FROST のレビュー

FROST / Falling Satellites

2016,UK

英国の新感覚プログレッシブ・ロック・バンドFROSTの3rdアルバムFalling Satellites。
しばらく音沙汰が無かったが、ジェム・ゴドフリー(Key/Vo)はそのセンスと演奏力を買われてジョー・サトリアーニの2012年G3ツアーに参加したり、FROSTとしてスタジオ・ライブをリリースしたり、ジョン・ミッチェル(G/Vo)は個人のプロジェクトLONELY ROBOTでアルバムをリリースしたり、と忙しくしていた模様。

アルバムのイントロ的な小品#1。
無機的なシンセのシーケンス・リフとエモーショナルなサビが融合。これぞFROSTと思わず膝を打つ、心地よい疾走感を持った3拍子のスタイリッシュなナンバー#2。
DAWでの編集では無くシンセに搭載されたフレーズ編集機能を使用したと思われる#3。ハイテク機械の動作音や衝撃音などのSEやサンプリングした演奏の断片をデジタルで再構成し、ロックな躍動感を演出する手法が斬新。
キャッチーなメロディに耳が行きがちだが実は5拍子や7拍子など複雑に拍子が入れ替わる#4。
ゲストの女性ボーカルと煌びやかなシンセがムーディで幻想的な世界を醸し出すメロウな#5。
スタジオ・ライブ作The Rockfield Filesでいち早くお披露目されていた#6-a Heartstrings以降は組曲となっており、#6で提示された様々なモチーフが組曲を構成する各曲に登場する。
#6-a自体はThe Rockfield Filesでのライブ・バージョンのカッコ良さとキャッチーさはそのままに、サビでのシンセ・オーケストレーションが厚くなり、よりシンフォニックさを増した印象。スリリングなポリリズムがリスナーを幻惑する中間部インスト・パートも、ネイサン・キング(B)とクレイグ・ブランデル(Dr)のリズム隊がバンドに馴染み、ヘヴィさを増している。
終盤にロックなインスト・パートを持つ、ハワード・ジョーンズ風シンセ・ポップ・ナンバー#6-b。
クレイグ・ブランデルの手数王ドラミングが緩急と静動を巧みにリードする21世紀型プログレ・チューン#6-c。
#6-aのリフを軸にシンセのオーケストレーションを施した#6-d。前半のヘヴィでダークなムードから、テーマ・メロディを経て終盤は希望的パートや疾走歌唱パートに発展。
#6-aのテーマ・メロディを長い白玉にし、ブ厚く重ねたシンセで織り込んだシンフォニックなサウンドスケープ#6-e。
組曲のラストであるとともに、#1と対比させたタイトルでアルバムを締めくくるピアノ・バラード#6-f。

FROSTといえば、単なる装飾やソロに止まらずリフとして楽曲をリードするなどグイグイ来る芸風のジェム・ゴドフリーによるズ太いデジタル・シンセが最大の特徴だが、今回もこれは継続。また、機材マニアのジェム・ゴドフリーならではの味付けも施されており、現代的なプログレの旗手としての存在感は絶大。IT BITESのジョン・ベックも最新機材の使い手だったが、ジェム・ゴドフリーもその系譜を継承しつつダンス系のビートも取り入れて現在進行形のプログレッシブなロックを創造している。

Track List

1. First Day
2. Numbers
3. Towerblock
4. Signs
5. Lights Out
6.
a. Heartstrings
b. Closer To The Sun
c. The Raging Against The Dying Of The Light Blues
d. Nice Day For It.
e. Hypoventilate
f. Last Day

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