FLOWER KINGS

livedec13

KAIPAの元ギタリスト ロイネ・ストルト(G/Vo)が、自身のソロ・アルバムThe Flower Kingの制作をきっかけにプログレ復興を期して1994年に結成したスウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドFLOWER KINGS。
実力派ミュージシャン達による技巧、往年のプログレの象徴とも言える変拍子などをアンサンブルに取り入れながら、それとは感じさせない桃源郷的あるいは希望的なメロディを散りばめたキャッチーかつシンフォニックなサウンドで北欧に止まらず全世界的にも新世代プログレの旗手として君臨。
メンバー各人のソロやプロジェクト活動も活発。
ロイネのTHE TANGENTTRANSATLANTICAGENTS OF MERCYをはじめ、ヨナス・レインゴールド(B)のKARMAKANIC、トマス・ボディン(Key)のソロやMOON SAFARIのアルバム・プロデュースなど、現代プログレ界における触媒として作用。シーンの隆盛に貢献しながらその成果をFLOWER KINGSにフィードバックしている。

FLOWER KINGS のレビュー

FLOWER KINGS / Back in the World of Adventures

1995,SWEDEN

KAIPAのロイネ・ストルト(G)のソロ・プロジェクトから発展したスウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドFLOWER KINGSの1995年1stアルバムBack in the World of Adventures。

全10曲でインスト曲が半分。ヴォーカル曲では#1や#8のように非常にキャッチーなメロディを主軸にしながらも、場面に応じたキーボードの音色チョイスやグルーヴ感、練りこまれ、時に緊張感あるアレンジ等で注意を逸らさせないインストパートがドラマティック度アップに貢献、楽曲に深みを持たせている。
勿論インスト曲でも魅力は健在。というかむしろ色々とイマジネーションをかきたてられます。
#6に代表される、ちょっと切ない半面希望に満ちたメロディが彼らの最大の魅力。何度でも聴きたくなるシンフォニックな音のシャワー。

Track List

1. World of Adventures
2. Atomic Prince/Kaleidoscope
3. Go West Judas
4. Train to Nowhere
5. Oblivion Road
6. Theme for a Hero
7. Temple of the Snakes
8. My Cosmic Lover
9. Wonder Wheel
10. Big Puzzle

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FLOWER KINGS / Retropolis

1996,SWEDEN

FLOWER KINGSの2ndアルバムRetropolis。

テーマ曲である#2冒頭の古臭いメロトロンの調べから、もう雰囲気抜群。インストパートにおいて展開されるいくつかの印象的なメロディ・ラインが各曲に所々顔を出し、このアルバムがコンセプト・アルバムであることを印象付けています。あるときはエキゾチックに、又あるときはコンテンポラリーな響きで。いつのまにか時間も場所も超越した架空の都市=RETROPOLISを旅しているような気分にさせてくれます。賑やかな雑踏に迷い込んだり、発展を象徴する巨大な建造物におののいたり、といった風にどんどん想像力を掻き立ててくれるアルバムです。
シンセによるテーマの上昇フレーズが高揚感を煽るシンフォニックな#3。
サックスの哀愁フレーズがエキゾチックなムードを醸しだす#6。
ボーカルのリバーブ処理にロカビリーなムードを漂わせつつ、シンセのカウンター・フレーズがシンフォニックなフックとして印象的な#7。等々、ロイネ・ストルト(G)の味のある歌唱、ネバリあるギターのトーン、クリケット奏法などやワウを絡めたメロディアスなプレイが、ドラマティックに場面転換する楽曲群にオーガニックな息吹を与えています。
キーボードでサポートするトマス・ボ-ディン(Key)の音色選択のセンスも見事で、バリエーション豊かでいながらアルバムとして統一された色彩にまとめあげています。

Track List

1. Rhythm of Life
2. Retropolis
3. Rhythm of the Sea
4. There Is More to This World
5. Romancing the City
6. Melting Pot
7. Silent Sorrow
8. Judas Kiss
9. Retroplis by Night
10. Flora Majora
11. Road Back Home

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FLOWER KINGS / Stardust We Are

