ATOLL のレビュー

ATOLL / L’araignee-Mal

1975,FRANCE

フランスのプログレッシブ・ロック・バンドATOLLの1975年2nd。邦題は「組曲夢魔」。ストリングス・アンサンブル系シンセの白玉リフが霧のように覆う中を、台詞のようなフランス語のボーカルが浮遊する耽美な#1。軋むヴァイオリンの不協和音と共にムードが次第に不穏なものに変化する中間部や、ギターやヴァイオリンによるアバンギャルドなソロがもたらす終盤に見られる混沌との対比で、美をさらに強調しているかのようです。ヴァイオリンが展開をリードする#2は、前半ではせわしなく小刻みなビートを繰り出すドラム&ベースをバックにシンセが、後半ではファンキーに変化したリズムをバックにギター、ヴァイオリン、シンセが次々にソロをキメるテクニカルでカッコ良いジャズ・ロック。ヴァイオリンの物悲しいフレーズと歌い上げるボーカルによる叙情パートと、プログレ的キメのアンサンブルを盛り込んだクールなインストゥルメンタル・パートが融合した#3。タイトル組曲#4は、パーカッションと不穏なヴァイオリンがKING CRIMSONのようなインプロビゼーションを繰り広げるフリーな導入部から、徐々に整合性ある叙情ボーカル・パートにシームレスに移行する展開が天才的。7拍子のエレピによるリフがやがてポルタメントの効いたシンセのリフにチェンジすると同時にボーカルのテンションもアップ、軽やかなリズム隊と一丸となってスペイシーに盛り上がります。さらに、その余韻にクロス・フェードしつつ、クラビネットの硬質なリフが取って代わり、妖しいムードのインプロビゼーションからシンセ・ソロを経て激しいボーカル・パートを含む#4 c)へ。ラストの#4 d)は、シンセ・ストリングスをバックにしての叙情ボーカル・パートとギターが甘いトーンのフレーズを奏でる静かなパートから徐々にヒートアップ。エレピやヴァイオリンも参戦しての混沌の絶頂で、突如キメのユニゾン・フレーズによりビシっと終わるカタルシス。テクニカルでスリリングなジャズ・ロック的側面のカッコ良さと、優雅で耽美なシンフォニック・パートの美しさが両方味わえます。

Track List

1. Le Photographe Exorciste
a ) La Lumiere De Soufre Vert
b ) Eclaire Enfin Les Visages
c ) Et D'etranges Phenomenes
d ) Se Revelent...
2. Cazotte No.1
3. Le Voleur D'Extase
a ) Ivre D'extase, Le Voleur
b ) Derobe L'herbe De Couleur
4. L'araignee-Mal
a ) Imaginez Le Temps
b ) L'araignee-Mal
c ) Les Robots Debiles
d ) Le Cimetiere De Plastique

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