PINK FLOYD のレビュー

PINK FLOYD / Atom Heart Mother

1970,UK

PINK FLOYDの5thアルバムAtom Heart Mother。

バンドのオルガンやスライド・ギターが、管楽器を中心とするオケや混声コーラスに溶け込み、あるいは場面ごとに交互に見せ場を担当することで23分超を紡ぎあげた#1。オーケストラといっても各パートがフルに演奏している訳ではなくシンプルにアレンジされた結果、あくまでもロック・ミュージックとしてのPINK FLOYDの音楽として成立。ブルージーなバンド主体の演奏が次第にシンフォニックに移行していく様子やSEを織り交ぜた前衛的なパートなど、ロックとオーケストラの単純な融合に止まらない意欲と冒険に満ちている。オケのアレンジを担当したという現代音楽家ロン・ギーシンのバンドの意図を汲んだ仕事ぶりが光る。
ロジャー・ウォーターズ(B)による牧歌的なムードに内包された内省的な弾き語りフォーク#2。
サイケの薫り漂う緩めのフォークに、ブラス・セクションで印象的なフックを付加したリック・ライト(Key)作の#3。
デイヴ・ギルモア(G)作のレイドバックしたラブソング#4。
朝食の風景のSEにピアノやアコギの端正な演奏を軸にした音楽を挿入した#5は、実験的でいながらポップな親しみやすさも併せ持っている。

ヒプノシスが担当したジャケット・アートや邦題「原始心母」のインパクトとも相まって、プログレの代表作として永遠に語り継がれるであろう作品。

Track List

1. Atom Heart Mother
I. Father's Shout
II. Breast Milky
III. Mother Fore
IV. Funky Dung
V. Mind Your Throats Please
VI. Remergence
2. If
3. Summer '68
4. Fat Old Sun
5. Alan's Psychedelic Breakfast

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PINK FLOYD / Meddle

1971,UK

PINK FLOYDの1971年6thアルバムMeddle。

70年代の人気プロレスラー アブドラ・ザ・ブッチャーのテーマ・ソングになった邦題「吹けよ風、呼べよ嵐」の#1は、オルガンやスライド・ギターをSE的にうまく使った勇壮なインスト。
英国的な翳りを帯びたアコースティックな#2、
サイケ感覚漂うリフが軽いトリップを誘うフォーク#3、
デヴィッド・ギルモア(G)の洒落たギター・ワークとリチャード・ライト(Key)のリラックスしたピアノ・ソロがPOPな小品#4、
犬の鳴き声とブルージーなアコギによる不思議なコラボ#5ときて、アナログ時代はB面を占めた#6は23分超の大作。
サイケやブルーズ色を仄かに残したムーディなアンサンブルをバックに、うっすらとハーモニーを付けたボーカル・ラインが淡々とした叙情を紡いで行きます。軽く歪んだオルガンの反復コード・カッティングに乗る奔放なギター・ソロに続く中間部では、曲タイトル通りの幽玄かつ壮大なSEが登場。スタジオワークに凝り、実験色を強めて行く過程を象徴してます。

Track List

1. One of These Days
2. Pillow of Winds
3. Fearless
4. San Tropez
5. Seamus
6. Echoes

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PINK FLOYD / The Dark Side of the Moon

1973,UK

邦題「狂気」が言い得て妙なPINK FLOYDの1973年8th。

鼓動のSEがオープニングとエンディングに配され、各曲が微妙にクロスフェードしながら繋がったアルバム構成、大胆にベル音をあしらった#4、サンプラーが無い時代にレジの音を録音したテープの切り貼りで組み立てた#5のリズム、といった部分の実験的な要素と、ゲスト女性ボーカルによるソウルフルなゴスペル風スキャットやコーラス、キャッチーなボーカル・メロディがもたらすポピュラー音楽としての分かり易さが高次元で融合。それでいて、リラックスしたムードのヒット・シングル#7やスペイシーな#8などのゆったりとしたテイストがリスナーのイマジネーションを刺激するプログレッシブな精神性も。シド・バレットの暗喩とされた「月の暗い面」を日常の狂気という より普遍的なテーマに昇華させ、耳障りの良いポップスの意匠をまとった楽曲を実験的なSEで繋ぎトータル・コンセプト・アルバムとして完成させた、音楽性・商業性を両立した20世紀のロック史に刻まれた金字塔です。

Track List

1. Speak to Me
2. Breathe
3. On the Run
4. Time
5. The Great Gig in the Sky
6. Money
7. Us and Them
8. Any Colour You Like
9. Brain Damage
10. Eclipse

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PINK FLOYD / Wish You Were Here

1975,UK

PINK FLOYDの1975年作Wish You Were Here。

ドラッグ中毒でバンドを去ったオリジナル・メンバーのシド・バレットに捧げたという#1、#5は同時に前作の大成功に戸惑う自分達の心情を吐露したものなのかデイブ・ギルモアのブルージーなギターが冴える退廃的雰囲気のムーディな名曲。むせび泣くダブル・チョーキング、アナログ・シンセのまろやかな音色、バッキング・コーラス・・・。ずっと聴いていたい感じです。
シンセやオルガンを効果的に使用した#2、ロイ・ハーパーがゲストVoのブルージーな#3、アコギもうまい#4など穴が無い名盤。

Track List

1. Shine on You Crazy Diamond, Pts. 1-5
2. Welcome to the Machine
3. Have a Cigar
4. Wish You Were Here
5. Shine on You Crazy Diamond, Pts. 6-9

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PINK FLOYD / Animals

1977,UK

英国のプログレッシッブ・ロック・バンドPINK FLOYDの1977年作品Animals。
楽曲のタイトルに動物を冠し、豚=資本家、犬=ビジネスマン、羊=労働者といった比喩で社会を風刺したコンセプト・アルバム。

それまでのアルバム中に必ず存在していた牧歌的な曲調の楽曲が姿を消し、シリアスでダークな印象が全編を覆っている。
そんな中でもボーカル・パートは比較的キャチーで普遍的なロックとして充分楽しめる上、#2のスペイシーなシンセ・パート、ヴォコーダーを使用した#4のインスト・パートやドラマティックなギター・ソロなど、PINK FLOYDらしい持ち味を巧みに配して10分超の#2,#3,#4といった長尺曲を構成。
さらに、何かが起きそうな期待を抱かせる#2の冒頭、各曲に挿入された動物の鳴き声SE、トーキング・モジュレーターを使用した豚の鳴き声風ギター、3連に乗った躍動感あるギターのカッティングが気持ち良い#4など、強烈に印象に残るフックでの楽曲キャラ作りも相俟って、よく言えばバラエティに富み悪く言えば散漫な感じだったこれまでのアルバムとは一線を画すトータル性の高いアルバムとなった。

アルバムのトータル・コンセプトの重要な一部でもあるジャケット・アートは、イギリスのバターシー発電所の上空に豚の風船を飛ばして撮影したというヒプノシス作。

Track List

1. Pigs On The Wing 1
2. Dogs
3. Pigs (Three Different Ones)
4. Sheep
5. Pigs On The Wing 2

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