1997,SWEDEN

FLOWER KINGSの1997年3rdアルバムStardust We Areは初の2枚組。

オルガンのリフやサビの歌メロがカッコ良い、ドライブ感抜群のシャッフル・ナンバー#1からアクセル全開。高揚感あふれるギターのメロディや少々屈折した不条理アンサンブルのパートなど、のっけから彼らの魅力が満載された10分38秒で早くも鳥肌。
その他、POPな高速5拍子がカッコ良い#12、ゆったりとした3連に乗ったポジティブなメロディのボーカル・ナンバー#16あたりが好きですね。
勿論ラストの3部構成25分に及ぶタイトル曲も必聴。祈るようなボーカルが切ないパート1、ミステリアスな雰囲気のパート2、サビメロが大団円を感じさせる感動のパート3という一大叙事詩となっています。

正直、アルバム通して聴くと散漫な印象もありますが、一曲一曲が各々別のドラマを持っていて飽きが来ないですね。
とにかく、メロディ・リズム・ハーモニーという音楽の三要素全てにおいて、技巧と親しみやすさが高次元で融合した極上の楽曲群に圧倒されます。1度ハマると抜けられませんね。

Track List

DISC 1
1. In the Eyes of the World
2. Room With a View
3. Just This Once
4. Church of Your Heart
5. Poor Mr. Rain; S Ordinary Guitar
6. Man Who Walked With Kings
7. Circus Brimstone
8. Crying Clown
9. Compassion

DISC 2
10. Pipes of Peace
11. End of Innocence
12. Merry-Go-Round
13. Don of the Universe
14. Day at the Mall
15. Different People
16. Kingdom of Lies
17. If 28
18. Ghost of the Red Cloud
19. Hotel Nirvana
20. Stardust We Are

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FLOWER KINGS / Flower Power

1999,SWEDEN

FLOWER KINGSの1999年4thアルバムFlower Power。2枚組。

DISC 1冒頭から約60分の組曲#1で聴き手を圧倒。得意の5拍子によるスリリングなパートや心地良いメロディ、往年のプログレを彷彿させるオルガンの響き、エキゾチックな要素、そしてユーモア・・・この組曲だけで十二分にFLOWER KINGSを味わえる。
DISC 2はバラエティに富んでます。緊張感あふれる7拍子でのサビがカッコ良い、エキゾチック&ドラマティックな#1。
定番のエキゾチックでPOPな#2。
オルガンが牽引する7拍子のプログレッシブPOP、#3。
トマス・ボ-ディン(Key)のオルガンが荘厳にしてセンチメンタルな#4。
POPなサビとドラマティックなインスト・パートの融合が見事な#5。
ミステリアスな#6。
メロディと左Chのメロトロンが印象的で美しい#7。
プログレッシブ&ドラマティックなイントロから一転して美しいサビを持つ思索ナンバー#8。
大仰なイントロで幕を開け様々な要素を内包しながら展開していく#9。
ポジティブなムードでシンフォニックに締めくくる#10。
等々、全体的に上手くまとめた印象です。

Track List

DISC 1
1.Garden Of Dreams
2.Captain Capstan
3.IKEA By Night
4.Astral Dog

DISC 2
1.Deaf, Numb and Blind
2.Stupid Girl
3.Corruption
4.Power of Kindness
5.Psychedelic Postcard
6.Hudson River Sirens Call
7.Magic Pie
8.Painter
9.Calling Home
10.Afterlife

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FLOWER KINGS / Alive on Planet Earth

2000,SWEDEN

2000年発表の2枚組ライブAlive on Planet Earth。

DISC1は1998年の北米ツアー、DISC2は1999年の日本公演を収録。
DISC1では正式メンバーのトマス・ボーディン(Key)の代打でロバート・エングストランドがプレイ。微妙なシンセのポルタメント感が違うので名曲#1のイントロに若干の違和感も。突き抜け感が微量だが少ないんですよ。
それはともかく初期の代表曲がセレクトされており、満足です。
GENESISのカヴァー#5は面白いですが、カヴァー入れるなら他にもっとライブで聴きたいオリジナル曲があるのになー。この辺りの評価は人それぞれでしょうか。

トマス・ボーディンのダーティなオルガンが活躍するDISC2は圧巻。
特にDISC2の#4はライブ向きの良い曲ですね。それに何と言ってもロイネ・ストルト(G/Vo)のギター・トーンが素晴らしい。官能的なトーンによるインプロビゼーションが生々しく味わえるのはライブならではです。

