CAMEL のレビュー

CAMEL / Mirage

1974,UK

CAMELの1974年2ndアルバムMirage。

プログレ界では後発バンドだけに、練られたアレンジ、楽曲のドラマチックな構成力に長けてます。

オープニングはエッジの鋭いバッキング・ギターがリードするハードロックな#1だが、一筋縄で行くはずも無く、ギター・ソロ部でのジャジーな流れに続き変拍子を絡めてコンパクトな中にもシンフォニックに展開させる構成力はさすが。
アンディ・ラティマー(G/Fl/Vo)によるフルートが叙情メロディを奏でるインスト#2。
同じく彼のギターによる甘いトーン、ピーター・バーデンス(Key)によるメロトロンやオルガンの包み込むような空間演出、ポルタメントが滑らかなムーグによる印象的なメロディ、ダークなムードを思わせるアレンジの妙で一気に聴かせる#3。
イントロの叙情から甘くポジティブなフィーリングをムーグのメロディが演出し、スリリングな中間部で盛り上げる#4。
と、各楽曲のキャラ立ても巧み。ハードロック、叙情、スリルを起伏あるアレンジでスムーズに繋げ一時も聴き手を休ませない、それでいて優しい12分超の#5がまさに集大成。

Track List

1. Freefall
2. Supertwister
3. Nimrodel/The Procession/The White Rider
4. Earthrise
5. Lady Fantasy: Encounter/Smiles for You/Lady Fantasy

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CAMEL / The Snow Goose

1975,UK

叙情派プログレの雄CAMELの1975年3rdアルバムThe Snow Goose。

ポール・ギャリコの同名短編小説に基づいたコンセプト・アルバム。一部のスキャットを除きオール・インスト。
表情豊かなギターやフルート、シンセがストーリーに沿ってメロディを奏で、物語を紡いでいきます。原作を知らずとも、美しいメロディを追って行くだけで充分浸れますが、ここはご一読をお勧めします。ストーリーを知る事で感動が10倍くらいになります。

第二次世界大戦中のダンケルクの戦いを背景に、奇妙なせむしの男Rhayaderと彼に心を開いていく少女Fritha、そしてそんな2人の友情(愛情?)を取り持つ事になるスノーグースの活躍が描かれた寓話です。音楽を聴く事で物語の情景が目に浮かび、終盤は涙が止まらなくなります。オーケトスラを従えたシンセとギターが伸びやかな#15を初め、スノーグースを描いた#6,#10などの溌剌とした浮遊感は時に優しく、力強く2人を見守るスノーグースの様を表現しきっているし、#4のギター・トーンやメロディもタイトル通りに汚れ無き世界そのもの。対照的な2人がモチーフとなった#2や#5の描写も見事。

Track List

1. Great Marsh
2. Rhayader
3. Rhayader Goes to Town
4. Sanctuary
5. Fritha
6. Snow Goose
7. Friendship
8. Migration
9. Rhayader Alone
10. Flight of the Snow Goose
11. Preparation
12. Dunkirk
13. Epitaph
14. Fritha Alone
15. La Princesse Perdue
16. Great Marsh

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CAMEL / Moonmadness

1976,UK

CAMELの1976年4thアルバムMoonmadness。

本作から導入されたアープ・オデッセイによるストリングスの音色が印象的です。フュージョンの趣を持つ硬質なインストゥルメンタル・パートと、ヴォーカル中心の叙情パートがバランス良く配され、完成度の高いCAMELサウンドが楽しめます。
#2はフルートやエレピの端正なアンサンブルによる叙情パートから始まりアープ・オデッセイが活躍する中間部へ、そして終盤は3連のリズムに乗りムーグがメロディアスなソロを奏でる展開に。
ピーター・バーデンス(Key)が歌う静謐な叙情を湛えた小曲#4では、声にモジューレーションをかけて幻想的なムードに。
#6はアープ・オデッセイのストリングスとアンディ・ラティマー(G/Vo/Fl)のフルート/泣きのギターが堪らないです。
#7はアープによるストリングスに導かれるスペイシーで静かなイントロから一転、5拍子のプログレッシブ・フュージョンが展開されます。中間パートでは、滑らかな音色のムーグ・シンセをフィルター操作で表情豊かに歌わせる場面もあり一息つきますが、終盤は再び5拍子に戻りアンディの燃えるようなギター・ソロが炸裂。バンドの演奏はそのままスリリングにフェイドアウトし、ストリングスだけが残りスペイシーに幕を引きます。

