KARMAKANIC のレビュー

KARMAKANIC / Dot

2016,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロックバンドKARMAKANICの5thアルバム Dot。
宇宙において地球は単なる点=ドットでしかない、というのがアルバム・タイトルの意味らしい。

イントロ#1に続き、様々な起伏と展開を盛り込んだ23分超えの大作#2。メロウな歌唱パートを軸に、陰陽硬軟の転換にヨナス・レインゴールド(B)の子供達と思しきイノセントなコーラスやラレ・ラーション(Key)のハイセンスかつテクニカルなソロなども織り交ぜ、各場面をじっくり丁寧に聴かせる半面、長尺曲にありがちな荘厳さや大仰さは皆無でややカタルシスには欠けるのは大団円をPart.2の#6に譲ったからか。
ニルス・エリクソン(Key/Vo)の素朴な歌唱がポップな曲調にマッチした#3。端正なシンセ・ストリングスがキャッチーなフックとなっている北欧の木漏れ日のように爽やかでキャッチーな歌唱パートに対し、インスト・パートはダークな側面も見せながら次々に展開し手練れのソリスト達が円熟のプレイを聴かせる。
親しみやすいメロディでコンパクトに仕上がった、透明感あるコーラスが印象的なポップ・チューン#4。
スケールの大きなバラード#5。
Part.1を引き継ぎドラマティックな決着を付けつつ、アルバム全体に対しても心地よい余韻を残す#6。

アルバム通して明るくソフトなムードの中、産業ロック風な小品と2パートに分けた合計30分近い大作が違和感無く同居。メロディアスでポップな持ち味にベテランらしい渋味を加えたKARMAKANICならではのさじ加減が見事。隙の無い精緻なアレンジで抜群のチーム・ワークを見せる一方で、ヨラン・エドマン(Vo)の伸びやかな歌唱やヨナス・レインゴールドの歌心溢れるフレットレス・ベース、ラレ・ラーションのテクニカルな指捌きなど個人技もトップ・クラス。#2,#6では病気から復帰したアンディ・ティリソン(Key)をハモンドの客演で迎えるなど、プログレ界隈のフレンドシップ構築にも余念が無い。バンドとして着実に成長を見せる高品質作品。
アルバム・カヴァー・アートはヒュー・サイム。

Track List

1. Dot
2. God The Universe And Everything Else No One Really Cares About Part. 1
3. Higher Ground
4. Steer By The Stars
5. Travelling Minds
6. God The Universe And Everything Else No One Really Cares About Part. 2

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