Track List

DISC 1
1. There Is More to This World
2. Church of Your Heart
3. Judas Kiss
4. Nothing New Under the Sun
5. Lamb Lies Down on Broadway

DISC 2
1. Big Puzzle
2. Sounds of Violence
3. Three Stories
4. In the Eyes of the World
5. Flower King
6. Stardust We Are, Pt. 3

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FLOWER KINGS / Space Revolver

2000,SWEDEN

ベースにメタル方面での活躍が有名なヨナス・レインゴールド(B)が新加入したFLOWER KINGSの2000年5thアルバムSpace Revolver。

このバンドの魅力であるシンフォニックさはそのままに、サウンドが若干ソリッドに。同時に無国籍風エキゾチックな感じやロイネ・ストルト(G/Vo)の中域を強調したネバリのあるギター・トーンも減退。
これまでの作品に感じられた、「何が飛び出してくるか分からないドキドキ感」、「緊張感から感動のメロディへの開放」「突き抜けた高揚感」といった曲毎のドラマ性やアルバム通しての起伏も少なくなってます。
あえてレンジを狭く絞って、ストレートにしたかのような作風です。いや、悪くはないんですよ。part1と2に分けてオープニングとラストに配した#1,#10とかね。前作までの2作連発ダブル・アルバムというフォーマットに慣れると、CD1枚ってのが少々物足りない感じも。

Track List

1. I Am the Sun, Pt. 1
2. Dream on Dreamer
3. Rumble Fish Twist
4. Monster Within
5. Chicken Farmer Song
6. Underdog
7. You Don't Know What You've Got
8. Slave to Money
9. King's Prayer
10. I Am the Sun, Pt. 2

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FLOWER KINGS / The Rainmaker

2001,SWEDEN

FLOWER KINGSの2001年6thアルバムThe Rainmaker。

前作と同じメンツで同路線ながら、初期のポジティブなシンフォニック感も若干復活。
オープニングはディレイ・ラマのようなホーミーで始まり度肝を抜き、間髪置かずヘヴィなリフを畳み掛けて不安にさせるが、すぐにハッセ・フロベリ(Vo)の抜けるような美声によるサビメロが聴けてホっと一息。
#3では得意の5拍子で軽快に畳み掛ける序盤からゆったりとした後半へドラマティックに展開。キーボードとギターによるユニゾンのリフはリプライズ的に小品#10でも登場。
こうした仕掛けにより、アルバム通しての一貫したカラーが感じられる所が好きですね。
又、#8後半インスト部分のドラマティックなフックにハッとさせられる所なんかは初期の魅力そのまま。
4~6分のコンパクトな楽曲が中心で聴きやすく、且つ#3や#5のようなドラマも盛り込んだキャリア中盤の秀作です。

Track List

1. Last Minute on Earth
2. World Without a Heart
3. Road to Sanctuary
4. Rainmaker
5. City of Angels
6. Elaine
7. Thru the Walls
8. Sword of God
9. Blessing of a Smile
10. Red Alert
11. Serious Dreamers

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FLOWER KINGS / Unfold the Future

2002,SWEDEN

FLOWER KINGSの2002年7thアルバムUnfold the Future。

#1はシンフォニックな大作でドラマティックな世界を構築。
いかにもプログレなシンセによるリフが楽しめる#3は、ヨナス・レインゴールド(B)のベースがメロディアスに大活躍、ヘヴィで妖しい雰囲気とファンタジーが同居した#5は後半サンバで盛り上がるなど、やりたい放題。

DISC 2もバリエーション豊か。
#1は得意のヒネクレた変拍子ロカビリーをバックにロイネ・ストルト(G/Vo)節が炸裂。ネバりのある生々しいギターも最高。ダーティなオルガンがGOODな#5ではPAIN OF SALVATIONからゲスト参加のダニエル・ギルデンロウが悪魔役で登場。
#7はウットリしちゃう叙情メロディが突然変態ジャジーに変化する意外性でノックアウトですね。
#9は25分超えのドラマティックな長尺曲で締めてます。得意の5拍子リフで畳み掛けるインスト部と美しすぎるサビを持つ歌部分の対比が見事。全体的にプレイ面でロイネ・ストルトの影がちょっと薄い気もするけど、その分もはや双頭といっても良いくらいのトマス・ボーディン(Key)が素晴らしいです。テクニカルなのに温かみのある音色選択とユーモアをまぶしたフレージングでサウンドを牽引してます。

