハムはこれを最後に惜しくも脱退、RAINBOWはさらに変化していきます。

Track List

1. All Night Long
2. Eyes of the World
3. No Time to Lose
4. Makin' Love
5. Since You Been Gone
6. Love's No Friend
7. Danger Zone
8. Lost in Hollywood

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RAINBOW / Difficult to Cure

1981,UK

RAINBOWの5thアルバムDifficult to Cure。

脱退したコージー・パウエルの後任にボブ・ロンディネリ(Dr)が加入。後年の関係者インタビューによると、レコーディング中には一時新ボーカリスト ジョー・リン・ターナー(Vo)と前任のグラハム・ボネット(Vo)が同時に在籍するという異常な状況にもなっていたようですが、グラハムがバンドを離れたことで事態は収拾。ジョー、ボブの新加入組とリッチー・ブラックモア(G)、ロジャー・グローバー(B)、ドン・エイリー(Key)の既存メンバーによって制作されました。

前作に続いて元ARGENTのラス・バラード作曲の#1やブライアン・モーラン作曲の#4など、外部ライターのポップな楽曲を採用してますますアメリカ市場進出を狙った本作において、#2のような様式美ハード・ロックからブルージーな#8まで、甘い声質でいながら幅広く歌えるジョーの起用が大当たり。又、#1や#4にしても単に甘ったるいポップスに陥るのでは無く、リッチーの個性を活かしたクラシカルな気品やヨーロッパ的叙情が微かに従来のRAINBOWサウンドとの繋がりを感じさせ、作品としては非常にバラエティに富んだ印象的なアルバムに仕上がってます。
中でもハイライトは名曲ハード・ロック#2。
リフ主体の心地良いドライブ感、クラシカルなフレーズを繰り返すインスト部というRAINBOWの王道様式美にキャッチーな歌メロが加わった時点で既に満足なのに、そこにさらに当時最新鋭のシンセサイザー ヤマハCS-80のリボンコントローラーとポルタメントを駆使したドンによるスリリングなソロが最高のスパイスとして効いています。個人的にはロック界のシンセ・ソロ ベスト3に入ってますね。
ドンによるシンフォニックでクラシカルなアレンジをベースに、美しいボトルネック奏法やエモーショナルなソロでリッチーの独壇場と化した素晴らしい叙情チューン#5、ベートーベンの第九をアレンジした楽しい#9などインストゥルメンタル曲も充実。

Track List

1. I Surrender
2. Spotlight Kid
3. No Release
4. Magic
5. Maybe Next Time
6. Can't Happen Here
7. Freedom Fighter
8. Midtown Tunnel Vision
9. Difficult To Cure (Beethoven's Ninth)

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RAINBOW / Bent Out of Shape

1983,UK

当時のラスト・アルバムとなったRAINBOWの1983年作Bent Out of Shape。

自己主張皆無の完全にコントロールされたバック演奏に乗るジョー・リン・ターナー(Vo)のメロディアスな歌唱とリッチー・ブラックモア(G)のギターがかろうじてRAINBOWであることを思い出させる。とはいえ、高品質なポップ・スタイルRAINBOWの究極の形態が完成。全曲オリジナルで、哀愁の#2や#7がこの形態で目指す音楽の到達点だと思う。Keyのデイヴ・ローゼンタールは歴代のツワモノ達とは違う役割=サウンド全体の調整役として多大に貢献。

Track List

1. Stranded
2. Can't Let You Go
3. Fool for the Night
4. Fire Dance
5. Anybody There
6. Desperate Heart
7. Street of Dreams
8. Drinking with the Devil
9. Snowman
10. Make Your Move

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RAINBOW / Stranger in Us All

1995,UK

1995年突如リリースされたRAINBOWの再結成盤Stranger in Us All。

基本的にはジョー・リン・ターナー時代の音楽性の延長という感じ。オリエンタル風味な#5に一瞬「オッ」と腰を浮かせかけるも「違うか・・・」となってしまうように、往時のマジックはもはや存在しない。高品質なのは間違いなく、安心して聴ける・・・っていうか安心しすぎてしまうのが問題なのだ。
リッチー・ブラックモア(G)の私生活でのパートナー キャンディス・ナイト嬢もコーラスでちゃっかり参加している。かつてのムードを感じさせる#7は佳曲。

Track List

1. Wolf to the Moon
2. Cold Hearted Woman
3. Hunting Humans (Insatiable)
4. Stand and Fight
5. Ariel
6. Too Late for Tears
7. Black Masquerade
8. Silence
9. Hall of the Mountain King
10. Still I'm Sad

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