Track List

1.Aristillus
2.Song Within a Song
3.Chord Change
4.Spirit of the Water
5.Another Night
6.Air Born
7.Lunar Sea

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CAMEL / Rain Dances

1977,UK

CAMELの5thアルバムRain Dances。

ダグ・ファーガソンに代わり元CARAVANのリチャード・シンクレア(B/Vo)が加入。

飛翔感のあるシンセのメロディがThe Snow Gooseを想起させるインストゥルメンタル#1。時折顔を覗かせる叙情がCAMELらしい。終盤のリフレインでは元KING CRIMSONのメル・コリンズ(Sax/Fl)によるむせび泣くサックスでさらに叙情を増量。
リチャード・シンクレアのジェントルな歌唱をフィーチュアした#2。落ち着いたムードの歌唱パートと対照的なジャズ
・ロック的インスト・パートでは変拍子、テンポチェンジを交え躍動感あるアンサンブルを展開。
フレットレス・ベースの滑らかなプレイがアンニュイなムードを醸し出す#3。アンディ・ラティマー(G/Fl/Key)のフ
ルートも加わり静謐な空気の中、シンセのアレンジされたソロが徐々に盛り上げるアレンジでジーンとさせます。
シンセのリフやオブリガードがポップなメジャー・キーの歌物#4。少々くすんだエレピが英国的な佇まい。
緊張感あるイントロから洒落たヒネリを持ったノリの良い歌唱パートに続く#5。様々な音色を使用したシンセのソロが中間部でアクセントになっています。
グルーヴィなベースラインに乗ったマイルドなフュージョン・ナンバー#6。
アンディ・ラティマーがシンセやエレピ、ギターを重ねた、神秘的で美しく儚げなインストゥルメンタル#7。
クールなインスト・フュージョン#8。ギターが主導するメイン・パートに、ピーター・バーデンス(Key)による伸びやかなミニモーグのソロを包含。
#1終盤のメロディを奏でるシンセ・ストリングスのリフレインに泣きのフルートが乗った、アルバムを締めくくる感動のインスト#9。

大仰な演出も無く堅実で淡々とした中に必殺の叙情を持ち込み、楽曲を忘れ得ぬものにするCAMELの方程式にキャッチーなリチャード・シンクレアの声と、ドラマティックなメル・コリンズのサックスが加わり、よりポップで叙情的に。
同時に従来のジャジーなムードも取っ付きやすく変化してきています。

Track List

1. First Light
2. Metrognome
3. Tell Me
4. Highways Of The Sun
5. Unevensong
6. One Of These Days I'll Get An Early Night
7. Elke
8. Skylines
9. Rain Dances

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CAMEL / Breathless

1978,UK

CAMELの1978年6thアルバムBreathless。

5thアルバム”Rain Dances”より加入した元CARAVANのリチャード・シンクレア(B/Vo)に加え、準メンバーだった元KING CRIMSONのメル・コリンズ(Sax/Fl) が正式加入。初期の雰囲気は、ヤマハの当時最新鋭シンセCS80のズ太い音色が踊るドラマティックな展開の#2やラストを飾る美しい叙情ナンバー#9に面影を残すに留め、キャッチーな#1やユーモラスな#4、ディスコ・ビート風#7などCARAVAN風英国ポップ風味も加味されたマイルドでコンテンポラリーなAOR風プログレッシブ・ロックに進化。
以前から見せていたジャズ的要素も、ここにきて完全に#8のようなフュージョンに進化。メル・コリンズのSaxが効いてます。

プログレ・オールスターなメンツでいながらにして、この音楽性というギャップがおもしろいですね。時代の要請だったんでしょうか。

Track List

1.Breathless
2.Echoes
3.Wing and a Prayer
4.Down on the Farm
5.Starlight Ride
6.Summer Lightning
7.You Make Me Smile
8.Sleeper
9.Rainbow's End

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