Track List

DISC 1
1. Truth Will Set You Free, The
2. Monkey Business
3. Black And White
4. Christianopel
5. Silent Inferno
6. Navigator, The
7. Vox Humana

DISC 2
1. Genie In A Bottle
2. Fast Lane
3. Grand Old World
4. Soul Vortex
5. Rollin The Dice
6. Devils Danceschool,The
7. Man Overboard
8. Solitary Shell
9. Devils Playground

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FLOWER KINGS / Adam & Eve

2004,SWEDEN

シンフォニック、アバンギャルド、スリル、叙情、時折ロカビリー!・・・様々な音楽的要素がごった煮感覚で味わえるのがTHE FLOWER KINGSの最大の魅力だと個人的に感じてますが、この2004年8thアルバムAdam & EveはCD1枚ということもあってかハッセ・フロベリ(Vo)のクリーンな歌唱を活かしたストレートで爽やかなシンフォニック路線にカラーが統一されてます。
その分、叙情性が減少。お家芸とも言えるテクニカルなのにキャッチーな高速変拍子も皆無。
雑多な要素を有機的に繋ぎ合わせてTHE FLOWER KINGSというひとつのテイストに昇華させていたロイネ・ストルト(G/Vo)のネバりあるギターのトーンや味わいある歌唱もこの8thアルバムでは控え目です。
プロデュースもしてるんで、一歩下がり俯瞰するようなスタンスで制作に関わったからかもしれません。
前作に続き客演のPAIN OF SALVATIONのダニエル・ギルデンロウがシアトリカルな歌唱でアクセントとなってたりしますが、やはりロイネ・ストルトにもうちょいがんばって欲しかったですね。他のプロジェクト(色々やり過ぎ!)で忙しかったんでしょうか?

Track List

1. Love Supreme
2. Cosmic Circus
3. Babylon
4. Vampires View
5. Days Gone By
6. Adam & Eve
7. Starlight Man
8. Timelines
9. Drivers Seat
10. The Blade of Cain

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FLOWER KINGS / Paradox Hotel

2006,SWEDEN

FLOWER KINGSの2006年9thアルバムParadox Hotel。

2枚組アルバム全体のトーンはもはや初期のようなスリリングなインストパートや叙情性はかなり後退し、ここ数作と同様な爽やかシンフォニック路線。
レイドバックとまではいかないものの何か”角が取れた”かのような落ち着いたサウンドは正直物足りないですね。
そんな中、ロイネ・ストルト(G/Vo)がヴォーカルを取る楽曲では自らメロトロンも弾いたりと味わい深い印象を残します。
その極め付けが、ロイネお得意のアダルト&叙情フレーバーが堪らないDISC1の#8。この味のある渋いヴォーカルにアコギの爪弾き、ゾワっと忍び寄るメロトロン、そしてギターによるメランコリックな必殺のリフレイン・フレーズ。ヨナス・レインゴールド(B)のフレットレス・ベースによるソロやトマス・ボーディン(Key)の翳りの有るエレピなどアンサンブルも最高。
説得力や聴き手を引き込む歌唱力はさすがロイネ。ロイネのヴォーカル曲だけに絞り込んで曲数も減らした方がアルバムとしての焦点がスッキリまとまって出来が良くなったと思いますね。

Track List

DISC 1
1.Check In
2.Monsters & Men
3.Jealousy
4.Hit Me With A Hit
5.Pioneers Of Aviation
6.Lucy Had A Dream
7.Bavarian Skies
8.Selfconsuming Fire
9.Mommy Leave The Light On
10.End On A High Note

DISC 2
1.Minor Giant Steps
2.Touch My Heaven
3.The Unorthodox Dancinglesson
4.Man Of The World
5.Life Will Kill You
6.The Way The Waters Are Moving
7.What If God Is Alone
8.Paradox Hotel
9.Blue Planet

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FLOWER KINGS / The Sum of No Evil

2007,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドFLOWER KINGSの2007年11stアルバムThe Sum of No Evil。

