NAD SYLVAN のレビュー

NAD SYLVAN / Courting The Widow

2015,SWEDEN

UNIFAUN、AGENTS OF MERCYを経て、スティーヴ・ハケットのGENESIS REVISITEDへの参加にまで登りつめたナッド・シルヴァン(Vo)のソロ。

スティーヴ・ハケット(G)をはじめ、ロイネ・ストルト(G、FLOWER KINGS/AGENTS OF MERCY/TRANSATLANTIC)、ヨナス・レインゴールド(B、FLOWER KINGS/AGENTS OF MERCY/KARMAKANIC)、ニック・ベッグス(B、LIFESIGNS/STEVEN WILSON)、ニック・ディヴァージリオ(Dr、BIG BIG TRAIN)らプログレ界の実力者たちが参加。

軽快な中にメロトロンなどシンフォニックな要素を巧く配合した、4人編成時GENESISを彷彿させる#1。
幽玄なシンセが印象的な静かなパートとリズムインしたパートから構成された、ジェントルなナンバー#2。
重厚でシリアスな叙情ナンバー#3。ピアノとの厳かなアンサンブルで提示されたフルートのメロディをスティーヴ・ハケットが継承。倍音を繊細にコントロールした艶やかなギター・トーンにリスナーも陶酔必至。
大作にありがちな過剰な演出や力みが無く、歌唱パートと器楽パートを自然な場面転換で繰り返しスムーズに聴き手をその世界に引き込む20分超の#4。ここでも前半のスティーヴ・ハケットの叙情的ギターがハイライト。少ない音数にもかかわらず、サスティナー使用と思しきロングトーンを巧みに操り様々な表情を見せる。
素朴な足踏みオルガンで幕を開け混声コーラスやストリングスで優しく装飾した、英国風ペーソスを感じさせる#5。ネズミ退治用に古くから船に乗せられてきたネコがタイトルとなっているが、「グー~」というSEがミックスされているのは、ネコのゴロゴロ音なのか?
チェンバロや弦楽を加えてクラシカルなコード進行も織り込むなど、小品ながら単純なボーカル曲に留まらせないアイディアとセンスを感じさせる#6。
ストリングス・セクションを中心に上品なアレンジで静動と陰影を表現した#7。
ロイネ・ストルトと思われるタッチのギターがテーマ・メロディを奏でる叙情チューン#8。後半のギター・ソロは、左CH=ハケット、右CH=ストルトか? エモーショナルな珠玉のダブル・リードが感動を呼ぶ。

基本GENESIS路線ではあるが、数多のGENESISフォロワーのようなGENESIS様式のキッチュな拝借というよりは、GENESISを通じて得た英国風味が自然な感じで滲み出ており、スティーヴ・ハケットの参加もあいまってより本物感を漂わせている。
フォロワーが本物(スティーブ・ハケット)との共演を経て、自らが聴きたいと思ったものを作り上げた自己表現の成果が、思いがけずもGENESISが”やりそうでやらなかったような”楽曲群となって結実。

Track List

1. Carry Me Home
2. Courting The Widow
3. Echoes Of Ekwabet
4. To Turn The Other Side
5. Ship's Cat
6. The Killing Of The Calm
7. Where The Martyr Carved His Name
8. Long Slow Crash Landing

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