ウーリッツァー(多分)のくぐもったトーンのフレーズが、バンド・インと共にポルタメントの効いたアナログ・シンセでリピートされると、一瞬にしてブライトなFLOWER KINGSの世界が広がるシンフォニックな#1。ハッセ・フロベリ(Vo/G)の優しい歌唱、ヨナス・レインゴールド(B)のマイルドなフレットレス・ベースのオブリガードを中心に醸し出す、あくまでもポジティブな桃源郷サウンドは相変わらずです。勿論、御大ロイネ・ストルト(G)も健在。テーマメロディをジャジーにアレンジし、アーミングを絡めてギターとは思えないニュアンスに仕上げたソロが見事です。
ロイネの渋いボーカルにホーミーっぽいSEを交えてのどかにゆったり進行していく#2は、ダークなパートを経ていきなりシンフォニク&叙情的なハイライトを迎えます。そして、泉のように溢れる豊富なアイディアを具現化した様々なパートが時にジャジーに、時に壮大に、とカラフルな表情を見せて展開していく24分超の大作。
ロイネの素晴らしい歌唱とギター・ソロが堪能できるバラード#3。
序盤のメロトロンとマリンバが支配する静けさから、ダークでスペイシーなシンフォニック・ロックに展開する所が往年のスリリングなFLOWER KINGSを想起させる#4。
トマス・ボーディン(Key)の書いた、ユーモラスなトーンのメイン・フレーズが耳を引くインストゥルメンタル・ナンバー#5。
あくまでも歌モノでありながら、さりげなく重層的なアレンジとテクニシャン達による余裕のプレイでドラマティックに仕上がった#6。

これまでの作品でドラマティックなムードを演出していたインスト・パートのアレンジにおいて、フュージョン風味の比重が増量、アダルトなムードが薫るシンフォニック・プログレに進化したアルバムです。

Track List

1. One More Time
2. Love Is the Only Answer
3. Trading My Soul
4. Sum Of No Reason, The
5. Flight 999 Brimestone Air
6. Life In Motion

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FLOWER KINGS / Banks Of Eden

2012,SWEDEN

ドラマーにフェリックス・レーマン(Dr)を迎えた再始動FLOWER KINGSの5年ぶりとなるアルバムBanks Of Eden。

25分超の大作#1から往年のFLOWER KINGS節が炸裂。
モーダルでミステリアスなメインの歌メロを終盤にはメジャー調に変化させる心憎い演出に加え、ロイネ・ストルト(G/Vo)やトマス・ボーディン(Key)のオルガンなど楽曲のカラーを決定する楽器群のトーンがオーガニックで生々しく、適度な空間的余裕とあいまって演奏そのものを純粋に楽しめるアレンジが素晴らしい。
エンディングはメロディをあえて解決する音で終わらせず、余韻を残して伏線を匂わせます。
イントロのプログレ然とした上り詰めるようなシンセの単音リフにギターが絡み、スペイシーなムードのボーカル・パートに移行する#2。ギター・ソロではナチュラル・ディストーションのトーンが活き活きしています。
ミステリアスなムードで7拍子中心に進行する#3。
シンセとギターによるメイン・リフ、ロイネの深みある歌唱とエモーショナルなギター・ソロなど、随所に顔を出す叙情的メロディと静動の起伏でドラマティックに仕上がった初期の叙情を彷彿させる#4。
#1のメイン・メロディを今度はマイナー調に変化させ壮大なスケールで展開する#5。#1の伏線をここで解決するというよくあるパターンながら、これだけのクオリティでやられると誰からも文句は出ないでしょう。

ボーナス・ディスクはシリアスな新作のカラーとは違った4曲を収録。
FLOWER KINGSらしいバラエティに富んだ秀作揃いで、歌にギターにロイネのカラーが前面に出ているのが嬉しく、大いに楽しめます。

ロイネの苦味を抑えた歌唱がイイ感じの、伸びやかなシンフォニック・ポップ#1。
リズムのアクセントを巧みに使ったキャッチーな#2。
メロウなインストゥルメンタル#3。
ジミヘン・スタイルなリフを軸にしたレトロなロックの意匠とメロトロンなどプログレな要素が融合した#4。

待望の新作は全体的にロイネのカラーが濃く、新加入のフェリックス・レーマンのドラミングも軽やかなフィルやボーナス#2冒頭の3拍子で4連を叩く意外性のあるフレージングなど、他メンバーを触発するバンドのエンジン役として貢献。

Track List

1. Numbers
2. For The Love Of Gold
3. Pandemonium
4. For Those About To Drown
5. Rising The Imperial

Bonus Disc
1. Fireghosts
2. Going Up
3. Illuminati
4. Lo Lines

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FLOWER KINGS / Desolation Rose

2013,SWEDEN

スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドFLOWER KINGSの12thアルバムDesolation Rose。
前作からのインターバルが非常に短く、バンド活動再開後の好調ぶりが伺える。

アルバム・タイトルに含む「Desolation=荒廃」を象徴するのようにダークな色調でスタートする#1。前作より加入のフェリックス・レーマン(Dr)の快活なドラミングがエンジンとなってバンドをドライブ。Flower Kingsにしては地味なオープニングながら、時折挿入されるスペイシーなパートや後半のギターとシンセによるハーモニー・フレーズなど典型的なFlower Kingsフレイバーを散りばめてドラマティックに展開していくオープニング・ナンバー。
#1の余韻を引き継ぎ雷鳴のSEを加えて始まる#2。独特の引っ掛かりを生む7拍子、ロイネ・ストルト(G/Vo)の歌唱がダークなリフに乗る序盤から終盤はメジャーに移行するコンパクトな楽曲。
ダークな色調を継承しながら、昇り詰めるような希望的なメロディーとメロウなパートを持つ#3。
シンプルな歌モノにSEや不穏な雰囲気を煽るトマス・ボディン(Key)の豊富な音色による鍵盤群が彩を加える#4。アップテンポに移行してからのギター・ソロはロイネらしい良く歌う名演。
ナイロン弦ギターの爪弾きが効いたメランコリックなバラード#5。スペイシーなシンセのオブリガードやワウを掛けたギター・ソロがアクセントとなっている。中盤にはワクワクするような展開のインスト・パートを挿入。楽曲のムードにメリハリを付けるドラミングが素晴らしい。
希望的なメロディーが際立つ#6。
5拍子のリフがリードするミステリアスな#7。叙情的なサビにロイネの枯れた歌唱が良く合っている。ロング・トーンを活かしたギター・ソロのフレージングもさすが。適材適所のオブリガードでカラフルに楽曲のムードを増幅するトマスの職人技も冴えている。
タイトル通り不気味な#8。暗黒リフとロイネが歌う叙情的なサビが対比し互いの印象を強烈にしている。
緩やかなバラード#9。
冒頭の静けさから徐々に盛り上げ、スペイシーにアルバムの最後を飾る#10。3分にも満たないのが惜しい。

13分超の#1以外は比較的コンパクトな楽曲で構成。
全盛期の壮大さや弾ける桃源郷ムードに比べると随分と落ち着いた印象ではあるが、確立されたFlower Kings節はしっかりと健在。
逆にその安定感の反面、アルバム全体のカラーを統一するためなのか、突き抜ける爽快感があまり感じられないのも事実。
TRANSATLANTICAGENTS OF MERCYなど、今後のロイネの課外活動が次作にどのような影響を及ぼすか注目。

Track List

1. Tower One
2. Sleeping Bones
3. Desolation Road
4. White Tuxedos
5. The Resurrected Judas
6. Silent Masses
7. Last Carnivore
8. Dark Fascist Skies
9. Blood Of Eden
10. Silent Graveyards

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ROINE STOLT’S THE FLOWER KING / Manifesto Of An Alchemist

2018,SWEDEN

THE FLOWER KINGSのロイネ・ストルト(G)が凄腕たちのスーパー・バンドTHE SEA WITHINの作品に続いてリリースした新作。トマス・ボ-ディン(Key)が不参加なこともあってか、名義はROINE STOLT’S THE FLOWER KINGとなっている。

呪文のようなコーラスを繰り返す神秘的なインスト小品#1。
オーガニックな響きのドラム、オルガン、ギター、ベースが一丸となって躍動する#2。スペイシーなシンセ及びネバりまくるギターと渋い歌唱がロイネ節全開。珍しくカラっとアメリカンなサビがありながらメロウなパートには往年のFLOWER KINGSサウンドが。
ロイネの抑えた歌唱とエモーショナルなギターが堪能できる物悲しいバラード#3。
冒頭2分弱のフュージョン風イントロの器楽要素、桃源郷的歌唱パート、シンフォニックなインスト・パートで構成されたエピック・チューン#4。
スリルとメロディが満載の前半から静かな中にうっすらメロトロンで包み込む中盤、シンフォニックな後半と展開するインスト#5。
どこか郷愁を誘うメロウなナンバー#6。
エレピが醸し出すミステリアスなムードにサックスが舞い踊るインスト#7。
アコギやマンドリンにローファイなエフェクトがかかった歌唱が乗る優しいボーカル・ナンバー#8。
#8のムードを継承するインスト#9。
アルバム随一のダークな要素を盛り込みながらも希望的なメロディも忘れないバランス感覚が秀逸な#10。

躍動感と小技の安定感が光るマルコ・ミンネマン(Dr)、フレットレスの独特なサウンドでお馴染みヨナス・レインゴールド(B)らが個性を発揮しながらもバックを支えオーガニックなムードを創出。そこに乗るロイネの歌唱とギターがもたらすファンタジックでスペイシーなサウンドは初期FLOWER KINGSに近く、楽曲の表情がよりストレートに迫ってくる。

Track List

1. Rainsong
2. Lost America
3. Ze Pawns
4. High Road
5. Rio Grande
6. Next to a Hurricane
7. The Alchemist
8. Baby Angels
9. Six Thirty Wake-Up
10. The Spell of Money

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THE FLOWER KINGS / Waiting For Miracles

2019,SWEDEN

FLOWER KINGSとしては6年ぶりとなる13thアルバムWaiting For Miracles。

徐々に煌びやかさを増していく静かなピアノがアルバム全体と続く#2のイントロとなっているインストゥルメンタル小品DISC1 #1。
希望的メロディとアナログ・シンセ、ロイネ・ストルト(G/Vo)の味わい深い歌唱、演劇的なフックのあるインスト・パートとTHE FLOWER KINGSらしさの詰まったDISC1 #2。
メインのモチーフを中心に軽快なオルガンをはじめとた鍵盤群が色を添え、幻想的ムードを掻き立てるインスト・パートを絡めて場面転換していく10分超のエピック・チューンDISC1 #3。
シンセのミニマルなシーケンスとヨナス・レインゴールド(B)のフレットレス・ベースの甘いトーンが幻惑的ムードを醸し出す序盤から、少々センチメンタル要素をまぶした桃源郷サウンドがゆったりと進行するDISC1 #4。
ハッセ・フロベリ(Vo)とロイネ・ストルト2人の歌唱で綴るバラードDISC1 #5。
映画のサウンドトラックのような幻想的インストゥルメンタルDISC1 #6。
オーソドックスなポップ・チューンDISC1 #7。
冒頭にジャケット・アートの象を思わせる鳴き声を配置、ギターとシンセがリードするインストゥルメンタルDISC1 #8。
印象的でドラマティックなイントロから抒情的な歌唱パートに移行するDISC1 #9。
ロイネによる粘っこいギターと枯れた味わいの歌唱をフィーチュアしたDISC1 #10。

DISC1 #1をより元気にシンフォニックにしたリプライズDISC2 #1。
シンセによるサウンドスケープやDISC1 #3の歌唱パートのサンプル素材のコラージュからなるDISC2 #2。
タイトルから受けるSF的要素よりもメロウな抒情が際立つDISC2 #3。
躍動感あるリズムに希望的サウンドが乗るDISC2 #4。
アウトロとなるインスト小品DISC2 #5。

ROINE STOLT’S THE FLOWER KING名義のアルバムManifesto Of An Alchemistがロイネ・ストルトの魅力を前面に打ち出した事で初期FLOWER KINGSを彷彿させる佳作になった反面、THE FLOWER KINGS名義の今作Waiting For Miraclesは、長らく鍵盤パートを担っていたトマス・ボディンの不在で、良くも悪くもトマス・ボディンの持っていた多彩な音色や意外性のあるフレーズといったアクの強さがFLOWER KINGSには不可欠なのだと逆説的に知らしめる結果となってしまった。随所にヨナスやハッセが個性を発揮する場面はあるものの、バンドFLOWER KINGとしての個性にまで昇華していないのが少々残念。

Line-up / Musicians
– Roine Stolt / electric & acoustic guitars, keyboards, lead vocals
– Jonas Reingold / bass, fretless bass
– Hasse Fröberg / lead & backing vocals
– Zach Kamins (An Endless Sporadic) / guitar, keyboards
– Mirko DeMaio (Mind Key) / drums, percussion

With:
– Michael Stolt / bass, vocals
– John “Zach” Dellinger / viola
– Paul Cartwright / violin

cover art created by US artist Kevin Sloan

Track List

Disc 1:
1.House Of Cards
2.Black Flag
3.Miracles For America
4.Vertigo
5.The Bridge
6.Ascending To The Stars
7.Wicked Old Symphony
8.The Rebel Circus
9.Sleep With The Enemy
10.The Crowning Of Greed

Disc 2:
1.House Of Cards Reprise
2.Spirals
3.Steampunk
4.We Were Always Here
5.Busking At Brobank

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THE FLOWER KINGS / Islands

2020,SWEDEN

前作Waiting For Miracles同様、ザック・カミンス(Key)、ミルコ・ディマイオ(Dr)を含むラインナップでの2作目。カヴァー・アートはついにロジャー・ディーンが担当。

躍動感とロイネ・ストルト(G/Vo)の渋い歌唱で期待が高まるオープニング・チューン#1。
リラックスした7拍子でカラフルな桃源郷感を醸し出す#2。
ペーソス溢れるメイン・メロディを中心にQUEEN風ハーモナイズ・ギターも登場するシアトリカルな#3。
ロイネ・ストルトのジェントルな歌唱が味わえるほのぼの爽やかチューン#4。
ポジティブなムードに包まれたノリノリの5拍子プログレ・ポップ#5。
メランコリックなシンフォニック・バラード小品#6。
カッコ良いジャズ・ロック・インストゥルメンタル小品#7。
グルーヴィなシンフォニック・フュージョン#8。
中間部にプログレ然としたアナログ・シンセ・ソロやファンタジックなインスト・パートを配しつつも、クールネスと哀愁を兼ね備えた歌唱パートで聴かせる#9。
ロイネの粘る歌唱とギターをフィーチュアした穏やかなナンバー#10。
ワウ・ギターが歌いまくるインストゥルメンタル#11。

ヨナス・レインゴールド(B)のメロディアスなベース・ライン、ハッセ・フロベリ(Vo)の溌溂とした歌唱がリード。感傷的なサビを持つ#12。
ザック・カミンスのオルガンがELPのタルカスばりにグイグイ迫り、ミステリアスなムードで進行するインストゥルメンタル#13。
メロトロンを薄っすらと使用するセンスが洒落たプログレ・AOR・チューン#14。
スリリングなプログレ・ジャズ・ロック・インスト#15。
ゲストのロブ・タウンゼント(Sax)のソプラノ・サックスをフィーチュアした#16。
ロイネ・ストルトのコシのある・ギター・トーンとメランコリックなフレージングが楽しめる#17。
ギター・ソロのロングトーンがむせび泣くメランコリックな#18。
ベースがグルーヴをリードするAORチューン#19。
シンフォニックにデコレートされたポップ・チューン#20。
スライド・ギターが幻想的ムードを醸し出す#21。

ジャケット・カヴァーのファンタジックな印象から往年のYESのような超大作をイメージするも、内容は短尺歌モノ中心で随所に印象的なフックを配しながらじっくり聴かせるタイプの落ち着いた楽曲集。DISC1は特にロイネ色が強く、往年のテイストが感じられる。
各種鍵盤を操るザック・カミンスはインスト曲などで時折スゴ腕を見せるものの、全般的にアンサンブルに合わせた堅実な仕事。もっと暴れてもらって長尺曲で緊張と緩和のドラマを作ってくれても大歓迎なんですが。

Track List

DISC 1
1. Racing with Blinders On (4:33)
2. From the Ground (4:11)
3. Black Swan (5:58)
4. Morning News (4:06)
5. Broken (6:48)
6. Goodbye Outrage (2:25)
7. Journeyman (1:49)
8. Tangerine (4:13)
9. Solaris (9:32)
10. Heart of the Valley (4:42)
11. Man in a Two Piece Suit (3:29)

DISC 2
12. All I Need Is Love (5:54)
13. A New Species (5:56)
14. Northern Lights (5:45)
15. Hidden Angles (0:52)
16. Serpentine (3:53)
17. Looking for Answers (4:45)
18. Telescope (4:52)
19. Fool's Gold (3:18)
20. Between Hope & Fear (4:42)
21. Islands (4:15)

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